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2013年 03月 19日
これまでに開発された全てのひみつ道具を網羅し、保管しているという“ひみつ道具博物館”。
そこに現れ、予告上と共に次々とひみつ道具を盗む怪盗デラックス。
鈴を奪われたドラえもんとのび太達が怪盗の正体に迫る――


…と、これまでの劇場版とは一味も二味も違う毛色のストーリー。
地球の危機が迫り、悪役と戦うというのが映画ドラえもんの定番でありますが、今回はそのフォーマットから崩しにかかっている。

一応、世界崩壊の危機も描かれてはおりますが、あくまでメインストーリーは怪盗デラックスとの対決。その犯人探し。
今回の映画はアドベンチャーではなくディティクティブ、探偵モノ。

犯人はこの中にいる…!


■MUSEUM

怪盗デラックスを追ってドラえもん達がやって来たのは“ひみつ道具博物館”。
古今東西、最初期型から最新型まで全てのひみつ道具を網羅するミュージアム。
お馴染みのひみつ道具の数々から、ひみつ道具第1号として作られた巨大な“どこでもドア”まで、ありとあらゆる道具が展示されている。

ドラえもんの映画といえば、前半は誘い込まれた先の不思議な世界で遊びつくすのが定番。今回の映画でも、ミュージアムのひみつ道具で色々と遊ぶ姿が描かれる。
ミュージアムの設定を初めて聞いた時は、「ひみつ道具はだいたいみんな見知っているモノだから、今更それをテーマにしても新鮮な感動は起きないと思うけどなぁー」と思っていたのですが、いざ映画で見てみたら、まぁ楽しい(え)。

恐竜の世界や宇宙の世界といった知らない世界というワケではなく、いつもテレビや漫画で見知っている道具の数々のはずなのに、思いのほか楽しそう。素直に行ってみたいなと引き込まれる空間が描かれてる。

“ひみつ道具博物館”の元ネタは言わずもがな“藤子・F・不二雄ミュージアム”なのですが、確かに藤子ミュージアムの“見せ方”“楽しみ方”の妙がこちらでも強く意識されているのかもしれない、などと感じる。
博物館なのに遊びの幅が凄く広いんですよね。
その辺は実際に行った人ならば分かってくれると…信じる。


■MYSTERY

でまあ、普通に楽しんでいるかのように見せて… 実は伏線がたくさん散りばめられていたりする…。

探偵映画としてのクライマックス、犯人当ての推理ショーもしっかりと用意されていて、意外なほど(ぇ)探偵映画としてのフォーマットを守っていたと思います。
いや、正直「なんちゃって探偵映画」じゃないかなって不安もちょっとあったんですよね…。
監督にどこまで探偵モノに対しての造詣があるのか分からないし、ライターさんは「名探偵こまち」を書いた人だしさ…。

元々F先生の作品は、SF的、数学的な構成の上手さも大きな特徴なだけに、推理小説に近い要素を強く持っています。
何だか分からない謎パワーだとか、気持ちパワーで奇跡発動だとか、そういうオカルト要素はほぼ存在せずに成立している。
伏線を緻密に張って、ロジックによってストーリーを構築。
それはとてもSF的であり、推理小説的でもあるのです。
実際、推理モノに近い話もF作品には多く描かれていますしね。

だもんで、映画ドラえもんとミステリーという取り合わせは、変化球の様で、実は親和性のある題材なのかもしれない。

ただミステリーを題材にした際の問題点もある。
これは推理映画、ミステリー映画全般に言えることですが、元々ミステリーは小説に適したジャンルで、クライマックスの推理ショーというのは言葉でひたすらつらつらと説明をするだけなので、画に動きが無く、本来は映像には適していない素材なのです。

毎年「名探偵コナン」なんかでも苦心していますが、推理とアクションのクライマックスの同期は難しいんですよね。
アクションしながら推理ってのも出来ないから、どうしても別々になりがち。

あと、犯人を見つけることが目的なので、例年のような地球を救うといった映画的スケール感は小さく映るかなーとは思います。
この辺は頑張ってアクション含めて対処していましたけども。


また例年とちょっと違った点でいうと、主人公がドラえもんだったことが挙げられるかなと。

「いや、毎年ドラえもんが主人公じゃん」とお思いの方もいるかもですが、基本的に映画ドラえもんはのび太視点でのび太が成長する様を描いているので、主人公はのび太だと言える。
でも今回の映画は、探偵役こそのび太でしたが、ドラマは完全にドラえもん視点のそれなんです。

映画でお馴染みの「ドラえも~~ん!!(OPタイトルへ)」というあれも、今回は「のび太く~~ん!!」というドラえもんのシャウトから始まりました。
見たとき結構驚きでしたが、「今回の主人公はドラえもんですよ」という示唆だったんですなぁ、なるほど。

ドラマはドラえもんとのび太の友情にまつわるモノなのですが、なんかもうね…お前ら結婚しろよと思うレベル。
今回の映画は終始ドラえもんが可愛いです。
猫っぽい動きが可愛いのです。

ドラマの視点がドラえもんにあるコトと、終盤まで映画的なスケール感が控えめであるコトもあってか、若干テレビスペシャルっぽいなぁとも思うお話でした。
毎年9月にやってるドラえもん誕生日スペシャルとかにありそうな話だなぁって。
いや、勿論映画クオリティなんだけどね。

色々と今までの映画ドラえもんとは違った要素が含まれていて、新鮮な味わいのある映画になっていたかなと思います。


■MOVIE

寺本監督、初オリジナルストーリーのドラ映画。

「新魔界」「新鉄人兵団」という感涙モノの流れを汲むのかと思いきや、とにかく楽しい面白いが詰まった映画になっていました。
勿論映画として“敵”は居るけど“悪人”がいないのは久しぶりじゃなかろうか…。
「竜の騎士」以来じゃろうか?

あ、でもラッキースケベが男性監督よりも照れが無いのは相変わらずでしたね。
問題のあのシーンも凄いけど、ドラえもんだけがパンツを覗いているというカットも印象的だった。

個人的にも探偵モノ・推理モノが大好物な身としては、こういう変化球や挑戦で攻めてくるというのは嬉しいものです。
30年以上春休み興行を担ってきた映画ドラえもんにまだこんな可能性があったのか! という新鮮な驚きを感じたりもする企画でもあると思うんですな。

興行も歴代最高だった去年を越える成績だとも聞いておりますが、ここにきてもまだまだ進化する「ドラえもん」さんに頑張って頂きたい。


そして来年は…ほほぅ。
監督はテレビでお馴染みのあの方ですか。
楽しみに待機しております。
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COMMENTS

Commented by はな URL at 2013-03-22 11:30 #- Edit
Title :
10年ぐらい前、少子化が年々進んでドラえもんの映画の興行がだめになるんじゃないかと思ったことがあるんじゃないかと思ったことがありますが、年々興行収入が増えるとは思いませんでした。おそらくは(僕のように本来ドラえもんを卒業すべき)大人のお客さんが昔よりだいぶ増えている影響だと思います。これはやはりドラえもんの映画は面白いという昔の実績を覚えている人がたくさんいるということなんでしょね。
Commented by TJ-type1@管理人 URL at 2013-03-22 22:02 #- Edit
Title : ◆コメントありがとうございます!◆
>はなさん
30年以上やっているという実績の効果でしょうね。
30年というと、ちょうど昔見ていた子どもが親になる時間。
ドラ映画を家族揃って見に行く事に抵抗無いんですよね。
子どもが一人「見たい」と言うだけで家族全員分の料金が発生すると思うと、やっぱり大きいですよね。
Commented by kanata URL at 2013-04-16 16:42 #KqigePfw Edit
Title : 夢のゆくえ
 大魔境の主人公はジャイアンだと思いますよ。……てのはともかく。OP入りの「のび太く~ん」は衝撃的でしたね。
 のび太君が何度かフェイクを入れてみたり、微妙にメタな捻り方にして演出。その手が残ってたか!という。

 個人的に秘密道具は未来の「普通の道具」であってほしかったのですが、その一点さえ脇に置いてしまえば大満足でした。
 未来人たちがちゃんと、当たり前のように秘密道具を使いこなしてくれているのも嬉しい。これはこれでSFだなあと。

 ……しかし秘密道具の第一号って、「どこでもドア」だったんですか……もっと簡単に造れそうなの、たくさんあったと思いますけど……。
Commented by TJ-type1@管理人 URL at 2013-04-16 19:42 #- Edit
Title : ◆コメントありがとうございます◆
>kanataさん
秘密道具って可愛らしい印象が強いので、未来ではおもちゃ的なグッズなのかとも思っていたのですが、犯罪捜査にも使われたりと普通に大人にも浸透しているのですね。
秘密道具第1号がどこでもドアってのは…あれですよ、「エスパー魔美」で“超能力の基本は物体を移動させること”だと言っていたように、どこでもドアの空間移動能力の応用が全ての道具に繋がっていく…みたいなハナシなんですよ、きっと。

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Tracked from 色・彩(いろ・いろ) at 2013-03-21 00:39
タイトル : 映画ドラえもんのび太のひみつ道具博物館・感想。
別の用事で遅くなってしまった;。 見に行ってきました。久しぶりの「ドラえもん」だ