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2017年 11月 17日
今回の劇場版はいつぞやぶりにパリが舞台。
そういえばアラモードでは異世界なるモノがちゃんとは出て来ないですね。謎生物は元から同じ世界で暮らしているし、ノワールさん達が何かよく分からん砂漠にいるぐらいかしら。
この辺は異世界モノを堂々とやった前シリーズの振り戻しになっているのかもしれんなぁ。


そんなわけでパリのパティシエコンテストに参加する運びとなったキラ星さん他。
妙な術にはまってアンラッキーなスランプに陥る中、パティシエの師匠とも呼べるジャン=ピエールと再会し、自身の過去を振り返りつつ、今の自分を肯定するお話。

例年の劇場版とは、ややアプローチの違う今作。一部に「怪作」とまで呼ばれているのも、見ればなるほど腑に落ちる。
プリキュアさんの秋映画はそのシリーズのテーマを一本で見せるという約束事のもと、割と真面目になりやすい傾向が強い。そんな中、今作ではギャグ描写に定評ある土田監督だけに、なかなかぶっ飛んだギャグも多い。
それも、キッズアニメらしいベタベタな分かり易いギャグだけでなく、特にツッコミも無くじわっと笑わせるナンセンスな笑いも多く、笑いに対する貪欲さが見て取れる。
明らかにホンには書いていない(書けない)、演出で足したであろうギャグ描写も多いのである(ツッコミがないのはだいたいそれだろうという印象)。

そんなカオスやナンセンスな世界の中においても、秋映画らしく作品テーマはしっか描くわけである。

今回の主役はキラ星さん。
パリではピカリオさんに対する注意が行き届かず、今となっては苦い思いが残っている。

対峙するは、世間に認められてはいないが本人は特に気にしていない天才パティシエ・ジャン=ピエールと、世間に認められたいという自己顕示欲の怨念となった過去のパティシエ。
自分で自分を認めるコトと、他人に認められるコト。
両方とも大切ではあるけれど、それぞれに両極端な二者が今回のゲストであり、敵キャラ(?)。

対してキラ星さんは、自分の事にかまけるあまり弟がグレてしまい、その後は仲間に救われつつ、自分の良きも悪きも認めるという経験を経ての今となっている。

クライマックス、ジャンとクックが融合してラスボスとなる。
ふたりは見ているモノが違うながら、自分以外の人を認めていないという共通項がある。ジャンは1人で作ったスイーツこそ至高だと言うし、クックは自分を認めなかった世界を破壊しようとする。
これは、パリ時代に失敗を犯したキラ星さんの象徴でもある。
自分が成長するコト、自分が認められるコトを考える余り、他の人の事を見ていなかった。

過去のキラ星さんと今のキラ星さんとの違い、それが仲間を認めるか否か。
だからキラ星さんは仲間と共に作ったお菓子を食わせるしかない。その想い、キラキラルが詰まったデカいスイーツを経口摂取させて、認めさせるのだ。

今回の映画のクライマックス、これがプリキュア映画のクライマックスなのかと思わせるぐらいの変化球でもありますが、しかしこれは当然の帰結だよなと大いに納得もする。

肉弾戦禁止、スイーツを作る、キラキラルで想いが伝わる…といった、アラモードの約束事やテーマを守ったうえで作劇するのであれば、必然的にクライマックスはバトルではなく調理シーンになるのです。
いや、ほんと、当然そうなるよね。むしろこのルールにおいてテレビシリーズでは調理バトルしていないのが不思議であるとすら思います。
そのぐらい、今回の映画は変化球なようで、「キラキラ☆プリキュアアラモード」という作品においては王道な構成になっていると思う。

スイーツに込められたキラキラルで相手の気持ちが分かる。食べただけで気持ちが伝わる。
これ、つまりグルメ漫画における「どんな問題も食い物を食わせて解決」を可能にする設定そのものですよね。であれば必然、アラモードの行きつく先はグルメ漫画にあると言えるわけです。

村山さんが映画の前日譚として37話を書いておりましたが、それも映画と同じくグルメ漫画的な要素があって、これは村山さんが「トリコ」を書いていたからとかではなく、設定から作劇を構成すればそうなるという帰結でしかないように感じました。

なので、やはりテレビシリーズでも最終的には、スイーツに絶望した過去を持つノワール様にスイーツ食わせて改心させるみたいな終着点しかないのではと思えるわけでな。

キッズ向け番組特有の、妙にカオスなノリを劇場版で楽しむための映画であったなぁと感じました。アラモードは割と普段は真面目なだけに、その劇場版がこれなのかというカウンターを繰り出してきたような。

いつもは単体の秋映画で魔プリもゲストで登場するという試みが行われていますが、割と適当な理由で参加しているのが実にほっこりでした。

例年のアクションばりばりな映画ではないけれど、こういうアプローチもあるのかというプリキュアさんの映画の可能性がまた一つ広がったように感じます。

プリキュア 各話レビュー
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