■彼方行方不明となっているカナタ王子を探索する一同。
しかし、そう易々とは見つかるわけもなく…などと言っていたら、以前知り合ったヴァイオリン職人のお爺様の工房にこっそり住み着いているのを発見しました。
ですが、カナタさんは残念ながら記憶を失っていて、自分の事も妹の事も覚えていないとか…。
なんてことだ…平成ライダーの1期でよく見るやつだこれ…!
カナタさんは自国の事も自分の名前すらも覚えていなかった。
妹やプリキュアさん、自分の生まれ育ったお城を見ても思い出さないのです。
10年近く会っていなかった妹さんでも、実質1日ほどしかちゃんと見たことが無い伝説の戦士プリキュアさんでも、自分が生まれ育ったお城が玩具になってしまった姿を見てもなお、何も思い出せないのです…!
なんてこったい…。
ならばと、自らが記憶を蘇らせたのと同様にヴァイオリンの演奏をカナタさんに聞かせるトワさん。
しかし、それですらも記憶の扉は開きません。
更にターンが変わり、春野さんが幼い頃にカナタさんと出会った原っぱへと連れ出しますが、これもダメ。
かつて、夢をバカにされて落ち込む春野さんを励まし、夢を忘れないでと言ってくれたその人が何もかも忘れてしまってそこに居る。
春野さんにとってのプリンセスとは、強く優しく美しい人。
それは絵本の中で描かれたプリンセスであり、カナタ王子のような人でもある。
そんな自分の夢の象徴が消えてしまう。
グランプリンセスになるとかホープキングダムを取り返すとかは、出来る出来ないかはともかく、ある程度の物理的努力をすればよいという道筋が見えているものだけれど、失った記憶を取り戻すというのは努力すれば解決に近づくとかいう問題ですらなくて、どうすることも出来ない、いわば絶望にとても近い状況。
これは恐ろしい。
そんな中、原っぱに居た女児さんがゼツボーグにされる。
女児さんの夢はプリンセスになること。
春野さんは、昔カナタ王子に自分が救われた事を思い出しつつ、今度は自分がその女の子が持つ夢を守ろうとする。
自分の憧れたカナタ王子は消えてしまい、もう戻らないかもしれないという絶望的状況。
ですが、カナタさんに救われた自分の夢はまだ失われずにそこにあり、その自分がまた別の誰かを助ける事も出来るのです。
王子は消えたかもしれないけど、私の心の中で生きてるよ…という事ですね(死んでない)。
「幸福の王子」では市民を幸せにしようとした王子が不幸になるという結末ですが、今のカナタ王子はまさにその状況にあります。
王国の為に一人で戦い、春野さんらを逃がす為に一人でディスピアさんに立ち向かった王子。しかし、力尽き…全てを失ってしまう。
世界は王子一人で救うには大きすぎる。
だから意思を受け継いでくれる者がより多く必要になるのです。
戦いは数だよ…(ぇ)。
ドキ、ハピネスでも描かれていた「幸福の王子」をベースにした愛の継承と拡散が如実に描かれている今回のお話でした。
実際に「王子」だのでモチーフが率直に出ている感はある。
ひとまず生きているし、記憶なんてものは戻そうと(制作陣が)思えばいつでも戻せるので、これからは王子自身が幸福になる救済を描く話でもあるのでしょうかね。
■トモダチ ケケーンといったわけで再度お友達から始める事となった春野さんとカナタ王子。
こうして握手は出来るのに、カナタ王子は遥か彼方へ行ってしまわれている。
むしろシリーズ前半時より遠いのです。
次回は、あの海生哺乳類がまさかの再登場かしら…。
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プリキュア 各話レビュー
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