そこは一年中ぶ厚い雲に覆われていて、衛星からも地上の状態を確認する事が出来ないという地上に残った唯一の魔境。
のび太たちはその魔境へ向けて冒険を始めるのであった。
ということで今年の映画は新たにあの「のび太の大魔境」。
これまでも「のび太の恐竜」「魔界大冒険」「宇宙開拓使」「鉄人兵団」など、リブートドラにおいても大長編を原作とした映画は何度も作られてきました。
しかし、今回はまた一味違った攻め方をしてきているなと強く感じます。主にどの辺が違うのかといえば…原作準拠の点。
これまでの06年以降のリブートドラ映画では、大長編原作とはいえども新たな要素、キャラクターやストーリーの再構築を行う事で、旧作との差別化と同時に現代的なテーマを盛り込んで作られてきました。
しかし今回の「新・大魔境」は、およそそういった要素はほぼありません。原作にはない新キャラクターもストーリーの変更もほぼありません。
若干のび太とペコのシーンが追加されているとか、その程度。
だもので、正直新味とか現代的テーマの挿入とかはあまり感じないのですが、凄く丁寧に原作大長編をアニメ映画化しようというコンセプトで作られた、というのが分かります。
凄くシンプルで、余計なモノは乗せていない印象なだけに、リブート後の映画では最も見易いんじゃないかなーと感じました。
コンテも原作構図を活かしたカットがとても多いし、演出に関してもかなり原作イメージ寄り。クライマックス手前の台詞が無い演出とかね。
おかげで既読者からすると漫画がそのまま動きだしていると思える楽しさがあります。
充分に原作のストーリーラインだけでも面白いなーと再発見すると同時に、でも新味が欲しいよなーと思う自分も居たりする。
リブート後のドラ映画は、「大長編ドラえもん」という原作と監督の作家性とが合わさった化学反応の面白さが魅力だったりもするので、個人的にはグッチャグチャに爆発しているような作品も、それはそれで好きなんです。
そういう意味では今回はえらく大人しいなぁーと思ってしまうのだけれど、我がをあまり出さないことが八鍬監督の作家性というコトでもあるのだろうてなぁ。
ここまで素直に作られるとカウンターのカウンターなのかとすら思える。
一周回ってそういう王道もありなのかと…(え)。
そんなところでしょうか…。
来年はまた新たな監督のようですね。
でもオリジナルっぽいんですよね…初長編作でオリジナルは大変そうではと思うのですが…。
でも、その化学反応もそれはそれで楽しそうですね。
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