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2012年 09月 29日
先日、東京都現代美術館にて開催されております『特撮博物館』に行って参りました。
ミニチュアを中心とした日本のアナログ特撮を黎明期から遡り、昭和から平成に至る職人達の技術と知恵を感じようという展示です。
滅び行くアナログ特撮の息吹きを後世に残したいという、庵野館長を筆頭とした、かつての怪獣少年達の努力の結晶でもある。

個人的にですが…怪獣映画のような特撮映画はこのままでは歌舞伎や能、狂言のように、伝統文化としての価値が認められたとしても、一般の人々が殆ど触れ合わない次元の文化にされてしまうのではないか…という危惧を持っているんですよね。
果たしてアナログ特撮は何処に行くのか…という思いを抱えつつ、美術館に足を向けるのであります。



広大な木場公園に隣接された美術館に入って受け付けを済ませ、展示スペースに入ってまず驚くのは、その人の多さ。人、ヒト、ひと…。

現状、日本映画界において崩壊寸前、枯渇状態だというミニチュア特撮。
そんな映画美術の催しに、よもやこれほどの来客があるとは思いもよりませんでした。まさか平日の美術館にここまで人が来るのかと…(藤子ミュージアム来館時と同じ感想)。
入り口には「20万人突破!」という看板が立てられておりましたが、今の日本にこれほどアナログ特撮に興味がある人間が居るとは嬉しい限り…と思うよりは、正直信じがたい印象。

企画の内容から、中高年の男性が多かろうという予想をしていたにも関わらず、館内には中高年から若年層まで割と満遍なく、女性のお客さんもなかなか多い。
思いのほかカップルで来ている方々も多く見えました。
マイティジャックのミニチュアを見ながら行うデートってどんなよ…という気もしたのですが、男性が女性にワケ知り顔で語れるネタという感じで、意外と成立しているように見えた。

あえて人を見た目で判断させてもらうと、特撮というジャンルに興味の無さそうな方々が沢山お出でになられていて、世の中やってみると意外な効果があるもんだなぁと感慨深い思いが生まれるのでありました。


今回の展示は、主に東宝、円谷、大映を中心としたミニチュア特撮のプロップや図面、撮影機材、技術諸々を紹介する内容。
映画の時代背景や何やらを紹介してテーマから見て貰おうといった展示ではなく、純粋に『特撮技術』の展示でした。

フィルムに本物のように焼き付ける為、ミニチュアに施された技術的アイディア、先人達の知恵が其処此処に見て取れる。

ボクは子どもの頃から特撮映画・特撮番組が好きだったのですが、物心ついた時からソレを本物だと思って観た事は一度もありません。
だって明らかに現実に存在しない物がそこに映っているし、冷静に見てミニチュアと実景の町並みはやはり違う。
よく、子どもたちにアニメや特撮のヒーローが実際に存在するかのように思わせることが夢を守る事であると言われるのですが、その辺の感覚が正直よく分からない…。
え、あれが実在すると信じている子どもって居るの?とすら思ってしまうんですな…なるほど、嫌な子どもだなぁ。

では特撮の何が好きだったかというと、画面に映っていない外側の部分が好きだったんですよね。
ミニチュアの飛行機を飛んでいるように見せる方法や、存在しないはずの光線が腕から出ているように見せる技術だとか。
画面の中で戦うヒーローや怪獣もそれはそれで好きなのだけれど、それよりもピアノ線や合成、オプチカルプリンターに心踊らされていたお子様だったと記憶している。

いや、要するにヒーローが存在しないという現実にだって夢はあるんだってコトですよ。ナニ言ってるのか分からないけど、そういうコトなんだよ。


戦闘機やドリル、メカゴジラやギドラといった心が踊る展示もありますが、一番の見せ場は短編映画「巨神兵 東京に現る」でしょうか。

3DCGは禁止してアナログ特撮の粋を見せ付ける、今やとんでもなく贅沢な映画であります。
映像の方にばかり注視していたので内容は正直分かっていないのだけれど(ぉぃ)、とにかくミニチュア特撮の表現力に驚くばかりでした。

え…こんな映像をミニチュアで撮れるの?

…と、ミニチュア特撮には慣れているという自負がありながらも驚きを隠せませんでした。
メイキングを観て、実景だと思っていた部分がミニチュアだったと分かった時の悔しさと感動はなかなか楽しいモノです。
アナログ特撮も好きだけれど、ミニチュアは時代の流れで消えていく過去の遺産…ぐらいに思っていましたが…。
これはちょっと…マジか…と考えを改めねばならないレベルの出来でした。

現在の合成技術やちょっとした撮り方の変化などで、ミニチュアがここまで表現力の高いモノに仕上がるとは思いも寄りませんでした。
特に今回新しく導入されたビル爆破法なんかは、見事な映像だと思います。あんなに美しく爆破するビルがあるのかと感激するほど。
巨神兵の動かし方にしても、着ぐるみでも操演でもCGでもなく、あんな方法があったのかと驚かされる。

ミニチュア特撮は実は今でも進化し続けている最先端の技術でもあるのだと、深く感じられる映画、及びメイキングだと思います。
やっぱりメイキングが楽しいんだよね、うん。


今やミニチュアは3DCGよりも予算がかかる為に使われなくなっている代物ですが、死んだワケではありません。
怪獣映画や災害映画といったミニチュアが大っぴらに活躍する映画は枯渇していても、ビル爆破といった需要は日本映画でもハリウッド映画でも細々とあったりします。

故きを温めて新しきを知る。
昭和の映画技術を懐古的に懐かしむ展示なのかと思いきや、その中から今までに無い新しい特撮技術を見聞するに至る展示内容でありました。

あるいは、「ウルトラマンサーガ」で3DCGにミニチュアを貼り付けるといった進化もあったりする。

今も進化して生き続ける。
かつての隆盛こそ無いものの、意外や逞しいものでした。

今回の来客数を見ても、まだまだ日本特撮の訴求力があるのかもしれないな…と夢を見たい気持ちになるのでありました。

そう、夢を見せるだけの技術はここにある。

問題はバジェット(予算)だなぁ…(ぉぃ)。
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COMMENTS

Commented by makiray URL at 2012-09-29 16:05 #RsdfxmUU Edit
Title :
 ゴジラやガメラの映画もなんだかんだ言ってヒットするじゃないですか。
 あれって、特撮好きってわけじゃない人が見るからなんですよね。これも同じじゃないですかねぇ。
 見てる人たちがしきりに「懐かしい」って言ってたんですけど、それもおそらくオタクな人の発言ではない。オタクにとっては、放送は終わっていても現在ですから。
 そういう人たちを巻き込まないと維持できなくなってしまった、ってことでしょうね。

 俺はピュアにオタクとして楽しんでましたが。
 バッカス三世かっこえぇ…。
Commented by TJ-type1@管理人 URL at 2012-09-29 17:06 #- Edit
Title : ◆コメントありがとうございます!◆
>makirayさん
オタクではない人をどこまで取り込めるか…その辺はやっぱり戦略による力なのかしら、白倉さんが得意そうなアレ。今回の展示も「エヴァのルーツ」と一言入れるだけで食いつきが良くなるのかもしれないですしねぇ。

そういえば、他のお客さんが「オシャレ」と言っていたコトには新鮮な驚きを感じたのを覚えています。
オシャレを求めて特撮展を観に来るのかと…予想外の需要があるもので。
ファミリー映画、キッズ映画だけでなく、デートムービーとして成立するような特撮映画もあってイイのだろうなぁと感じますね。

ミニチュアと言いつつデカブツが多かったのも印象的でした。
マイティジャックとかローレライとかジャンボジェットとか…。

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Tracked from blog mr at 2012-09-29 16:00
タイトル : 「大伴昌司の大図解」展と特撮博物館
 主目的は、明日の浅香唯ファンクラブ イベントなのだが、せっかく東京に出てくるのにまさかそれだけ、ってこともない。  これがまた上手い具合に、特撮のイベントが一杯。つか、