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2012年 03月 17日
2012年はドラえもんが誕生したとされる2112年から数えてちょうど100年前。

ということもあってか、今回の劇場版では脈々と繋がる生命について描いています。

100年1000年前の遺伝子は、次の100年1000年へと受け継がれてゆくのであると。



奇跡の島。
そこは絶滅動物達を集めて管理、保護している特別区。
サーベルタイガー、インドリコテリウム、メガテリウム、グリプトドン、モア、ドードーといった、数百年数千年前に絶滅した動物たちがそこでは闊歩している。

この奇跡の島の力の源とされているのが黄金のカブトムシ・ゴールデンヘラクレス。
その島で絶滅動物たちが安寧に生活出来ているのは、この黄金のカブトの不思議な力によるものとされている。

見終わってみると、この「奇跡の島」はドラえもんの映画としてはこれまでと雰囲気が違う… という印象を強く受けました。
最近の傾向である「泣き」ではなく、活劇の方に重きを置いている方向性であるというのもあるかも。
個人的印象で言うならば、「藤子F」感がちょっと薄いように見受けられる。

まず、舞台や設定についての説明が省かれている。
絶滅動物を保護する島というのは分かるのですが、何故そこに人間が住んでいるのかについて誰も言及してくれない。絶滅動物を集めて保護している、その研究施設に住民が居るっておかしいじゃないですか。しかもまた、とても野性味溢れる生活をしていらっしゃる集落です。
どう考えても絶滅動物の研究には邪魔だと思われるのですが… 放っておいたらあの人達にモアヤドードーが駆り尽くされたりするんじゃないの? それも含めた実験? うぐぅ、分かりません。

さらに、ゴールデンヘラクレスについても最後までよく分かりませんでした。
ヘラクレスの力を封じると島の動物たちも弱ってしまい、さしずめ、島の生命を司る神といった雰囲気。
その不思議な力について最後には劇中で明かしてくれるのではと思って見ていたのですが、結局最後まで謎のままで終わり「え!?」。

この辺が最も、ボクの思う「藤子F」感の薄さに繋がっていると思うのですけど、「ドラえもん」の原作は真摯なSFであり、不思議を科学で解明していくお話でもあるのです。そこに神・霊魂・不思議パワーみたいな要素は一切ありません。雪男やネッシーは存在しても、幽霊やサンタクロースは存在しない。
「ドラえもん」というのは、そういう作品。

だもんで、ゴールデンヘラクレスが不思議パワーを操る神的存在という描写で終わってるのが、とても違和感。
てっきり、ヘラクレスは生命エネルギーを活性化させる能力を持ったマシーンである、といった説明でもあるかと思っていたのですが。うむむぅ…。

そういう「少し不思議」を、それっぽいこじつけ科学で説明するのが「ドラえもん」じゃないですかーと思っているので、そこをおざなりにされたくないんですけどねぇ。楠葉監督は結構、説明をすっ飛ばす人なのかなぁ…「人魚大海戦」でも飛ばしていたけど。
あるいは今回クレジットされていた「企画・原案協力 むぎわらしんたろう」氏の影響なのかしら。なーんか例年よりもSF感が薄いんだよなぁって。



今回の映画では、「父と息子の絆」とのび太の「成長」が描かれています。

のび太の名付けシーンとか、焚き火での語りなんかはほろりと来るものがある。
やはり「震災後の企画」としては「家族」や「絆」を描きたくなるのかなぁ。
「友情」よりそちらにシフトするのはさもありなん、か。
といっても、ドラえもんの映画シナリオは公開1年以上も前に出来ているって話もあるんですけどね。

のび太にそっくりな少年ダッケの正体については、鑑賞しながら素直に驚いてしまいました。
てっきり「太陽王伝説」みたいに、ただそっくりな子というだけかと思っていたので、なるほどと頷きました。
この辺はしっかり時間SFモノっぽくしてくれているんだよなぁ。
このおかげで「親子」というテーマをゲストキャラで描くのではなく、のび太自身を使って描くことが出来るのですね。
ふーむ、なるほどこれは面白くも上手い手であるなぁ。

また、序盤から「誰かの助けを借りないと何も出来ないのかよ」とのび太に吹っかけることで、のび太の成長を描く物語であると提示されています。
これって「人魚大海戦」の時にも同じコトをしていたんですけど、「人魚」の方では結局明確な成長を描けず、モヤッとした印象で終わってしまったのが残念でした。だので、これは楠葉監督的なリベンジであるように見て取ることも出来るのだなぁ。

今回の映画は、案外とスネ夫がカッコイイ映画でもありました。
普段はのび太やジャイアンがカッコイイ台詞を言う為の振り(「もう帰りたい」→「男ならここで立ち向かえ」みたいなお馴染みのシーン)を請け負っているスネ夫でしたが、今回はその役割がのび太に渡っておりました。
のび太に弱音を吐かせることで後の成長を見せるために、ですね。

でも、一見すると今回ののび太も具体的に何かしたという印象は薄いんです。
だって、今回のクライマックスで一番頑張ったのはカブトムシさんだから。

しかし、そのカブトムシ(カブ太)さんは、のび太がパパに必ず世話をすると約束したモノであり、それは父と息子の絆の象徴である。
また、虫相撲でこてんぱんにされていたカブ太はのび太の姿そのものでもあり、カブ太=のび太という構図も仕込まれている。
だからクライマックスで戦うカブ太とは、のび太の姿を意味している。
そのため、のび太の成長というドラマはきっちり成立しているのだと思う。



といった感じでですね、結構モヤッとしたモノも残るのですが、企画意図はちゃんと伝わる映画にはなっていたのではないかと思います。
意外と島を冒険していない気がするとか、展開が少ない気がするとか、ドラ映画のフォーマットに則していない印象も個人的には受けたけど、それは良いとか悪いとかじゃなくて方向性の問題なのかなぁと思ったりもして、うむむむ。

作画もこれまでとはちょっと違う事も手伝って、違和感に繋がっているのかもしれない…。
のび太の顔がえらく丸いわ、スネ夫の口が…なんか…え? みたいな。

でも、絶滅巨大動物たちのバトルは怪獣映画みたいでちょっと胸がときめきました。
なんかあの島自体が怪獣ランド的なノリなんだよなぁ。あ、そう思うと作品の空気感も納得。

そしてありがたいことに来年も劇場版はやって来ます。
オマケ映像の演出をしたことから見ても、来年はまたまた寺本監督。おお!
「ハンター×ハンター」の演出ローテに加わっているからもうドラえもんに戻らないかと危惧していましたが、良かったです。ありがたいのぅ。

順番的に次回は原作付…と思いきや、次もオリジナルっぽいですね。
秘密道具がわんさか出てきたのが気にかかります。
どの短編をベースに作ろうとしているのだろう…まさか百苦タイマーじゃないだろうな(え)。

秘密道具がモチーフというこは、今年みたいに何らかの理由で道具が使えなくなるお話なのかもしれませんなぁ。個人的にはドラえもんが道具を使ってチート化する様が爽快なので、そういう展開は好みではないんですけどね。
てゆか、道具をフルに使える状態でもドラえもんってすぐピンチになるから、あんまり大差ない気もする。

そんなこんなで、また来年まで生きる目標が出来たなぁと思うのでありました。
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COMMENTS

Commented by ハナ URL at 2012-03-18 11:38 #- Edit
Title :
基本オリジナルは(大山ドラも含めて)細かな説明は無視ですね。むずかしいのかな?ワンニャンの時タイムマシンが壊れたとき「まっいっか」「大丈夫だよ」とドラが笑いながら言っていたときは驚きましてけどね。あなた25年前のび太の恐竜ときは泣きながら戻れないといっていたじゃないですか?と突っ込みました。あと説明なしでバトルに走ったとき僕も意味がわからずそこがぶっ飛んでいてわらいました。まだ、黄金バットとチアリーディング手袋は僕はわかるのですが、マニアな道具なためジャイアンがバットでドラを打ったたき、静香ちゃんはみんながピンチなのになんで応援しているのかそのキチガイぶりに大人も子供も理解しているのか知りたいです。そのぼくも最後ドラたちが怪獣ロボットの周りで走り回って何をやっているのかわかりませんでした。せめて、「チアリーディング手袋の効果がさらに出るよう僕たちも応援しよう」とひとこと入れたら別ですが、映画の感想はお子様映画としてはすばらしいです。ただ、ドラ映画としてみたら、去年が鉄人だけに難しい評価になるかもしれません。ドラファンのサイトの評価も分かれています。ラストバトルは結構好きです。前半は親子愛は結構クドッかたかもしれません。こんな感じです。
Commented by TJ-type1@管理人 URL at 2012-03-19 21:13 #- Edit
Title : ◆コメントありがとうございます◆
>ハナさん
まぁ、ちょっと変な話というのであれば後期大長編の中にも「ん?」ていうのがあったりするのですがね。
「奇跡の島」は「緑の巨人伝」や「人魚大海戦」ほどの「?」があるわけでもなく、ストーリー自体は分かり易いので理解できるのではと思うんです。ただそこからのプラスアルファ要素について色々言いたい気持ちは無いでも無いです。
要するに、悪いって程でも無いし、良いって程でも無いし…って印象をボクは持ちました。いや、このぐらいのコトは今までの30年にもあったんだって(え)。
Commented by ハナ URL at 2012-03-22 01:23 #- Edit
Title :
2011年(今年2012年だけど)ってドラミちゃんの映画ではのび太の息子ノビスケがのび太ぐらいの年齢でしたよね。去年がちょうどのび太の30年後の世界が今なんて少し感激です。偶然ですが今年の映画ものび太のパパの30年前の話ですし、トヨタのCMものび太の30年後だし、全く関係ないですがダイハツのCMも大山のぶよだし、なんか繋がっていますね。ちなみに、ミニドラsosではパソコン付きランドセルが今でいうスマホだったり意外と未来予想が正しかったんですね。
Commented by ハナ URL at 2012-03-23 00:12 #- Edit
Title :
ごめんなさい。トヨタの設定は30歳でした。あとほかも大まかに30年後ということで。
Commented by TJ-type1@管理人 URL at 2012-03-23 22:03 #- Edit
Title : ◆コメントありがとうございます!◆
>ハナさん
当初、野沢さんがゲストキャラというのがベテラン過ぎて大原さんとのバランス悪いんじゃないかと思いましたが、あれが30年前のアニメにおけるキャスティングを再現していると考えると納得出来てしまいます。
要するに親と子の2世代を狙った戦略の一環なんですよね。もうドラえもんは完全な2世代アニメになっているのですなぁ。
Commented by kanata URL at 2012-04-28 15:50 #KqigePfw Edit
Title : 少し不思議と凄く不可思議の境界線
 両親に対し子ども目線からも共感を示すように作っているあたり、時代の変化を感じました。
 これは作品性の変化というより、時代と家庭観の変化に対応したものなのでしょうね。

 レギュラー中にいない、「親を亡くした子」をゲスト枠にさらりと置いてあるのも構成としては上手い。
(あの原住民?の存在そのものは、謎だらけすぎて受け入れがたいものもありましたが……)

 ただゴールデンヘラクレスに関しては、やっぱりちょっと無茶すぎるなあと。
 一応「宇宙隕石の影響」で「原理を研究中」とは説明していましたが、せめてもう一歩、エセ科学で構わないから踏み込んだフォローの欲しかったところです。

 何の説明もなく古代に本物の魔法使いがいたり、辺境に風使いがいたりした一時期よりはマシなのでしょうけど。
 マシなら良いってものでもなく。
Commented by TJ-type1@管理人 URL at 2012-04-28 23:30 #- Edit
Title : ◆コメントありがとうございます!◆
>kanataさん
親と子の絆を描く上で、親の居ない子どもを持ってくることでメッセージを明確にしているわけですね。
ヘラクレスは神的存在というのも謎なうえに、何でカブトムシの形をしてるのかも分からず、分からない事にもう一つ分からないコトを乗っけているのがさらに納得出来ない気もしました。説明すっ飛ばしは最小限にして、残りはウソでも説明してほしい気持ちなんですけどねぇー。
たとえストーリーやドラマにおいて大きな影響は無いといえど…。
Commented by kanata URL at 2012-05-20 01:50 #KqigePfw Edit
Title : あの頃の理想像と、今そこにある幸せと
 親のいない子どもに関しては言葉足らずでした。分かり難い書き方をしてごめんなさい。

 今どきのアニメって基本、「理想的な家族構成」を絶対視させないよう気を使っていると思うのです。
 4家族全てが両親健在・核家族になっている「ドラえもん」は、その意味で見ればやや古い(これ自体はレアと言うほどじゃありませんし、時代環境の話をするならむしろ専業主婦ばかり四人の方が厳しいでしょうけど)。

 「家族の絆」を重点の一つとしている今回は特に、家族の構成というのも若干ナイーブになるべき箇所のはず。
 その点ゲスト一人の設定を工夫し、補完させたのは上手いなと思った次第です。「原作の設定なのだから気にしない」という選択肢だってあっただろうところ、あえて拾った配慮が尚更に素晴らしい。

 こと「親がいないなんて可哀相」という話へは持っていかず、当人に最初から「じゃあ、お爺ちゃんがいる私も幸せなんだ」と言わせた部分には感心してしまいました。
 正直、親のいない子を前にして「親がいるってどんなに幸せか」を語らせ始めた時には、なんて無神経な描写なのかと肝を冷やしてしまったのですが。
 そこをまったく嫌みにせず、すんなり「私も幸せ」に繋げてしまった脚本の妙だけは脱帽モノです。

(余談ですけど、子どもが親に共感を示しているのも時代の変化なのでしょうね。現役時代のドラえもんではどちらかといえば、「親」は子どもの脅威として描かれることが多かったように思います)
(余談ついでに。「そうでもない」部分だってちゃんと描いていたり、大人視点で見ると大人の言動がちゃんと理解できるあたりは原作の凄味でもありました)
Commented by TJ-type1@管理人 URL at 2012-05-22 01:10 #- Edit
Title : ◆コメントありがとうございます◆
>kanataさん
なるほど…全然そんなところまで気が回っていませんでした(うわ)。
さらりと自然に描いていると思われる中に、配慮が隠されていると…ほほぅ。
たしかその時は劇場で見ながら「いい話だぜ」と思いながら涙腺を緩める作業に没頭してるだけでした(えー)。

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