■はいかぶり図書室で見つけた謎の絵本「はじまりのシンデレラ」。
それは世界中に存在する全ての「シンデレラ」と繋がっていて、もしその絵本をバッドエンドにすると、世界中の「シンデレラ」も同様にバッドエンドになってしまうのだという。
バッドエンド王国の皆さんは「シンデレラ」をバッドエンドにするべく、星空さん達はハッピーエンドを守るため、「シンデレラ」の世界を舞台に戦いを繰り広げる。
古今東西、多くの人々に人気を博す「シンデレラ」。
最も数多く映画化された本としてギネスブックにも載っていましたっけね。
「はじまりのシンデレラ」は、そんな世界中の「シンデレラ」に影響を与える原点…原典…原著といった扱い。
今さらっとウィキペディアさんの項目を読んできましたが、起源となるお話は紀元前から存在していたのですか…なんと普遍的なメルヘン。
メルヘンランドには、こういった世界中の絵本の原典となる「はじまりの」本が揃っているってコトでしょうかね。てーことは、「人魚姫」や「マッチ売りの少女」も昔はハッピーエンドだったのかもしれないな…。
まぁ、バッドエンドとハッピーエンドの戦いであると同時に、原典のストーリー改変派と、擁護派の戦いであるとも言えるのかもしれぬですな。
「スマイルプリキュア!というお話自体が「シンデレラ」をベースにしている部分も多いだけに、今回は番組自体を象徴するお話であると言えますなぁ。
いや、もそっと大きい事を言えば、「変身少女モノ」というジャンルそのものが「シンデレラ」を起源としているのであるからして、この戦いの結果は世界中の創作物にも広く影響を与えるコトになるのであるよ。
昔々、シンデレラとなった星空さんは
イジワルな姉オオカミ、姉オーニ、継マジョさんに扱き使われながら、
お城で開かれる舞踏会に憧れる。
シンデレラは魔法使いやネズミ、トカゲたちの協力を得て、
王子の居るお城へと向かうのでした。
途中、シンデレラは馬車を捨てて自分の脚でお城まで走りました。
シンデレラはイジワルな姉母たちに襲われていた王子を助け、
ダンスでは王子さまをリードして一緒に踊るのでした。
シンデレラの姿はその時代時代に生きる女性の理想を写し取ったモノであると思いますが、これはいかにも現代らしい…プリキュアらしいシンデレラ像が描かれている。
馬車が無いなら自分で走れ。王子様の方がヒロイン扱い。
魔法で作った可愛いドレスでガシガシ殴り合う。
このシンデレラ像のちょっと前は、可愛いドレスはビリビリ破られるモノだったというのに、変われば変わるものだ…。
シンデレラは変身し、プリンセスフォームでアカンベェを浄化。
翌日、意図的に置き忘れられたガラスの靴を掃いたシンデレラは
王子様と結婚することになりました。
めでたしめでたし。
「シンデレラ」って、現代的な観点で見ると“周りに助けられるばかりで自分からは主体的に何もしていない”という批判を受ける事が時折ありますよね。
今回のシンデレラは、その問題点をK点越えでクリアしているほどに、自ら動きまくるヒロインとしてとても現代的。
かといって、やはりシンデレラだけでハッピーになれたわけではなくって、魔法使いやネズミ、トカゲ、あとカボチャとか…の協力があったからこそのハッピーだったのです。
いや、そこには悪役である継母や姉も含まれているのかもしれない。
魔法使いは魔法でドレスを作ってくれましたが、“ガラスの靴”だけは魔法ではなく本物の靴でした。だから夜中の12時を過ぎてもアレだけはなくならない。
これまでの番組中で描かれてきた「メルヘン(遊戯・理想 etc.)の中のモノも、現実で役に立つ」という描写は、この“ガラスの靴”を意味していたのですね。
魔法のような…しかしそれはちゃんと現実に存在して、自分をハッピーに導いてくれるモノにもなる。
絵本、あるいはこういったテレビ番組や映画でもいい。
そこから得る事が出来た「愛」や「希望」といった甘ったるいメルヘンだって、人が生きる為の立派な糧となるはずなのだ。
といったわけで、今回のお話自体が「スマイルプリキュア!」という番組を表すような、もっと言えば「プリキュア」シリーズ自体を表したお話の様にも見えました。
劇場版はTVシリーズでやる事を70分でやって見せているけれど、これはさらに30分でやっちまったという印象。
だいたいこの話で描かれているような。
記事の前半に原典擁護・改変の戦いなんて書きましたけど、終わってみるとやっぱり原典とは違ってしまったような。改変はダメだけどアレンジはOKなのだろうか…。この辺のバランスが時代劇村の話と重なる。
もっと楽しい話になったから良しとキャンディさん言うてはりますけど。
うむ、何事も楽しんだものが勝ち、てーことなのかしらね。
■その瞳は何を見る空中で泳ぐアニメっぽい動きが素敵。いや、特撮なのに頑張ったなぁって(えー)。
絵本の中に入って、登場人物になりきって物語を守る…「スマイル」さんが始まった時はてっきりこういう話を重ねていくのだと思っていました。ディケイド脳としてはね。
だもんで、全然おとぎ話が登場しないことに「なんでや!」と思ったもんだわ…。
それでもやっぱりディケイドっぽいと思うことしきりではありますが。
次回は日野さんのまとめ回っぽゆい。
最後までそのサブタイを貫き通した事に熱いものを感じる。
今からこっそり初変身回のタイトルも変えてしまえば…うむ。
⇒
スマイルプリキュア 各話レビュー
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コメント
童話の大本である絵本の改竄を防ぐべく、登場人物となって筋書き通りに進める…という「元からこういう話だったんじゃないか」ってぐらいはまってましたね。エトレンジャーめいてましたけど(え)。
しかし、今までやらなかったので今回がより感慨深い話になっていた、という気もしますね。
2012/11/22 20:30 by 銀河水晶 URL 編集
鬼ヶ島で新婚旅行…見てみたかったかも。
それはさておき、シンデレラが好きすぎて気力限界突破してしまったかのようなみゆきの奮闘も楽しかったですが、みゆきの言う通りそこには仲間たちの協力もあったわけで、三幹部も相応の役を演じていることで結果的には物語の構築に一役買っているところも面白く見えました。
どこぞの小学校では「ウチの子が主役じゃないなんて!」とゴネる親が続出した結果、学芸会の舞台が白雪姫だらけになったなんて話もあったそうですが、それとは好対照だなぁ…と思ってみたりしてます。
ところで、前回のチビみゆき(+チビ七名)に今回のみゆきシンデレラと、映画とリンクとはいかないまでも軽くネタがかぶる話が続いてますね。どうも偶然とは考えにくいので、やっぱり狙ってやってるのでしょうか。
2012/11/23 18:52 by おおふ URL 編集
◆コメントありがとうございます!◆
一度進入した文明を排除する事は不可能なのです。シンデレラの世界にバイクを持ち込んだことで歴史が改変され、ウィザードに至るのだと…。
キャラクターも上手いこと収まるので、シンデレラは思っていた以上にモチーフとして利用されていたのかも。つまりキャンディのデザインモチーフもきっとトカゲ。
>おおふさん
人生の舞台には悪役も必要なのだと、スイートでも同様のことを言っていたので悪役の必然性は語られてまとまっていくんでしょうね。
映画とのかぶりは、映画への誘導のようでもあり、映画を見ていない人でも情報量として格差が生じないようにという配慮のようにも感じるんですよね。映画は番組そのものを70分で表現しているだけに、見た人は「ああ、こういうテーマだったのか」と分かるように出来てますからねえ。
2012/11/24 23:12 by TJ-type1@管理人 URL 編集
今も昔も少女は強い?
グリム版だと事実上、魔法使ってるのはシンデレラなので。
シンデレラが母の墓に植えたハシバミの木に呪文じみたフレーズで請うと、金(の靴とドレス)や銀(の靴とドレス)を鳩が落とします。
姉たちの無理難題にこたえるため、呪文で鳩やネズミの助けを借りるあたりも魔女じみていたり。
大昔のシンデレラは、みずから魔法を使ってお城へ乗り込んでた(というバージョンもある)んですね。
周囲の力を借りているのも間違いありませんけれど。
2012/12/05 22:42 by kanata URL 編集
◆コメントありがとうございます!◆
ベースとなった話は紀元前から存在するとも言われてますので、現在まで語り継がれていないバージョンも含めれば、とんでもない数のパターンが存在したことでしょうね。
しかし今でも残っているお話というのが、何百年もの倫理観も超えて普遍性のあるヒロイン像を提示しているというのが面白いものです。
2012/12/07 22:06 by TJ-type1@管理人 URL 編集