2013年 11月 12日
毎度毎度、奇妙な異世界に飛ばされる各プリキュアさんですが、今年飛ばされるのは映画の世界であり過去の世界。
過去に囚われたプリキュアさんの未来は何処に…。



お話は相田さんのお宅で祖母・母と受け継がれてきたウエディングドレスが発掘されたところから始まる。
そしてそのドレスを自分も受け継ぎたいと未来の結婚式に夢馳せる相田さん。
相田さんにもそんな庶民的女子感覚が…(ぇ)。

そんな折に街の上空に現れるクジラの船。
船を操るマシューさんは人々に忘れられたモノを回収していくリサイクル業者…かと思いきや、次々と記憶を映画フィルム化した世界に人々を閉じ込めてゆく。
遂にはプリキュアさんまでもが、各々の記憶の中に閉じ込められる…。

そこは相田さんが小学生の頃。
まだおばあちゃんや飼っていた犬のマロさんがご存命の頃の世界。
早くこの世界から抜け出さなくてはと思いつつ、二度と会えないと思っていた人たちに会えた喜びから抜け出せなくなってしまう相田さん…。
他三人も過去の幸福な時間の中で囚われる。


テレビシリーズではジコチューさん達との戦いで自己愛と他者愛との兼ね合いを描いたりもしていますが、今回の映画の敵さんはジコチュー…ではなく、自分の過去そのもの。
毎年テレビシリーズの大きなテーマを70分で再構築することでお馴染みのプリキュアさん映画なので、なるほど本気で描こうとしていたのは自己愛云々ではなくこちらのテーマの方であったかと思わされる。
いや、自分の記憶に閉じ込められているというのであれば、結局敵は自分の中に存在するのではありますけどね。

過去の世界で相田さんはマロの死を生々しく思い出してしまい、マロや祖母の居ない現実に戻る事をためらい始める。
しかしおばあちゃんからの言葉を受けて、現実に戻る事を決意する。

この映画は何個か衝撃的なシーンがありますが、相田さんが心の弱さを見せるというこのくだりも個人的には「わお」でした。
一応テレビシリーズでもレジーナ消失時に凹んではいたのですが、それでもやっぱり相田さんは超人的体躯と超人的精神の持ち主であるという印象が強かっただけに、弱さや迷いというまるで普通の女の子かのようなシーンは結構驚きなのでした。
なんとなく、「ドラえもん」で酔っぱらったパパを叱りつける為にタイムマシンで亡くなったおばあちゃんを連れてくる話を思い出した。
いつも気を張っているけれど、大人も大変だなあ…14歳だけど。


おばあちゃんが語ってくれたのは相田さんの名前の話。
「愛」と書いて「マナ」と読むその名前はおばあちゃんが付けたものだとか。
この映画、相田さんが誕生した所から、小学生、中学生、結婚…と半生を早足で見せてくれるモノでもある。
また敵さんも相田さんに関わる人なだけに、テレビシリーズでの「助っ人」ヒーローとは違い、完全に「相田マナの物語」における“主人公”として描かれているのね。

祖母、母、娘、そしてさらに未来へと繋がる愛。
「スマイル」は過去に吸収したメルヘンが今に力をくれるという話でしたが、「ドキドキ」ではその過去に受け継いだ愛をさらに未来の次世代へと渡すところまでが大事だと描かれている。

幸福の王子一人では世界は救えないけど、王子が助けた人たちからまた新たな王子が生まれるのであれば、広い世界を救うことが出来る。
相田さんはおばあちゃんから自分の名前に込められた思いを知っていたから、これまでの超人的献身が出来たというか…信じられたのか。
この相田さんが相田さんたるキッカケというか、元は普通の女の子でしたという部分が分からないと「コイツ、人間じゃねえ!?」という風に思えてしまうので、この映画で描かれている部分はかなり重要な部分ですね。
テレビシリーズでも一個いれてほしい気もするが。


相田さんに助けられたダイヤモンドさんとロゼッタさんが、今度は自分たちが助けに行くのだと立ち上がるのも愛の継承。
「愛(マナ)が居ない世界なんて何の価値もない!」というのもカッコイイ。
ソードさんは相変わらずやられ芸が身についていて流石だなと。

「愛を未来へ受け継いでゆく」が描かれてますが、過去=死者の世界としても描かれていると見ると、受け継ぐのは愛だけではなく命も含まれているのだなーと思える。
ハート(心臓)は命の記号でもありますしなぁ。

テレビシリーズはボリュームがあるので色んな柱がある中でどれが一番大きい柱なのかと迷うこともしきりなのですが、こうして映画を見てみると「これがこのシリーズの一番大きなテーマなんですよ」というのが明確に提示されているだけに、「意外とシンプルな話なんだな」と分かってスッキリ出来ます。


ライトの使い方はこれまでで最もメタでニヤリとさせてもらった。
映画の中の世界を描くこの映画だからこそ、あの台詞は成立するのですもんね。いや、なるほど。
メタ好きとしては楽しい。

最も衝撃的だったのは流血シーンがあったことでしょうか。
たとえ映画とはいえまさかプリキュアさんでそんなシーンがあるとは…と衝撃でした。
ま、まぁ…ゴジラシリーズでも流血を避けていた円谷英二亡き後は、普通に流血とかあったし…特撮監督が代わるとそういうコトもあるのだろうかとも思われます。
あれはボロボロになる幸福の王子を意味してるのか、あるいは過去の痛みを忘れずに受け入れるという意味なのか…。

ボディーブローのように泣かせにかかる映画だったなーというのが大まかな印象。
「もちのろん」や「誰に似たんだろうね」といった、ちょいちょいテレビシリーズにあったキーワードが繋がって、思い出した時にまたジワッと来させる。
映画を見た後にまたテレビシリーズを見返すと、印象の変わる部分があるのではないでしょうか。
上手い事、テレビとも絡めています。やりおるわぃ…。

時間の概念って小さな子どもには難しいとも聞くのですが、映画や思い出といった素材で分かり易く(たぶん)処理されているのではないでしょうか。

べ、別にS☆S映画がどうこうとは言ってないだろ! やめたまえ!
確かにこれ見た後だとちょっと不親切かなとは思うけど(え

プリキュア 各話レビュー
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COMMENTS

Commented by 銀河勁風 URL at 2013-11-14 23:30 #701gxeB2 Edit
Title : 最終戦闘を目撃せよ!
メタ具合が上がったミラクルライトに流血描写、従来以上にダイナミックなCGパート、そして適度に適当な扱いの追加戦士(エース)あたりは「あ、それやっちゃうんだ」と衝撃を感じると同時に新鮮に感じられました。
何より相田さんの等身大な人間味が感じられるというのがまた新鮮でした。結婚という未来と同時に、その礎たる幸福の王子誕生という過去に重きが置かれているのでは、と思いましたね。

個人的には三怪人のネーミングが『キカイダー』のダークロボットっぽかったり、捨てられ忘れられた楽器の怨念というのが『ファイヤーマン』のハモニガンっぽかったりという本筋と関係ない部分が気になってしょうがなかったです(え)。
Commented by TJ-type1@管理人 URL at 2013-11-15 21:00 #- Edit
Title : ◆コメントありがとうございます!◆
> 銀河勁風さん
エースさんの扱いは夏の戦隊映画における追加戦士っぽかったですね。
たぶん過去を明かせない何かがあるからではないかと思いますが…。
やはり正体は岡田としか…映画に岡田一瞬も出てこなかったし。
Commented by 人形 URL at 2013-11-23 20:42 #1wIl0x2Y Edit
Title : 映画観てきました!
映画観てるとスマイルが5の再挑戦であったように
ドキドキはフレッシュの再挑戦だったのかなぁ?
と思わずにはいられませんでした。
モチーフのトランプや赤ん坊の存在だけじゃなく
映画の方も捨てられた(と思い込んでる)過去の思い出が敵であり
過去との折り合いをつけ未来へ進むという展開をみせましたしね。
あとマナの名前の漢字ですね。
アレをみた時は衝撃走りました。
フレッシュと同じだけじゃなく
赤ん坊とも同じとは…
多分伏線とかでもなくスルーされるんでしょうけど
出来れば何か理由つけて欲しいなw

映画はメタネタからプリキュア初の流血まで衝撃の連続でしたが良くまとまっていて良かったです。
映画の妖精の正体も徐々にもしかしてあの人なのか?
と確信して行く過程が面白かった。
最初に登場した時は「なんだこのスカしたコロ助は」なんて思っちゃいましたけどね( ̄▽ ̄)

映画は特別凄い!とかではなく
あくまでTVの番外編って感じでしたが
本当に良くまとまって面白かったと思います。

CG戦闘はEDのCGモデリングで違和感無さ過ぎて衝撃的でしたよね!
あれが喋る!光る!闘う!とか!
あれなら3DCGでプリキュア作れるんじゃないか!っておもいましたよ!
今回の映画はそういう細かい衝撃が沢山あった印象です(*^^*)
Commented by ななし URL at 2013-11-24 20:14 #0LkNUQkY Edit
Title : 流血描写があるのだったら
>そんな折に街の上空に現れるクジラの船。
>船を操るマシューさんは人々に忘れられたモノを回収していく
>リサイクル業者…かと思いきや、
>次々と記憶を映画フィルム化した世界に人々を閉じ込めてゆく。

このシーンでゴジラシリーズや『ハコダテ観光ガイド イカール星人襲来中①「新鮮!イカール星人現る!」』(URL参照)のようにクジラの船には通常兵器では歯が立たないことを見せるために、戦闘機や戦車が出てきて攻撃&クジラの船のカメラに補足されて消滅、もちろん町も同様に消滅のシーンがあったらさぞかし盛り上がったことだろう?
せっかくキュアハートの流血シーンがあるのだから、このようなシーンがあったほうがよかったと思いました。
もっともこのようなシーンを出したら、対象入場者の幼女が怖がって泣き出したり、途中退出する親子が出て
「プリキュアは怖い映画です。 幼女に見せるときはくれぐれも注意してください。」
という注意書きが劇場に貼られることになるでしょうけれど(笑)。
Commented by TJ-type1@管理人 URL at 2013-11-28 00:03 #- Edit
Title : ◆コメントありがとうございます!◆
>人形さん
名前はマナとかアイとかの方が本来定石で、先にラブという名前を使っちゃってるコトがどうかしてるのでもありますよね。今考えると、わざわざカタカナでマナとしていたのも名前ネタの為の仕込みだったのかと分かりますが。
そういえばCG戦闘も思い返すとフレッシュが先でした。3Dから2Dに変わるという面白い試みがあって感心した記憶がありますが。
短編でいいからプリキュアさんの3Dとライダー戦隊とを一緒にした映画が出来ないもんかと、割と本気で期待しているクチです…。


>ななしさん
殴り合ってる時点でプリキュアさんはとても危険なので、いまとそう大差ないかと。

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Tracked from blog mr at 2013-11-12 23:43
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