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2018年 08月 30日
一海が散華して哀しみに包まれる一同のもと、気軽に現れるエボルト。
ボコボコにされるビルドたちの中、エボルトリガーを破壊する為に粉骨砕身、粘り強く立ち向かうローグ。
しかし、人々の声援の中、力尽きて消えてしまう。



「大義の為の犠牲となれ!」という決め台詞、悪役の時は分かるんだけど寝返っても言っているの怖くないですかね…と劇場版を見ている際に思ったのだけど、このエボルトとの対決によって、実は相手に言っているのではなく自分に言っていたのだと分かる。
大義の為に手を汚す事、大義の為に自分の命が失われる事。
たとえ自分がローグ(悪役)になろうとも、全ては大義の名のもとに。

シリーズ前半から中盤、ダークローグから仮面ライダーローグへと変わる中、悪役として気張ってくれた幻徳さん。
仲間となってはいるものの、結構積み重ねた悪事も多いだけに本人自身も複雑な心境だった事でしょう。
赤羽を死に追いやったコトを一海から許され、苦しめてきた人々からは「仮面ライダー!」という声援を貰う。

序盤の悪役が「仮面ライダー」というヒーローとして認められるまでになったのだなぁと。

振り返ると一海と幻徳、内海に葛城パパ、ビルドとクローズ以外のライダーはみんな亡くなってしまわれる。前作の振り戻しかってぐらい死んでまうなぁ。
ただ、死んだ人間の想いは生きている人間が継いで、また構築するという話になっている。つまり「破壊」もまた「構築」に必要なコトであると。破壊をただ否定するのではなく、受け入れて更に新しいモノを作る礎とすればいい。

そんな幻徳の頑張りもあってトリガーは破壊され、その破壊のおかげで目的通り白いパネルと黒いパネルは合わさり、この世界とスカイウォールの無い世界との融合、新世界の創造が始まった。


宇宙の裂け目に放り込まれても割と元気なエボルト。
またも万丈を吸収し、戦兎との一騎打ち。

勝つのは破壊か、創造か――。

ニセモノのヒーローとしてエボルトによって生み出されたビルド。
そのビルドが本物のヒーロー足りえるのは、周りの人たちのおかげ。周りの人々によって桐生戦兎、仮面ライダービルドは創造されたのだと。
それはつまり「人間」という存在そのものを意味している。

人間は一人では生きていけない。
自分と他者と、双方が反応し合う事で人間は出来上がり、生きることが出来る。人の中身は一色じゃないし、一人の人間の中にいろんな顔があるのです。
だからこそビルドドライバーには2本のボトルを指すように出来ている。
万丈を吸収して優位に立ったエボルト…かと思いきや、最後の最後でその万丈によって動きを止められ、散る事に。
要素が反転して別の意味を持つ、というのも作中で何度も描かれていたことですね。

出来上がったスカイウォールの無い新世界。
そこでは初めからパンドラボックスもスカイウォールもない歴史が紡がれていたため、誰も戦兎やビルドの事を覚えていない。
しかして、死んでいった人間たちも死んでいない歴史の中で生きているコトになっている。佐藤太郎…!

あの戦争の事を覚えているのは戦兎と万丈のみ。
戦兎と万丈はこの世界に本来存在してはならない人間のため、特異点として記憶を有したまま残されたのではないかというのは戦兎の推測。
つまり、存在しないはずのエボルト因子を持っている万丈がというのは分かるとして、顔は違えど本来なら葛城巧でしかない桐生戦兎までイレギュラー扱いになるというコトは…葛城巧と桐生戦兎は別人であると、この宇宙自体がそう判断したというコトになるのか。

世界を救ったはずなのに、それを覚えている人間はいない。
感謝も賞賛も無く、誰にも知られること無く世界を救ったヒーロー。
劇場版で戦兎が言っていた言葉が、より明確に具現化された印象です。
「ビルド」は「仮面ライダーがテーマ」らしいので、この「人知れず」という部分もやりたかったコトの一つなんでしょかね。

誰も覚えていない…だけだと「寂しい」とか、「全ては幻だったんじゃないか…」で終わってしまいますが、万丈も共有してくれているというだけで、それが現実に合った事だと信じられるし、色々と救われる。
まさしく、万丈が戦兎をヒーローにしたし、戦兎が万丈をヒーローにしているのだなぁと。

新しい世界を構築してはいるものの、今までのコトは破壊されてしまっている。破壊も創造も表裏一体の出来事。
ラブ&ピースの為にどちらも必要なコトなのだと…。


そんなわけでの「仮面ライダービルド」最終回。

改造人間だとか、国家間の緊張状態下での抗争など、初代が描かれた70年代当時の状況を再現しつつ、現代的なテーマで「仮面ライダー」を再構築するとのコトでした。
終わってみればなるほどハードな展開も多く、原典返りを目指していたのも分かる。
シリアスな分、前シリーズ同様に回を重ねるたびギャグ回が入れ辛いという弊害(?)もあるのですが(ぇ)。

「科学」が一つのテーマだったワケですが、科学によって作られる平和と戦争を通して描かれるのは、結局以て「人間」の両面性。
エボルトが感情を手に入れたのは、より人間の醜悪な部分を煮詰めた存在に近づくためだったのかもしれんなぁ。
ただの「カイブツ」になっては意味が無いし。


仮面ライダーの“破壊者”が誕生してからおよそ十年。

「創造」の名を持つライダーが破壊と創造を描いたわけですが、その実、結構“破壊者”と似たテーマ語りでもあるのでした。
人は過去と共に未来へ向かうしかない。

たとえ平成という時代が終わっても…。

そして次代の王へ――



以上「仮面ライダービルド」のレビューでした。
ありがとうございました。

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TAGS : ビルド
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