■新世界紘太と戒斗の世界の命運を決める争いは紘太の勝利で幕を閉じた…。
黄金の果実を口にした紘太は人間を超越した存在と化して、新たな世界を創造する力を手に入れる。
アルティメット紘太とかオーバーロード紘太とかジョー岡田とか言われていますが、正直画面に映った瞬間から「くそ、笑わせに来てる!」と思い、格好が気になって初見では話が頭に入らなくなる罠でした…。
これは1話のホワイト舞さんからそうだけど、アニメでやるならいいけど実写でやるとコスプレにしか見えないのでギャグになってしまう辛さが…。
それは漫画やアニメが絵で強引に納得させている部分が大きいメディアってことでもあるのだけれど、今はとりあえずどうでもいいか…。
このジョー岡田風味の紘太さん、思い返すと1話で爆散していた裕也の姿にも似ている。主に金髪の部分だけですが…。
これは裕也がそうだという意味ではないにせよ、過去の世界の王を鎧武がぶった切って新たな王と成る様を既に1話で見せておいた、というコトになるのだろうか。
新世界の神となった紘太は、今ある世界を滅ぼして作る新世界ではなく、全く新たな星にゼロから世界を作ろうとヘルヘイムの植物もインベスも全て連れて移り住むことに。
紘太と舞は新世界の始まりの男と女となる…。
禁断の果実を食べて生命の樹があるエデンの園から追われ生きてゆくこととなったアダムとイブ。
聖書の物語に沿う様に、紘太と舞は新たな世界へと旅立ってゆく。
初めからゴールは決めていたという事でありましたので、モチーフ通りに収まったという印象ではありますね…。
いや、しかし…うーむ…そうか…。作中自体には問題はないのだけれど、個人的嗜好として「え、それでいいの?」と思ってしまう。
誰かの希望の対価として別の誰かが絶望するという宇宙の理。
その理に乗らない為に命無き星に新世界を作るというのは…分かるんですが、どうも…何だか結局同じ理の中に居て抜け出せていないように感じてしまう…。
確かに微生物一つ存在しない星なのかもしれないけれど、新たな土地の侵略という意味では今までと同じルールに縛られているような…気が…。いや、これは開拓だから…と言うかもだけど、オーバーロードが地球に来たのだって開拓と言えば開拓なわけで…うぅむ…。
それに、とりあえず地球は救われたかもしれないけど、ぐっさんはまた新たな世界で同じ事を試みるわけで…そこではまた絶望が連鎖するのではないのだろうかと思うのですが…。
番組の所為ではなく個人的な期待のベクトルが違ったのかな…というのは分かっています。宇宙のルール自体をぶち壊すんだという期待を募らせてしまっていたので、「あ、そこは別に壊すわけではないんだね…うん」と独り相撲の装い。
黄金の果実の力も、切り分けるベルトによってみんなで使うのかと思っていたので、うーむ…そうかぁ…と。
いや、つまり…作中要素を使ってこの回答よりももっと先の回答に辿り着けるのではないか…? という期待感がボクの中では大変強かったのです。
誰か一人の英雄によって世界が救われるという描写はヒロイックかもだけど前時代的だなと思えるので、より多くの人間が英雄化した方が現代的なヒーロー観ではなかろうか…と。
一人の英雄が世界を救う話は10年前のライダーでもうやっているので、「今更?」と感じてしまう…のだ。
それもまた初期平成ライダーの復権なのだろうか…でも価値観は現代的にまとめた方が…いや、でもライダーは孤高な方がイイのかな…。
ん~…ちょっとモヤモヤする。
それにお姉ちゃんからしたら、紘太が居なくなってやっぱり寂しいと思うのです。最終話では明るく振る舞ってはいるが…電話も出来ないド田舎に引っ越してもうたんやで。
これは希望の対価の絶望に当てはまらないのだろうか…と。
舞だってダンスを踊れなくなってるしなぁ…。
いや、ダンスを踊れるインベスさんがいたから…そいつらと…。
だもので、紘太の回答に対しては分からない事が多くてモヤッとしています…。
もっと良さそうな、多くの人が幸福になれそうな回答に辿り着けそうなのだがなぁ…うーむ…。
他の人たちもいつか紘太に近づけるように種をまくみたいなアレがあるなら…うぅむ…。
■旧世界そして、紘太が去って7か月…。
人々は街に戻り始め、貴虎お兄ちゃん主任も復活。
しかしミッチだけは自分を許せないでいる。
そんな折に現れるは劇場版に登場したコウガネさん。
アーマードライダーに復讐する為、仮面ライダー邪武となって復活したとの事。
フルーツライダー達の最後の敵はジャム…(ごくり)。
本筋のまとめは46話までに終え、最終話ではさらに取りこぼした部分を拾って紘太が消えた後の世界を希望溢れる様で描いてくれているエピローグ。
城乃内が黒影に変身するのはこの番組切っての熱さを感じてかなり燃えたのですが、あっさりやられて残念です…。
あとこれは初瀬ちゃんが消えたすぐ後にやるのが本当は良いのだろうなぁ…。
紘太が居ない世界でまともに戦える力を持っているのはミッチだけ。
ヒーローの居なくなった世界で、新たなヒーローになろうとする様は熱い…。
クロンダイク化した紘太さんの考えがピンと来なかっただけに、この最終話でみんながヒーローになるんだという展開は実に直球に現代的ヒーロー観を示していて燃えました。やっぱそうだよなぁ…。
やり残しを拾っていて実にありがたくて熱い最終回でした。
最終話を鋼屋さんが書くと聞いていたので、てっきりドライブと共演する特別エピソードかと思っていたのに、なんだよ普通のイイ最終回かよ(ぇ)。
■GAIMU「仮面ライダー鎧武」
初期平成ライダーのストーリー要素と多人数ライダーを復古したシリーズ。
久しぶりに2話完結エピソード方式を完全排除したフォーマットで、地続きのストーリーを1年間見せてくれました。
初期平成ライダーではハッキリ言って中盤グダグダする、話が進まないなどが多いそのフォーマットなのですが(そこに苦手意識がある)、「鎧武」では年間通して虚淵氏が全話に関わることで当時よりも綿密なシリーズ構成を作ることが出来、一年間が非常に濃厚な展開に出来上がったのではないかと感じます。
余談ですが平成ライダーでメインライターが実質的なシリーズ構成を担っていたのは「クウガ」と「鎧武」だけ。
地続きの話がずっと続くというフォーマットこそ初期平成ライダーっぽいのだけれど、話がどんどんと進んでいくそのテンポ感は第2期平成ライダーらしさをしっかり受け継いでいるなーと感じました。
10年前だったら「鎧武」2クール分のストーリーで4クール作っていたのではなかろうかと思います。
だので一年間に詰め込まれた、描かれたストーリーは非常に濃厚だったなぁと。
個人的にはストーリー方式には苦手意識が強かったのですが、このぐらい詰め込んでくれると見易いかもしれんなぁと新たな発見もありました。
ただ、このフォーマットだとやっぱり販促はし辛いんだなーというのもまた分かりました。
なかなか新アイテムが効果的に映るように話を集約するのは難しいなと…。
あのピョンピョンするヤツ(名称不明)とか2回ぐらいしか出て来てないですしね…。それでもブロンブースターよりは多いが…。
いや、エピソード方式だと仮に回数は少なくても担当話の中で強く映えるというのが強みだなと。
第2期平成ライダーと呼ばれる「ダブル」以降、2話完結式が定着していて「2期平成ライダーはこういうもの」という認識が何となく形成されてきた中で、それを壊すカウンターとなった「鎧武」。
「鎧武」自体の作風が…というよりは、その企画における冒険スピリッツこそが実に初期の平成ライダーぽさを彷彿とさせてくれたように思います。
鎧武のマスク、改めて見ても仮面ライダーっぽさ薄いですしね…。
攻めてます。
懐かしくも今風の「平成ライダー」だったなと感じます。
10年ぐらい前に良くも悪くも「う、うわぁぁ」と頭抱えながら仮面ライダーを見ていた時の事を思い出しました…。
といった感じで。
「仮面ライダー鎧武」制作に携わった全ての関係者に謝意を贈りつつ、レビューはこれにて締めさせていただきます。
ここまで読んでいる方がいましたらどうもありがとうございます。
「ドライブ」は打って変わってザ・2期平成ライダーだなぁ。
刑事ドラマという時点でツボ中のツボですが…。
⇒
仮面ライダー 各話レビュー
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コメント
まぁ貴虎との対話や最終回で「世界も人も、誰かが無理に変えるんじゃなく、自分で選んで変身する、変身できる」がテーマだったんだと思い至って多少溜飲が下がりましたが…。
言葉にしていただいてありがとうございました。
なんだかんだいっても、個人的には鎧武は平成二期じゃWの次点でハマったものでしたが、これは例年以上に好き嫌いが分かれる話になったなと思います。虚淵さんの脚本にも長期シリーズに不慣れな感じも伺えましたし、意図的になのか既視感を感じるキャラメイクにもちょっとした文句も聞かれますし、デザインにも難が…特に仰る通り始まりの男紘汰はあんまりにも酷い!胸当て黒影にしたのもショボさに拍車をかけてる!あと、終盤はオーズあたりでも感じた武部さんの悪いところである尺足りないのかというほどの終盤詰め込みも出ちゃったし。
明後日からはJUST LIVE MOREが聞こえないのは寂しいものでもありますが、ドライブも楽しみにしたいと思います。
レビューお疲れ様でした。またドライブでもよろしくお願いします。
2014/10/04 00:05 by 師走 URL 編集
ラスボスはYHVH
メガテンぽかっただけに。
ドライブでは照井さんとてつをの客演があるに違いない(錯乱
2014/10/04 17:23 by 負け狗 URL 編集
天・上・天・下・統・一!
紘太が選んだ道や平成二期ライダーはディケイドで言われていた『古い世界を破壊して新しい世界を創造する』を否定する表現が幾らか見られた気がします。
Wは過去の記憶を受け継いで未来に繋ぎ、オーズは欲望も肯定して生きていく力に変え、フォーゼは短所も含めてその人の全部を受け入れ、ウィザードは絶望の中にも希望を見出していった。うん…こじ付けもあったかもしれない…
後、敵側が質問にその場で答えてくれる良い人ばかり(ゑー)だったことが面白かったですね(笑)下手に隠し事ばかりしてる味方の上層部よりよっぽど信用できますし。今後のヒーロー物にもこういう親切な悪役が増えて欲しいものです。
2014/10/05 19:39 by ミスターグラブシ URL 編集
◆コメントありがとうございます!◆
新しい自分に変身するというのは分かるんですが、紘太のこの解決法は現実世界で直面した問題に応用できる解決法だろうか…とちょっと考えてしまいます。また、人であるまま解決してほしいという気持ちが自分の中に強かったのかもしれません。
非常に複雑な設定と話で、説明台詞の多いシリーズでもありましたが、かみ砕いて1年シリーズの男児モノとして作り上げていた様はお見事であったと思います。この手のストーリーであまりグダグダしないというのは新鮮でした…。
>負け狗さん
果物じゃなくてカレーがメインのモチーフだったらそれもありか…(え
去年の映画で照井はゲスト出演していますので、今年はドライブと…という可能性に期待高まります。
>ミスターグラブシさん
ディケイドまでは1年ごとに世界観をリセットするシリーズなので古い世界の破壊と新世界の創造、ダブル以降はディケイドのおかげで世界は繋がり旧世界も受け入れていく…というのがテーマにもコンテンツ戦略にも表れていますね。
敵の中でもロシュオさんは凄くイイ人だったので、何故戦っているのか…分かり合えそうだが…と思わずにはいられませんでした。でも昔から悪役は作戦をあっさりと説明してくれたり、親切な人は多い…。
2014/10/10 20:50 by TJ-type1@管理人 URL 編集