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藤子・F・不二雄のパラレル・スペース #01「値ぶみカメラ」


アハハハハ…

なるほど。

分かりました。

完全に悪ふざけですね、これは(え)。
とりあえず他の事はまだアレとしても、せめてちゃんと30分のテレビドラマを作れと。
本編17~18分で終わったと思ったら、その後キャストのインタビューが延々流れるってどういうコトやねん。
それはDVDの特典映像で入れるモノでしょ、んもう。

ホント、悪ふざけかと思っても仕方ないんじゃね、マジで。
まぁ、それも含めて笑いながら観ていたワケですけど。

やっぱり率直な印象としては…そこまでマンガ通りにやる必要性はあったのか? てコトですよね。

原作マンガのコマ通りのフレームや芝居、台詞、その他諸々。
確かにあまりにそのまんまトレースされているのでついつい笑ってしまいますし、店の看板とか値ぶみカメラまでが全く同じデザインとゆーコトには嬉しさも感じます。

しかし、ほぼマンガ通りの筋運びと台詞回しの為、「なんかメッチャ流れ飛んでる!」感が凄く強いです。

そもそもF先生自体が非常に省略(落語的な省略)の上手い方なので、それをそのまんま映像という「時間」が存在するメディアに落とし込むのは…やっぱり無理が出ますよね。そこは映像の場合、どうしてもコマとコマの間を埋める、コマとコマの間に何があるのかを考える作業が必要になるのだろうて。
そういう優しさはそれなりに欲しかったなぁ…うん。渡辺歩監督もそこに注意を払っているとか言うてたし…。
まぁ逆に言うならば、同じ筋運びと台詞なのにマンガでは何の違和感も無いとゆーのがF先生の凄いトコロになるわけですが。

しかし、わざわざ映像的に不自然な演出を用いた事には何らかの意図が(たぶん)あるのだ…とあえてフォローしてみます。

映像自体もマンガ通り…といってもオーケストラ観賞の部分が予算の関係か何か分かりませんが変更されています。代わりに挿入されているそのシーンの演出がそれまで以上に前衛的とゆーのが脳内クラッシュ寸前だったりしますが…。
カメラ固定の3分間1シーン1カットはまだイイとして、わざわざ台詞でト書きをヒロインに言わせていたり、画面が4:3になっていたり…。
何だかさすがに頭を抱えそうになるシーンではありましたが、まぁ…原作と同じようにという意図で作りながら、そこだけ意図に沿うコトが出来ず、この部分は他と違うのだよ~というコトを表していたのかもしれません…。
まぁ正直、視聴者的にはそんな事はどうでもイイと思うンですけどね(え)。

とにかく映像は終始マンガ通りになるように心がけられているワケですが…それと関連するのか否か、演者が全員意図的に「棒読み」というのも気になります。

この場合の棒読みは芝居が下手とかどうこうのアレではなくて、一つの演出、芝居の方法としての棒読みのようです。そういえば大林宣彦も棒読みは一つの演技だとか何とか言うてはったなぁ…。
まぁ、マンガ用の台詞をテレビドラマとしてそのまま乗っけているコトも要因なのかもしれないのですが、コレはこのドラマを「物語」として見せる事に特化しようとした結果なのではないか、と勝手に言ってみたいと思います。

F先生の作品って基本的にその傾向が強いとボクは思っているのですが…ドラマであることよりも、その物語にメッセージを込める事が多いと思うのです。
つまり、「この人間の生き様に感動」みたいなドラマじゃなくて、物語の設定なり落とし方なりにメッセージを込めるタイプなのではー…とゆーか。
勿論「エスパー魔美」なんかは激しく前者よりだったりしますが、大方は後者、特にSF短編集なんかその傾向が強いシリーズじゃねーかな~とか思っています。
まぁボクの嗜好性としてそういうフィルターをかけながら読んでいるというのもありますが(え)。

つまり、SF短編一番の魅力である「物語」を見せるが為、あえてマンガをトレースした映像にしたり、台詞を棒読みにして「芝居」という要素を排除したりしているのではないかと、そんな風にも感じられるわけです。

まぁ実際には、いかにもなテレビドラマ化の方が脳内にスッと入り易い為、物語も吸収し易いのではないかという気もしないではないのですが…どうなんやろうね。ウヘ。

結果的に、その方法論でやるならテレビドラマである必要性があるのか?という疑問符が付いてしまうのが否めない。
一例に、「絵に描いたような」という原作の台詞がありますが、アレは実際に絵に描いてあるマンガだからそう言っていたのであって、テレビにする際にはやはり「テレビドラマのような」とメタの対象も合わせてあげるべきだったんじゃないかなぁ…とか、メディアに合わせた変更をちゃんとしてあげて欲しかったと思うのですよねぇ。。

でなきゃテレビドラマとして再構築する意味が無いと思うんですよねぇ…。


…で、そろそろレビューを終えようと思ったら、その一番の売りである物語について何も触れていない事に気付いた(うわ)。ので、もそっと…。

カメラ、というのは科学的に被写体の画像を紙に写している為、絵画などのように描いた人間の意識が入り込まない客観的事実、つまり真実のみを切り取るコトの出来る機械であるとされています(まぁ、もちろんそんなコトは無いんですが…)。

では客観的事実とは如何なるモノなのか。

値ぶみカメラはその客観的指標として「金額」という事実を提示するカメラ。
誰の意思も意識も介在しない、客観的事実のみを切り取る事の出来るまさしくカメラらしいカメラと言えます。
しかし、じゃあそこに提示されている本価・市価・産価が被写体の価値を決める真実なのか…というと、決してそうではないわけで。
それは四つ目のドット「映した人間にとっての価値」を押した時にこそ分かる事であり、客観的事実なるモノの中に真実なんて無かった…というコトですね。

真実とは結局、自分の中にしか存在しないのだなぁ…そっかぁ…。


ま…そんな感じで。
ホント、インタビューで尺を埋めるとかテレビとしてあってはいけない事な気がしてならんけどなぁ…。
笑えたからいいけど(え)。

何やかんや言うてますが、とりあえずたった一つの真実として。

長澤まさみは可愛かったな…うん。
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コメント

「真実はいつも一つ!」と言っている大人から子どもになった奴があんま好きじゃない。あっ、コハナのことじゃないよ。コハナは好きだよ。

「真実」は一つかもしれないけど、その真実から出せる「答え」は一つではない。

これ、私のの自論なのですが、タイトルの登場する度に人が死ぬ死神体質名探偵の台詞を聞いて思いたんです。「真実」は一つだけど、それから出される「答え」は決して一つではない、と。

例えば二人の人間がいたとします。
二人とも「うどんが好き」と言う。そこでうどんで一番、おいしいのは?と聞くと、
しかし、二人のうち一人は「うどんで一番、おいしいのは汁」と答える。
もう一人は「うどんで一番、おいしいのは麺」と答える。
二人とも「うどんが好き」というのは同じなのに答えは違っていた。

つまり(もう一度、書きますが)「真実」は一つだけど、それから出される「答え」は決して一つではない、ということです。
このレビューを呼んで思ったことは値ぶみカメラによって表れた「金額」という「事実」という自分の中の「真実」から人はどんな答えを出すのでしょうか?と。しかし、藤子・F・不二雄の短編集は本当にメッセージ性が大きいですね。昔、短編集の漫画を見て、怖い思いをしたのを覚えています(笑)人類の未来を暗示したものを描かれていたので小さい頃はそれが非常にそれが怖かったのです。では、

◇コメントありがとうございます!!!◇

>:さん
その作品はアニメはそんな観ていないですけど、原作は全巻持ってるんですよねぇ。
基本ストーリー漫画のクセにいつまでも終わらないような展開がスゲーぜ!て感心してます(え)。

よくよく考えると「真実」という存在そのモノが定義として結構あやふやなんだろうなぁ…とか思ってしまいます。
何を持って真実とするのか、それもまた自分の中にしか真実は無いのか!(堂々巡り)

SF短編集は実際今読んでも怖いですよ…。
しかし、シニカルで笑えないような作品も多いながら、未来への希望をしめす作品が多いのが温かくてまた魅力的なのですよ、ええ。
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