お話はシュウという一人の少年を巡って巻き起こる。
少年の処遇を巡って平成ライダーと昭和ライダー一派は意見を異として争い合う。
さらに、少年の力を使って世界をひっくり返そうと目論む地下帝国バダンも加わっての大戦となっていく。
あとついでにフィーチャリング・スーパー戦隊…。
「何なんだよ、平成ライダーとか昭和ライダーとか!」
劇中、紘太の言葉に対しては士も鳴滝も誰も答えてはくれません。
個人的には、「石ノ森章太郎存命期」or「没後」という線引きなのではないかと考え至り、その点を巡ったメタ視点を盛り込んだ対決でもしてくれるのではないかと期待してました。
しかし残念ながら、メタ要素は殆どありませんで…うーむ、無念。せっかくディケイドが出るっていうのになぁ…。
何故、平成ライダーと昭和ライダーとが争うのか。
劇中では「死者への執着」という点について触れられているのだけれど、この点、映画を見ていた時はちょっとよく分からなかった。昭和も平成も身内が死んでるのはよくあるコトなのに、そこで線引き出来るものだろうかと…。
ただ、パンフレットの白倉さんの記事を読んでちょっと納得。
「昭和ライダー」は身内の死の復讐なんかを掲げていても、割と早い段階で「世界の為」「人類の為」という大きな目的に転化して執着を乗り越える(忘れるという意味では無く)。
しかし「平成ライダー」の場合、価値観は多様化している時代なので「世界平和」やら「人類」といった大きな正義はそもそも掲げていない。
「笑顔を守る」とか「夢を守る」とか「町を守る」とか、主人公のとても身近な世界の平和を守る事が目的となっている。
だから、主人公個人の心情と言うのが正義の目標にかき消されない。むしろ直結してる。だもんで、身近な人間の死に関してもず~っと引きずって生きていくコトとなる。
草加も、コヨミも、鳴海荘吉も。
確かに平成のヒーローは割とウジウジ悩むことが多い気がする。
逆に昭和は凄くあっさりしていたりする。まぁ大体テコ入れで死んじゃうってのが多いんだけど…。
今回の敵ライダー、フィフティーンさん。
死神のような姿をして、平成ライダー15人のフォームに変身できる。
あのチートキャラでお馴染みであるはずのディケイドが圧倒されているのが結構ショッキングでした。数が五つ多いだけで…グヌヌ。
このフィフティーンさん、実はシュウのお父さん。
息子を蘇らせる為、父はバダンに協力していたという。
この敵であるフィフティーンさんの心情も理解出来るという点が、春のライダー映画としては珍しく「ちゃんとまとまってる」感がある要因ではと個人的には感じる。
ちゃんと存在意義とドラマがあって話の中心に絡んでるので、取って付けたような余計なモノではなくなっている。この書き方だと暗にこれまでが…げふんげふん。
この映画は父と子のお話。
…と思うと、「昭和ライダーと平成ライダー」も「父と子」を示しているのかと気付きました。
でもって、「父子対決」と言うと石ノ森イズムである「父殺し」を想起させる。
そう考えると、投票では僅差で平成が勝ちましたけど、平成(子)が負けちゃうパターンは成立し得るのかと疑問でなりません。
昭和勝利Verのフィルムはどうなっていたのだろう…気にかかります。
春のオールライダー映画もお馴染みとなって来ましたが、最も「ちゃんとしてる」感がある作りだったかなーという印象(ぇ)。
「ヒーロー大戦」の“宿題多くて片付いてない”ゴチャゴチャ感が大分整理されているのではと思いました。
ただ、そのせいか分かりませんが、個人的には若干「長い」という印象も抱いた。実際ライダー映画として90分超は初めてらしいですが、とにかく「たっくんの話、長くね!?」て思っちゃうわけで。
白倉さんによれば、昭和と平成どちらが勝つかは重要ではなく、観客一人一人が自分にとっての仮面ライダーという存在を考える事こそが意義なんだそうで。
正義は各々自身で決めろ、というのが何とも白倉ライダーっぽくてニヤリです。それをイベント化しちゃうのが更に流石ですが。
確かに映画本編見て、他はそうでもないんだけど、ディケイドがやられてるシーンはちょっとショックだった…。
自分の中の仮面ライダーがちょっぴり認識できる、そういう瞬間でした。
⇒
仮面ライダー 各話レビュー
- 関連記事
-
コメント
中の人
個人的には翔ちゃんたくさん見れて幸せだったのですが!
2014/04/20 02:10 by 負け狗 URL 編集
◆コメントありがとうございます!◆
そういわれればそうでしたね…。
となると、また酷なキャスティングという気もしてしまいますね…。
だからこそ適任とも言えますが。
翔太郎は結構出てくれて嬉しかったですが、ダブルでの変身シーンが無かったのがちょいと残念でしたね。
仕方ないけど。
2014/04/21 02:37 by TJ-type1@管理人 URL 編集
平成VS昭和の結末は置いといて、キャラクターの共演という点では、やっと見たい物が見れたという感じです。
ディケイドに関しては、初めて「仮面ライダー」してると感じました。じゃあ海東さんにもその優しさを(y
何よりも…個人的に好きなZX=村雨良が良い所を持ってっただけで満足です。そりゃ改めてSPIRITSも読み返しますw
2014/04/22 05:26 by 弁慶 URL 編集
あと10年経っても草加のキャラが全くブレてなかったのがある意味すごいなと思いましたw
2014/04/22 22:31 by F URL 編集
◆コメントありがとうございます!◆
今回はほぼオリジナルキャラクターに近い存在としての客演だったので、過去作を見てる人には嬉しいモノも結構あったかなと。その分メタ構造が抜けているのが個人的には勿体なかったですが。
村雨さん、長い事時間かけた計画だったのにこれは…と思ったのですが、ちゃんとイイトコもあってよかったです。ヘルヘイムへの謎のワープシステムは春ライダー映画のお馴染みっぽくて笑いましたが。
>Fさん
「死にたいんだってな…」のところで笑いを禁じ得ませんでした。
ただの悪霊ですが、生きている時からこれだからむしろ通常営業。
正直、こいつのためにずっと悩んでるたっくんも優しすぎるようなw
2014/04/23 21:25 by TJ-type1@管理人 URL 編集
Endless Fight
そして平成の10号ライダー・ディケイドの活躍の裏で昭和の10号ライダー・ZXが活躍していたのも嬉しかったです。前情報で知らなかったのでよもやEDまでとは思ってもいませんでしたが。欲を言えば昭和の15号・Jにも活躍して欲しかったんですが…例年通り基本巨大なだけで…残念でした。
しかし世紀王と太陽の子の仮面にトランプを突き刺した戒斗さんの投擲力は一体何だったのでしょう…あの人、生身の方が強いのでは(え)…
2014/04/27 23:55 by 銀河勁風 URL 編集
◆コメントありがとうございます!◆
公開前から誰が主人公か分からんなーと思っていたんですが、実際特にコレという主人公はいませんでしたね。並列的というか…この辺はスーパーヒーロー大戦からの流れを感じます。
パンフレット読むとスケジューリングの結果という印象も受けますが。春映画は大変だなぁ。
戒斗さん、たしかに普段より活躍していたかもしれません…てゆかトランプ使う人とか普通に忘れてましたけど(え)。
タンポポとかカメとか、あの人は意外と癒し系なのかもしれない…。
2014/05/01 01:44 by TJ-type1@管理人 URL 編集