■CUREUP RAPAPA約束の再会を果たした朝日奈さん達。
昔を懐かしんでの楽しいひと時が始まります。
いつかおばあちゃんが言っていたように、昔の友人に会うと途端に子どもの頃に戻ってしまう…というか、本当に身体が中学2年の頃に戻ってしまう。
はーさんの更にパワーアップした魔法によるものです。それ、いつか使われていた闇魔法じゃないですか…と思いますが、もはやはーさんは光も闇も飲み込んだ存在なのだろうなぁ。神様だし。
しかもわざわざ一回しか使わない変身バンク(?)を。
リコさんは魔法学校の教師に、はーさんは宇宙を超越した調律者になっているとのこと。
現状報告をしながら思い出のイチゴメロンパンを味わおうとした矢先、イチゴメロンパンがドクロクシーさんの分身に奪われてしまう。
プリキュアさんの食い物を奪う。もうこれは分子レベルで消される覚悟が必要です。恐ろしや…。
ドクロクシーさんを追うと、そこは魔法学校。
今では人以外にも、人魚やペガサスその他諸々の方々がここに集まっているのだとか。繋がったのは二つの世界だけではないのです。
バッティさんは生徒となり、ソルシエールさんもしれっと混ざり、クマタは商店街で飛んでいる。
「カーレンジャー」の最終回を思わせる、かつての敵とも仲良しになっている様がほっこりします。焼肉屋で働いている人もいるのかしら。
ドクロクシー様は生前から甘いものがお好きとの事で、その虫歯から具現化した分身は、世の甘い物を全て独り占めしようとしているのではと推察されるとのこと。
スイーツを追って別の世界へと飛んだ朝日奈さん達は、そこで謎のスイーツショップに行き当たる。
そこでは中学生ほどのパティシエールが創作スイーツを作ってくれる。
スイーツは人を笑顔にする。我々もイチゴメロンパンでいつも笑顔になった。思い出のスイーツなのだと朝日奈さん。
最終回にして猛烈なイチゴメロンパン推しです。さすがに商品展開していない冷凍みかんを推すのはおかしいのではとお気付きになられたんでしょうか…。遅いが…。
いや、そんなことはともかく。
来期の主人公であるところの宇佐美さんが出ています。ガソリンスタンドぽい宇佐美さんが。
長らくに渡り、シリーズを超えた共演をテレビという場でやってほしいと願っていましたが、ついぞ叶ってしまった…!
願いは奇跡を呼び起こす…本当だったのか!
今回やけにイチゴメロンパンを押していたのもスイーツで繋げる為。
「魔法つかいプリキュア!」の最終回でありながら、同時に「キラキラ☆プリキュア アラモード」へのブリッジにもなっている。
これもまた、“意味変化”“2in1”と言えるかな。
こういうお話、ライダーでは「ウィザード(奇しくも魔法使い)」の最終回からやっているのですが、とうとうプリキュアさんにも…。
これも全てディケイドの所為… いや、グレートマジンガーの所為か?
宇宙刑事でもやってるし、ある意味、東映のお家芸。
いやぁ…長年の夢叶い、嬉しいぞ、これは…。
次は1年かけて全シリーズ登場する例のあれっぽいシリーズが欲しい(毎年言ってるやつ)。
新たなプリキュアさんとの出会いを果たした朝日奈さん。
出会いは繋がりが広がるというだけでなく、自分自身を新しい自分に変身させてくれる。だからプリキュアさんは手を繋いで変身するのだ。
ここで、朝日奈さんとリコさんによく似た幼女先輩が登場しますが、キャスティングは外見とは逆になっているという仕掛けが仕込まれている。
みらいがリコ、リコがみらいになる別視点の世界。そこでもふたりは仲良くなっているのだろうと…。
朝日奈さん達の食べ物を奪ったドクロクシー様には最後の変身を遂げたプリキュアさんから怒りの鉄槌…ではなく、虫歯の治療が成される。やはり齢を重ねると優しくなるのか…。
甘い物が欲しいドクロクシー様と、たまたまハチミツを持っていたチクルンとの取引が成立し、ドクロクシー様も満足気。
この、「友達と友達が自分を介さずに仲良くなる」という世界の広がり方も、また魔プリらしい描写の一つです。ドクロクシー様が朝日奈さん達の友達か否かはともかくとして。
バッティさんも復活したヤモーさんも、更にはガメッツさん、スパルダさん、みんな自分の心の求める事をしている。
この辺も自我が消えてしまうデウスマスト眷属との対比と言えるか。
ドクロクシー様は悪役ではあったけど、部下(子ども)にはそれぞれの自我を与えているのだなぁと。
また、冷凍みかんに戻ったはずのキャリッジが朝日奈さん達の元へとやってきます。これって、来いと言って来るわけではないので、冷凍みかん自体に判断能力がある、つまり自我があるってコトですよね?
キャリッジはプリキュアさん達の絆の中から生まれてきた存在なので、テーマに即すとプリキュアさんを親とする“子ども”的存在。はーちゃんさんの兄弟にあたるのです。
魔法体系の中から生まれてきた“子ども”は、正邪に関わらず自らの独立した心があるというのが貫かれている。
その他の皆さんの近況を見せつつ、朝日奈さん達はもっと世界が繋がり合えるようにと決意を新たにする。
水晶さんが感じた新たなお告げ、世界を大きく変えようとする力の目覚めとは、邪悪なそれではなく朝日奈さん達のものであった。
人と人との出会いは、自分も世界も変えてしまう力がある。
出会いは奇跡なのである。
ややメタ的には、新たな番組が生まれてくる気配…という風にも読み取れる。幾つもの意味を内包するのもまたテーマの一つなので、さもありなん。
どう読み解くかも心の自由の範疇よ。
みんなの未来を描きつつ、新番組という更なる未来へもバトンを渡す最終回。
前回のエモーショナルなお話もいいけれど、わちゃわちゃとお祭り感あるこういう最終回も実に“らしく”て楽しいです。
本来忙しなくなってしまう筈の終盤でこんな構成が出来てしまうのは本当に凄い。大胆やで。
前作は前作で「出し切っている」と思っていたんだけど、こちらもまた別アプローチの中で「出し切っている」なとひしひし感じる。出し惜しみ無し。
あえて…。
あえて言うなら…、「鍋」が…出なかったことですね。
クロスオーバーの為にスイーツを仕込んでしまったので鍋が入れ辛かったのであろうとは思いつつ、残念です。
あぁ、来期のプリキュアさんがスイーツではなく鍋モチーフだったらよかったのに…。
■MAHO-GIRLS PRECURE!1年間50話の物語を終えた「魔法つかいプリキュア!」さん。
前作「Go!プリンセスプリキュア」との差別化だったのか、全く違うアプローチで1年間の話とテーマを紡ぎあげたなぁという印象です。
全ての要素をガチガチに組み固めてきた前作に対し、余白や遊びの多いのほほんとした居心地。でありながら、1年間の中で実質2シリーズ作るという大胆な構成で、これまでにない可能性を感じさせてくれました。
1年間、4クールという放送尺を有効活用するという意味においては、前作も今作も非常にレベルの高いシリーズ構成が成されていたように思います。
追加戦士という一種の約束事を利用して、4クールの前半・後半で2シーズン分のフォーマット(OP、ED etc...の変更)を盛り込むという発想はかなり驚かせて貰いました。
それもまた、「ひとつの物に幾つもの意味がある」という番組テーマ体現だったわけですけど、こんなシリーズ構成もありなのか…と感心しきりでしたよ。うーむ、なるほど。
では4クールという通しの中では何を積み重ねているのかというと、その全ては49話に集約される作りでした。
これまた前作との違いで言うと、前作がある種、全方位的にバランスを取った作り方だったのに対し、今作は1年分の話も設定も全て49話への布石でしかないという、怒涛の一点豪華主義という作り方。
同じ1年間を積み重ねる物語でも、これほどアプローチが違うかという対照的な作風です。
どちらもそのスタイルの中でやり切っていて、上手いなぁと感じる。
振り返ると、この1年の中で何度も別離&再会を描いているんですよね。ホント、「これがやりたかったんだ!」という思いが49話には溢れています。
スイートプリキュアとかゲキレンジャーに近いモノがあるというか、このスタイルは上手く行くと、爆発的なカタルシスが生み出されるなと改めて感じました。
1年分のカタルシスをここに詰め込んでの快感ですからね…恐ろしい。
作風という面では、第1話の時点からひしひしと感じていましたが、とにかく初期のプリキュアを感じさせる味わいの強さが特徴的。
というか、話を経るにつれて意図的に初代「ふたりはプリキュア」「- MaxHeart」へのオマージュが強いのだと気付かされます。
タイトルこそ「魔法つかいプリキュア!」ですが、これ実質久しぶりの「ふたりはプリキュア」でしょ! と。
「ふたり」という関係性に対するテーマへの掘り下げから始まり、2シーズン目で神の化身的な3人目が登場したりと、「無印」「MH」の物語を再現しつつ、当時よりも噛み砕いた説明とシリーズ構成で見せてくれているのではと感じました。
言ってみれば「昔」のプリキュアと、「今」のプリキュアとの融合によって生まれたシリーズ。
ただ古いだけでも、新しいだけでもない。一方で昔のプリキュアっぽいのに、一方で水着回があったりするのです。
それもまた「過去」「未来」が合わさるテーマに則しているのだと読み解ける。
番組では“ふたり”とその周辺(モフ、はー、家族、友人)程度にしか主人公の意識は行ってなくて、最近のシリーズと比較すると視野は小さくまとまっているように感じる。
最近の主人公はどちらかというと、「みんなを守りたい」と言えてしまうようなスケールの大きい人が多かったけれど、朝日奈さん達は自分の周辺に害が無ければ関知しないという、ある意味ではとても常人的であり普通の中学生的。
ですが、主人公の友人が主人公の関与しない形で仲良くなるという描写が重ねられることで、世界の広がりというモノを描いている。
始まりは「ふたり」なんですが、そこから関係性の輪が広がっていく。
それ自体が「プリキュア」というシリーズの暗喩のようだなぁと思ったりしました。
自分の記事を全話読み返していて気付いたんですけど、販促の入れ方がかなりお気に入りだったようですね、ボクは(ぇ)。
良い話だな~…と思ったら販促だった、みたいな流れが凄く好きなんです。昔の思い出話してる…いい話やん…と思ったらビーズメーカーが出てきたり、ストーンが出てきたり。
荒っぽさと丁寧さが同時に存在している販促は、ボクの嗜好にかなりハマッていました。
中でもモフデレラ回におけるキャリッジとプリキュア音頭の登場は最高オブ最高だったのではないでしょうか…。
あの話はホント、この13年間の中でも3本の指に入ると思います(個人の感想です)。
いや、もう、ああいうのだけで1年間見たいからね…うん。
■CONNECT「『プリキュア』はグローバル化というモノに対しての話なのだ」という事を随分前のインタビュー記事で鷲尾さんが答えているのを読んだ記憶があります。
個々の独立性を保ちつつ違いを認め合う事、多様性については変わらず描き続けられている。
今回のシリーズはナシマホウ界と魔法界という二つの世界を並列的に描いていることで、グローバル化への想いというコンセプトがこれまで以上に明確化されて描かれたようにも感じます。
「プリキュア」としての、古典的要素と新要素の組合わせから生まれたシリーズという、テーマそのものを体現しているようにも思う。
個人的な嗜好としては、相性が良くて楽しいシリーズでした。
のほほんとしつつ、縦軸も常にありつつ、自分の中では想定しえないシリーズ構成によるカウンターも食らって面白かったです。
ガチガチのモノよりは、このぐらい遊びがある方がどうやら好きらしい。
といったわけで――
平成プリキュア13作目「魔法つかいプリキュア!」。
楽しませていただきました。
関係者の皆さんに感謝しつつ、記事を終えます。
ありがとうございました。
⇒
プリキュア 各話レビュー
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