巷で評判の高い「ちりとてちん」。
笑って泣ける、とても正統派な人情喜劇。
伏線の張り方とか対比構図の使い方が上手いとか色々書いていると長くなるので割愛(え)。
そもそも。
「朝ドラ」と呼ばれるNHKの連続テレビ小説なんてーものはですね、十中八九つまらんのですよ!(ちょ) 実際、朝ドラが10作品あったら内8~9作は苦笑いを噛み締めるようなモノばかりなわけでね(オレ調べ)。
時々ふと正気に戻って「惰性で見てるだけじゃね?」とか思ってしまうんですよ。あぁひどい毒。
だけど、そんな荒れ果てた荒野の中にも…本当に時々「これは!」という作品が出てきたりするのです。
その数少ない当たりに出会えた時は本当に嬉しいんですよねぇ~。だから無理しながらでも残り8~9作を見るのかなぁ…。(もしくはデフォルトの位置が低いから、普通に面白いだけでもスンゲー面白いと感じるように飼い殺されているだけなのかも…)
朝ドラというのは何故だか分かりませんが全話一人のライターにだけ任せるのが通例なのですが、
「ちりとてちん」では藤本有紀さんがそうでした。
個人的には藤本さんというと…「ブレーメンの音楽隊」とか「ギャルサー」しか分からないのですが、正直言って初回のテロップを見た瞬間「大抜擢じゃね?」とか思ってしまいました。えろうすんまへん。
フォローじゃないですけど、ボクは「ブレーメン」も「ギャルサー」も好きですよ、ええ。ほ、本当だよ?
「ブレーメン」はNHK教育の小中学生向けドラマではありましたが、テンポの好いコメディと素直な青春ドラマが素敵でした。三部構成で現代・70年代・終戦直後と分かれていましたが、一人の少年と洋館を軸に、徐々に要素が繋がっていくのがとてもカタルシスがあって面白かったです。
藤本有紀という名前は男性なのだろうか女性なのだろうか…とか思いながら見てたなぁ。
「ギャルサー」も同じくテンポの好いコメディですよねぇ。要するにアレって、カウボーイが教師でギャルを生徒とした学園ドラマの構図だったんですよね。商店街のやる気無い大人達は学園に希望を持てない教師たちだったんだなぁ。
そう考えるとシンプルだけどアイディアある学園ドラマだよなぁって。まぁ普通の学園ドラマじゃ古田新太でジェロニモとか無理だよね。あぁ、やばい、思い出しただけでジェロニモが面白い…。
こちらも面白かったとは思うんですが、惜しむべくは…何か地味だった…んですよねぇ。
数字が奮っていたという記憶は無いもんなぁ。
「ちりとてちん」もそうですが、テンポの良いコメディでライトなノリ、あと悪い人が出てこないってのが共通項な気がします。そのテイストと「落語」というモチーフも相性好かったのかも。
個人的見解ですが…落語の世界の大きな特徴って、「なんでもあり」ってコトなんだと思うんですよ。
極端な話、「死」ですらも笑ってしまおうというのが落語の世界。
世界に溢れる辛い事や悲しい事、それをそのまま「泣ける」としてしまえばそれは「悲劇」ですが、それはそれで「笑える」として「喜劇」にしてしまうのが落語なのではないかと。
悲しいとか可笑しいとかとゆーのは、結局捉え方の違いだけで実は同じ事なのだ、というのはよく言われることですしね。
そういうどんなコトでも笑ってしまおうじゃないかというのが、たくましい落語の世界だと思うのですが、ここで朝ドラですよ。
朝ドラという番組は非常に特殊極まれる番組です。
毎日15分の放送でドラマとして成立しなければならないし、朝の忙しい時間帯に放送するので画面を見ずに台詞だけでも分かるようナレーションがいやに多いとか(だから「テレビ小説」なんだけどさ…)、1~2日見忘れても展開が分かるようにしなければならないだとか…縛りが多いですよね、ホント。
また、週に90分を半年間という尺の長さも特徴ですね。
だもんで、大抵の朝ドラはある一人の女性の半生なり一生なりを追う事になるわけですが…そうなると当然出てくるのが“近親者の死”というドラマ。
確かにドラマとしては当然といえば当然なんですが…
正直いって…朝から「死」とか重いねん!
基本的に朝観るという事を前提に作ってる番組なんですから、「今日も一日頑張ろー!」と思わせる事が使命というか…それなのに朝っぱらから鬱気味にさせる朝ドラの多いこと多いこと…。
アレとかアレとかアレとか…(実名は伏せるが)
逆に、それを描きながら重くも無く、かといって軽くも無い感じをかもし出していた「てるてる家族」は凄いと思った。うん、「てるてる」も数少ない当たり作だったなぁ…。
つまり朝ドラってのは一日の精力剤として存在しうるモノだとボクは思っているワケでして。
その辺考えずに普通のドラマやってると腹立つんですよねー、うん。
その「朝ドラ」の役割と「落語」の何でも笑ってしまえという精神は、非常に通じ合うモノだと感じました。哀しい事も苦しい事も、笑ってしまって一日を頑張りましょうよ、という温かい世界。
落語の世界ってある意味最強だよなぁ…敵う気がしないもんなぁ。
ホンの少し見方を変えるだけで、世界はキラキラ輝きだすのかもしれないのですよ… そう、若狭塗り箸のようにね(え)。
あれ…?
おかしいな。
本当に簡単にさらっと書くだけのつもりだったのに…。
よほど朝ドラに対する恨み辛みが溜まっていたのだろうな。
そしてきっとこれからも溜まっていくんだ…うわぁ…
まぁ要するにアレだろ。
「ちりとてちん」面白かったというだけの記事ですよ。
なんてこった、一行で済むじゃないか。まいったぜ。
でもやっぱり…あれは実際に見続けていないと感じられない面白さなんじゃないかな。
どんな味かは自分で確かめてみるのが一番ですよ。
「ちりとてちん、どんな風に面白いねん。
わし、見たことおまへんねんけど」
「へぇ、ちょうど…豆腐の腐ったような味で――」
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