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2019年 03月 24日

SF。

■骨降る星

宇宙へ飛び出した御一行。
星空界のケンネル星なる惑星へと降り立ったのでした。
そこは、ホネ形の石がそこら中に溢れ、毛むくじゃらの星人が住む星でした。

ファーストコンタクトで現地住民を犬扱いする星奈さんに対し、現地星人の方は毛の薄い地球人に憐みの情を抱いておりました。
このケンネル星では、美しい毛並みにこそ価値があり、地球人のような中途半端な毛並み、ましてプルンスのような無毛種には憐憫の眼差しが向けられるのです。
地球とケンネル星は価値観も違うし、挨拶の仕方、文化もまるで違うのです。

このくだりを地球人の視点で見ていた視聴者は当然、「そっちの価値観で憐みを向けられても…」と思うわけですが、つまりこれはあれです。カッパードさんを「ハゲだ、ハゲだ」とバカにしていた視聴者に対し、「キミ達がしているのはケンネル星人と同じ行為だよ」と意趣返しになっているのです。
視聴者がカッパードさんをバカにすることまでを放送前に想定した話作りが成されているのだ…。
いやぁ恐ろしいなぁ…。

ケンネル星では空から何故か骨が降る。
その骨が石なのか雪なのかは分かりかねますが、ケンネル星人は毛が生えているおかげで骨が当たっても痛くないとの事です。
その星特有の気象条件の影響によって長毛種が進化した星であり、そこに価値を見出す文化が生まれたのだと分かります。

犬っぽい住民とか、骨が降るとか、そこだけ見るといつものプリキュア的不思議世界なのですが、そのわずかな説明によってケンネル星特有の進化と文化が出来上がる理屈が成されていて、しっかりと「SF」に仕上がっているのですよね。あ~…嬉しい。

ケンネル星の神殿に祀られているスタープリンセスペン。
それを引き渡して貰うように頼んでみますが、交渉決裂と相成りました。
ペンの回収は宇宙平和の為でありソレイユの力にもなるのだから、もはやケンネル星人の気持ちなど無視しても構わぬ!とプルンスは断行せんとしますが、天宮さんは星人らの笑顔を犠牲には出来ぬと言う。

「宇宙平和の為」「ソレイユの為」というのは、言い換えれば「全体の為」「自分個人の為」のコトであり、全体と個人の利益が矛盾しないのならばそれで良いのではないか…と思わせます。

しかし、それはケンネル星人の意向を犠牲にする事であり、つまり結局は全体の利益の為にマイノリティの意思を無視しているコトと同じなのです。

仮にケンネル星人を犠牲にしたとしても、天宮さん個人は利益を得る側、マジョリティ側に属している。
全体の利益になり、自分自身は利益を得るマジョリティ側に属している時、人は果たしてマイノリティとなる人たちの思いにちゃんと耳を傾けられるのだろうか…とこの話は訴えています。

天宮さんは、たとえ自分がマジョリティで利益を得る側だとしても、誰かが犠牲になるのは嫌だとちゃんと言葉にします。
自分が損するワケではないのなら…と誰かの犠牲を知っても見て見ぬ振りするコトも多い世において、それは太陽の如く輝く理想の姿なのです。
ポップに描かれつつも、これは今この国で、世界で自分たちに突きつけられている問題なのだと分かります。
これは、私たちの物語だと。

そんなことをしている間にカッパードさんもやって来て、ペンの争奪戦となります。宇宙を守ろうとするプリキュアか、宇宙を支配しようとするノットレイダーか…宇宙の覇権を競う戦いが繰り広げられます…がしかし、そんなことはケンネル星人から見れば関係ない。
どちらも大事な骨(ペン)を奪いに来た略奪者に過ぎない。

価値観の違いを理解する…それはつまり相手の立場になって考えるという視点の変化を想像する事。イマジネーション。
自分の未来を思い描くイマジネーションもありつつ、相手の立場や気持ちを想像するイマジネーションもある。その一言でプリキュアとしてのテーマが幾つも込められる。

プリキュアさんもノットレイダーも、ケンネル星人から見ればほぼ同じ。
ではプリキュアさんがカッパードさん達と違うと言える差は何なのか…といえば、それは「理解」にある。
ケンネル星人は天宮さんの気持ちを理解するし、プルンスは毛を生やす事でケンネル星人の価値観を理解する。一方通行ではなく、相互理解する。

その理解の根幹にあるのがイマジネーションなのです。


■日帰り宇宙探索ツアー

今までのシリーズに無い要素なので、はてさてどんなモンになるのかなーと思いましたが、予想以上に可能性を感じて好いです。
作品として「価値観の違い」をテーマに据えているらしいので、必然「モジャ公」や「21エモン」のような、藤子・F・不二雄のSF漫画的なノリになっているのが個人的にも実にツボです。あー、もう好き。
不死の惑星で自殺フェスティバルやる回が楽しみだなぁ…。

今回の話も、自分で記事を書きながら考えていくと、こんなにエスプリが効いた風刺ネタだったのかと気付かされます。
いや…もうこれなんていうか…普通にSFじゃん! と困惑していて…とても良きです…。

次回は香久矢さんお当番回。
天宮さんと香久矢さんのテーマはニコイチみたいな部分があるので、次回はマイノリティ視点での…とかだろうか。

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