■「絵本の世界」星空さん一行は何処ぞで開催されている「絵本博覧会」なる催し物に遊びに来ました。
そこは世界中の絵本が集まり、絵本を題材にしたアトラクションなども楽しめるテーマパーク。
星空さん達はそこで、映画館のスクリーンから飛び出してきた絵本のキャラクター・ニコさんと出会う。
そしてニコさんの誘いでスクリーンの中・絵本の世界へとやって来る。
今回の舞台は「絵本の世界」。
毎年、秋映画はテレビシリーズの主題を短時間で見せるコトがテーマなので仕方ない事であろうとは思いますが、メルヘンランドと丸被りの世界です…。
似て非なる「映画の世界」や「漫画の世界」といった変化球を使わず、直球でテレビと同様のテーマを描くコトにしたようですね。
スクリーンから飛び出してくるという表現に「うは、メタ!」と嬉しくなっていたのですが、テレビ本編との同期で考えると、ニコさんは絵本の中から飛び出してきたキャンディと同義のキャラクターってことになるのでしょうね。ふむむ。
絵本の世界へとやって来た星空さん達は、「シンデレラ」や「一寸法師」など色んな絵本の世界の役柄になりきって楽しむ事に。
映画のあらすじを読んだ時は「ドラビアンナイト」かと思ったけど、この辺は「銀河超特急」のテーマパークに近いなぁと感じたり。
星空さんがテーマ的にシンデレラ役なのは当然として、青木さんは白雪姫じゃなくて桃太郎なのね…。映画でも白雪姫要素は無かったか…。
しかし、絵本の物語を楽しんでいたはずなのに、いつの間にか内容がメチャクチャになっているコトに気付く。
各主人公たちはプリキュアさん達に襲い掛かってくるし、このままでは物語が進まない、終わらない…。
そしてこの混乱を作り出していたのはニコさんだったという衝撃的な展開。
今回のゲスト声優が林原閣下だと聞いた時に「閣下が声アテるならラスボスしかないっす」とか冗談めかして呟いていましたが…まさか本当に…。
閣下、強すぎるよ…。
■終わらない星空さんが子どもの頃に見つけた絵本。
その絵本の主人公こそがニコさんだったのです。
友達が居なかった星空さんは、その絵本のおかげで友達が出来た。
メルヘンのおかげで現実にウルトラハッピーがやって来た瞬間です。
しかし星空さんは「絵本の続きを書いてあげる」という約束を果たせず、その約束もいつの間にか忘れてしまっていた…。
星空さんに裏切られ、終わりの無い物語に閉じ込められてしまったニコさんは魔王と共に復讐を決意する。
星空さんも巻き込み、他の物語も全て「終わりの無い」物語にしてしまおうという。
「終わりの無い物語」…これはテレビ本編的にはピエーロ様の推奨する「永遠の怠惰」の事なのでしょう。
てーことは、ニコさんはキャンディと同期する一方でピエーロ様とも同期するキャラクターだったというコトなのですね。
ニコは絵本の中ではいつも笑顔で、みんなを笑顔にさせるキャラクターだったといいます。
それは人を笑顔にさせるコトを生業とする道化師・ピエロの姿そのモノなんですよね。
つまりはテレビ本編もニコと同様の流れになっていくの…かな?
■ウルトラ言うなら巨大化してもえのや…戦いの果て、ニコは笑顔を取り戻し、魔王とも和解する。
魔王との和解、魔王の存在も必要だというコトまでを秋映画の時点で見せてしまうのが、「スイート」までのシリーズ展開を踏襲しての流れという風に見える。
「スイート」はテレビ本編では和解エンドだったけど、劇場版ではその展開を伏せてハウリングさんを倒してたしね。でも「スマイル」ではもはや伏せる必要はありませんよー…とそんな風に見えました。
ニコは、自分の物語の続きは自分で作ると決意する。
白紙にどう描くかは頑張り次第。「努力」のテーマが垣間見える。
絵本のおかげで友達が出来ててスマイルを手に入れた星空さん。
メルヘンから笑顔を貰った星空さんが、今度はメルヘンにいるニコさんに笑顔を取り戻させる相互関係成立のお話。
主人公である星空みゆきが中心になっている物語になっているのが、映画らしくて良いですなー。大事な所は主人公自身の話になっているのは重要よね。
直球で分かり易いだけに、これをテレビ本編のプロットに使ってもイイのになぁーとも思ってしまう。
テレビの方はどう決着を付けていくのかしらね…。
■10年はえぇ!作品テーマをしっかり盛り込みつつ、ドラマもちゃんと魅せてくれる、よく出来た劇場版になっていたと思います。
これを「スーパーヒーロー大戦」と同じ人が書いただなんて…!(おい)
しかもほぼ同時期に書いているはずなんだけど…。
いや、メタフィクショナル要素の強さは「スーパーヒーロー大戦」ともしっかり重なってますけどね!
「終わりの無い物語」だとか「自分の物語は自分で作る」だとか、ラスボスの声がシャドームーンだとか。
ボクは狂信者なので思わずにはいられないのです…。
「ディケイドだ、これ!」と(えー)。
自分の物語が無かったディケイドが他のライダー世界を破壊して、最後には自分の世界を見つけ出した「MOVIE大戦」を思い出します。
そうだ、ニコちゃんはディケイドだったのだ…。
2×5(ニコ)=10(DCD)
…ごめんなさい、なんでもないです。
「オールスターズNS2」にディケイドは出るのか…。
まずはそこに期待ですね(え)。
余談ですが。
映画を見た後、東映アニメーションギャラリーで催されていたプリキュアの展示を見に行きました。
正直、資料的には大したモノは見れなかったのですが…。
Tジョイ大泉のロビーの方が劇場版資料がいっぱいあったし、スタッフ・キャストの色紙が飾ってあって頑張っていた気がします。
まぁ、それはいい。
そのギャラリーには日本のアニメ年表というのがあるのですが、それは2003年までの作品しか書かれていないのです。
そして、そこにはこう記されてありました。
「明日のナージャ」(放送中)
9年前、03年といえば映画に描かれていた星空さんが5歳の頃…。
終わらない物語はこれのコトであったか…と。
そう思えてならんね…。
⇒
スマイルプリキュア 各話レビュー
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コメント
明日のゆくえの先の先
今年のプリキュアさん達は白紙のページを自分たちで埋めるどころか、埋めようと志すことさえも許されてない。
この辺りもスイートの結末を継承したうえで、さらに一歩先まで踏み込んでいる部分なのでしょうね。
……まあニコさんが自分で埋めるって、ある意味では当然のお話なのですが。でもニコさんはニコさんで、本来あったはずの結末を失くしたままという。
プリキュアさん達に弾き出された主人公たちが暴れ、他所のお話を台無しにしてるというのも密かにエグイ。
2012/11/10 20:35 by kanata URL 編集
電王もそれまでの特撮オタク以外の層をとり込んでいましたしね。オタクは初日に行こうとする人も多いので、公開初週は伸びやすいのかも。
ところで映画のイラストは記事に書かないんですか?
2012/11/11 17:36 by taida URL 編集
全てを破壊し、全てをつなげ!(え)
それはさておき、『NEW STAGE 』に続いて今回も衝動に負けて映画館へ飛び込んでしまったわけですが、結論から言えば衝動に従って大正解でした。
TV版のOPのパロディなどの小ネタが楽しかったり、復活した白紙のページをめぐるやり取りなどにTV序盤を思い出させる流れにうなったりもしましたが、ウルトラキュアハッピーの地に降り立った瞬間の一面へ広がる花畑に圧倒されたり、ラストのみゆきのボロ泣きには不覚にも目頭をやられたりして、映画館を出てから五分ぐらいは目が潤んだままでした…我ながらもろくなりすぎのような気がしますが。
ところで、先日こちらも映画村のスマイルプリキュアまつりを見てきましたが、敷地内全域を使ったスタンプラリー以外には、屋内の特設会場に校門や教室などが簡単に再現されているほか、スマイル組五人の等身大フィギュアやボール投げのゲーム場、玩具売り場、3Dシアター等も並んでいて、チビッ子に作品の雰囲気を味わってもらうための空間という感じでした。
ちなみに、同会場にはふしぎ図書館と称する本棚もありました…何故か占いのギミックつきで(汗)。
2012/11/11 21:28 by おおふ URL 編集
まだまだまだ
本作のテーマ「笑顔」と「絵本」の(劇中での)理由が星空さんの過去と共に明かされる今回の劇場版。二つのテーマがちゃんと繋がっているのは見ていて感心しました。
星空さんに笑顔をくれたニコちゃんが彼女の笑顔を奪おうとする一方、星空さんに笑顔をもらった4人+1は彼女に笑顔を与えようとする。そして最終的に星空さんとニコちゃんが互いに笑顔になる、という一連の流れにはジーンと来ました。
メルヘンランドと絵本の世界は、BLACKの世界とRXの世界みたいなもんなんでしょうか?
2012/11/11 21:30 by 銀河水晶 URL 編集
◆コメントありがとうございます!◆
果たせなかった約束を果たすという部分に落ち着くのかなーと見ていたら、約束の反故は仕方ないとして別の結論になっていったのがちょいと驚きでした。たしかに必ずしも子どもの頃に夢見た希望を果たさなくてはならいわけじゃないからなぁ…。
ニコさんにとっては、実は今まで以上に過酷な旅になるかもしれない…まず魔王の城から自力で逃げ出すアイディアを考えないと…。
>taidaさん
初週動員だから、ですか…なるほど。
どうも大人の観客の動員がこの手の映画でそんなに大きく作用するものだろうか…とボクは懐疑的だったりもするもので。初週に集中するのであれば、そういう効果もあるかもですね、ふむむ。
イラストに関しましては…現状のスケジュールでは厳しいですね。それ描いてると1月後に記事を上げるハメになりそうだったので、テキストだけとなりました。まぁ去年もそうだったんですが。
>おおふさん
ここ最近はプリキュアさんの映画もしっかりしたモノが多いなぁと感じ至ります。
今回にしても、これまで米村さんの書いたライダー映画では感じた事のエモーショナルな感動がありますしね(ぉぃ)。
別人としか思えぬが…でもディケイドっぽい…。こういう方向性のディケイドもありえたのかを思うとワクワクします(えー)。
>銀河水晶さん
悔しいかなクライマックスでちょっとウルッときてしまいました。
米村さんの映画でこんなにグッと来たのは初めてでしたよ(ちょ)。思えばカブト劇場版からであるが…。
ちゃんとテーマも分かり易く表れていますしねぇ…こういうのを見てしまうと、やはりライダー映画はチーフPの意向が強いのだろうかと思ってしまいますなぁ。
メルヘンランドと絵本の世界が、同期したパラレルワールドということは…絵本世界で魔王だった者が、プリキュア世界では日野さんのお父さんになっていてもおかしくないってコトですかね…。
2012/11/14 00:21 by TJ-type1@管理人 URL 編集
演出もきめ細かい配慮がなされているし、クォリティが高いと感じました。ラストのニコちゃんの「自分の物語は自分で書く」はややシビアでしたが、テーマに沿ったもので大変良い締めだったと思います。自分の中のスマイルにやっと一区切りがついたように思います。
ドキドキにも期待ですね。
2013/03/20 12:25 by クズマ URL 編集
◆コメントありがとうございます!◆
テレビよりもシンプルに分かり易くまとめているなという印象ありますね。
一応テレビでもピエーロ様はハッピーに内包されたというイメージだそうですが、映画の魔王のほうがその辺はより明確に描かれているのでテーマも分かり易く見れるんですよね。
そういえば、テレビの方の森の少女はニコちゃんみたいにきっと最終決戦でなにか役に立つんだろうな…などと思っていたりもしたんですがね。
2013/03/22 21:56 by TJ-type1@管理人 URL 編集