■Denebクリスマスも終わった年の瀬、周囲の仲間やクラスメイトまでも変化していく様を間近に感じ、ひとり取り残された気持ちとなっている星奈さん。
星奈さんが星を好きになったのは、天文台のプラネタリウムで星の解説を聞いたことにあるという。デネブ・アルタイル・ベガ、夏の大三角の星に自分と両親の姿を重ねて、自分が星になった心地となる。
そして、見る人によって繋がる星が変わる星座に想いを馳せ、自分流の星座を描くようになったのだと。
星奈さんは幼い頃から、自分は自分という個人主義な、一人でも平気なお人だった様子です。さらりと今まで友達があまりいなかった風に語られていますけれど、かといって孤独に悩んでいた風でもない。
自分の好きな事に邁進する、明るい個人主義といった一人でも完結してしまうタイプなので、ある意味では人との繋がりを是とするプリキュアのテーマで語り辛い存在と言えるかも…?
とはいえ、星を繋げる星座は人間関係を意味していますし、そんな星座を色々と独自に思い描く星奈さんも、色んな人と繋がりたい願望、他者への興味はあるのだと語られています。
生徒会長に立候補してみたり、仲間と変わらず一緒に居たいと思ったり、周囲の成長に戸惑いと焦りを感じたり、自分は自分という自意識は早く持っていながらも、周囲と同じで居たいと思う共同体の意識もまた育っている。これもまた思春期らしい感情。
星奈さんが自分を重ねていたデネブは、夏の大三角形を描く星ながら冬にも見ることは出来る。8000年後には新たな北極星となって輝く星になるとされている。
デネブは周囲の環境が変化しても、ただ変わらず輝いて、いつか人々の指針の星となる存在なのだ。
カッパードさんは、人は変わるモノなのにお前はいつも同じコトばかり言うヤツだと、星奈さんが変化しないコトをネガティブに言ってくる。
それは星奈さん自身が、自分の変化の無さについて同様に思っているからこそ、重たく響く。
一方で、ララさんは星奈さんのおかげで周りが変われたと伝える。
星奈さんの言う理想に周りが付いて行こうとしたからこそ変化が起きた。星奈さんの言葉は、周りの人々の指針となっていたからこそ、変わる必要は無かったし、変わらないからこそ道しるべとなる。
星奈ひかるは、いつか北極星になる女なのだ。
カッパードさんの母星は水に溢れた星でしたが、旅人の異星人に水を分け与えた結果、滅びてしまったと回想されます。分け与えた事によって身を滅ぼしてしまう。「幸福の王子」そのものです。
だから異星人同士は分かり合えない、理解し合えないのだと訴える。
一方で、カッパードさんは恐怖によって人々を思考停止させようとしている人でもあります。
しかし、恐怖は知る事、理解する事で低減されるモノ。
他者の理解を拒むカッパードさんは、自身の言う思考停止の状態であり、その根源に恐怖があるのだと見透かされてしまう。
恐怖によって人々を思考停止に陥らせようとしているカッパードさん自身が、恐怖によって思考停止していたと星奈さんに喝破されてしまうのでした。
思考停止は前作の時間停止と同様に、未来の可能性が途絶える様を意味していると思いますが、同時に理解の拒絶によって発生するとも描かれて、今シリーズのテーマとしても腑に落ちるモノになりました。
シリーズ間のテーマを引き継ぎつつ、今年の個別テーマとしても処理していて、なるほどなぁと膝を打ちます。ふむむ。
■Pole star自分とみんなと、双方ともに未来へ進んでいくコトを思い描くトゥインクルイマジネーションが揃い、2020年へと続きます。
おかしい…つい最近始まったばかりのシリーズがもう終盤に…。
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コメント
2020/01/09 21:35 by アメ猫 URL 編集
◆コメントありがとうございます◆
なぎほのは物語のキャラクター的な、救う・救われるとかいう関係性でもないし、そういう逆算されて作られていない感じが生っぽい中学生みがあるんですよね。
相方と出会った事とか、プリキュアになったこととかで変化したり成長したりするでもないので、物語の為に作られたキャラクターという風にはなってないのが、良くも悪くも魅力的な部分なんですよね。
やはり初代が一番「ヘン」な作品なのですなぁ。
2020/01/13 06:53 by TJ-type1@管理人 URL 編集