■ど、どう観ても人間じゃねえか…!原作はあまり読んだ事は無いのですが、あのマンガを実写化するとは!?…というボウケンスピリッツへの感心と、怖いモノ見たさの関心。さらに、漫画らしい漫画ほど実写化した際に、悲惨な結果に陥りやすいという定説を今回もまた実証するのであろうか…という気持ちなども内包しつつ、恐る恐るチャンネルを回してみました(今時?)。
そして、はたと気付く…。
この原作は、素晴らしいぐらい実写向きである…とゆーコトに。
あの…何とも言えないインパクトは実際に視聴して頂くしか無いとは思うのですが、スミレの人形のあの何ともいえないシュールレアリズムと気持ち悪さがね…。
実写だからこそ、人間の計算ではとうてい不可能な動きをしてのけるスミレが腹抱えるぐらい気持ち悪いです! しかも後ろに変なオヤジいるし!
うん…もしこの作品をアニメでやっていたとしても、そこにコレほどの感動は無いと思います。
アニメは所詮「絵」ですから。
人形のスミレが動いている事に対しての生理的嫌悪感を引き摺り出すまでのインパクトは、絵の人形が動いているコトと実寸大の人形が物理的に動いているコトとでは、やはり比較にならないほど物理的な方が“何かがおかしい”ですよ、ええ。
もっと言ってしまうなら、これは漫画よりも実写向きのコンテンツなのではなかろうかと、そう思ってしまうんですよねぇ。
■ベースは普通に青春ドラマです。そんなシュールで小ネタも多いコメディの体裁を取りつつも、その実結構ドラマがしっかりしているのも楽しい所でした。
なんか、毎週フツーに涙腺がウルッてしてたのが凄く悔しい(え)。
2話の「66億1千万~」という台詞も印象深い泣きどころではありますが、個人的には6話のクライマックス。
スミレが優等生の塚本水樹と友達になりたくて、水樹の誕生パーティを開くというシーンです。
水樹は両親の口論から逃げ出すようにスミレ達の元へ来たのですが、両親ですら忘れていた誕生日を、こんな風に同級生が祝ってくれたりしたら…心が融解しちゃうぜぇ~…て、もう涙腺がウルウルして…くそぅ、イイ話だなぁ…と。
そこで、水樹が…
「私、今日…誕生日じゃないけど…」
ちょ、ええー!
なにそれ。ひどい。
オレのさっきの感動を返せ! と本気でカチンと来た名シーン。
そんな素敵に泣ける話もいっぱいなのが「スミレ16歳」(ちょ)。
■あぁ…スミレ…意外と深い(こら)まぁ、基本ふざけた番組ではあるのですが、とても真摯な作品だったりするのも事実です。
凄く真正面から「友達って何?」とか「人って何?」とか思わせてくれるのです。
スミレは色んな人と友達になろうと試みますが、まず間違いなく最初は拒否されます。
おそらくスミレが人形ではない、普通の人間であったならば、彼女の事を友達と受け入れてくれる人は少なからずいる事でしょう。
でも劇中では決してそうはなりません。
だってスミレは変な人形だし、後ろに変なオヤジいるし。
ならば友達になる為の条件というのは何なんでしょうか。
人間の身体を持った自分と近しい年齢の人? でもその条件を満たす人間がみんな友達なのかと言えば、決してそうではない。
一緒に笑い、泣き、怒り、悩み、どんな時でも信じてくれるスミレは、間違いなく友達としての一番大事な条件を持っている。
それを人形だから、オヤジがいるからという、表層的な理由で友達にはなれないと言ってしまうのだろうか…と。
友達とはそういう表層的な理由で繋がる絆なのだろうか…と。
目の前に見える事象に囚われるのではなく、あくまで自分の感じた物を信じれるか否か、というコトなんですよね。
それを、オヤジだろうと人形だろうと、スミレは親友だと言える蓮華達は、結構熱くて素敵です、ぅぅ…。
とはいえ、普通に考えれば後ろにオヤジのいる人形となんて誰も友達になりたいなんて思いません。その誰にも相手にされないもう一人のスミレとして現れたのが、フランシスコ・ビオラⅢ世。
口癖が「ござる~」「切腹ぅ~」というビオラは、スミレと同じく友達を作ろうと奔走しますが、結局クラスで孤立してしまいます。うん、そりゃそうだ。
スミレにあってビオラに無い物、それは心だと…謎の校務員も言っておりました。
心の無い人形はただの人形でしかないのです。
いや、それはつまり心さえあれば人形だって人と同じになれるというコト。
スミレは確かに人間では無い。けれど、人形でも無いのです。
四谷スミレ16歳、ピッチピチの女子高生。ただそれだけなのですよ、ええ。
■不服ぅ~!ということで、結構面白いとは思うんですが巷で全然話題に登らないので、何だか切ないそんなドラマ…。
なんか、BSで再放送するらしいんですが…深夜でもイイから地上波でやってあげてほしいです。
そうすれば、もしかして「スミレ17歳!!」に続く…といいよね?
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コメント
リクエストにお答えいただき
ええ、あれは形こそシュールですが、差別やいじめに真っ向から取り組んだドラマでした(本当か?
しかし、私は校長が一番の常識人だと思います・・・。
本当理事長の独裁に振り回されたペペが不憫でした(笑)
中盤を早回し気味に見てたんで分からないんですが、理事長とオヤジの関係とかは語られたんでしょうか?
しかし、みんなはオヤジ(スミレ)の見舞いは行かなかったの?(笑)
2008/07/04 18:52 by nationwise URL 編集
◇コメントありがとうございます!◇
現代社会に対して一石を投じた問題作でしたね(え)。
理事長とオヤジとの関係は…たしか、校長が理事長に四谷スミレは何者なのかと問い詰めた時…
理事長「彼女は…私の娘だ」
校長「ええ!?」
理事長「ウソだ」
…みたいなやり取りはありましたが(おい)、結局何者なのかは言及されていませんでした。
オヤジの謎が解ける日は…来るのかしら。
原作でも最後まで明かさないでやり切ってくれるとか…?
2008/07/04 21:34 by TJ-type1@管理人 URL 編集