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『映画 スイートプリキュア♪ とりもどせ!心がつなぐ奇跡のメロディ♪』

もはや毎年恒例ともなって来て久しいプリキュアさんの劇場版。
さも当たり前のように映画なんて無かったロンドンどんよりさんから、遂にスクリーンデビューを果たして北条さんの雄姿が銀幕に踊ります。
映画はハミィとクレッシェンドトーン劇団によるライトの説明から始まりますが、その後に始まる本編のアバンは、おそらくこれまでの劇場版の中でも最もショッキングな内容だったと思われます。
まさかプリキュアのお話で警察沙汰に発展するだなんて…。これまで警察の厄介や介入を避けてきた先輩諸氏の苦労がここに来て潰されるなんて…うぬぬ。

という、そんなショッキングな内容から始まる本編。
一国の国王が民家に不法侵入、よもや国際問題になるところを音吉さんの顔の広さで揉み消しました。これが政治ってヤツか…(え)。


■ テレビで観るか 映画で観るか

プリキュアさんの劇場版といえば、毎年そのシリーズのテーマを凝縮、再構築し、テレビでやってる事を70分の映画で見せちゃうぜーという企画なわけで、今年もまた頑張って短い時間の中に詰め込んでくれておるわけでございますなー。

映画では加音町とメイジャーランドから音楽が消え、メイジャーランドの音楽家はみな石のように固まり、その主犯がアフロディテ様であるというお話。
アフロディテさんはメイジャー3なるアイドルユニット(え?)を配下に置き、プリキュアさんの持つクレッシェンドトーンを狙ってくる…。

テレビでは、これまで敵の親分であったメフィスト様が実はメイジャーランドの国王にしてアフロディテの旦那さんであるという事が分かりましたが、この映画では逆に、今まで味方と思われていたアフロディテ様が実は敵!?という展開を見ることが出来ます。

“同じ物でも角度を変えると意味が変わる”といったコトを物語中において数多く忍ばせている「スイートプリキュア♪」。一つのモノに対する印象が変化する、という仕掛けがたくさん仕込まれています。
上述のメフィストさんしかり、ベルティエやギターのギミックしかり。
逆に言えば、最初から最後まで同一の印象のままで終わる…というコトが考えにくい。
だからアフロディテ様が実は悪役だったという展開は予期され、当然の流れになっている…。

おや? ということは、メイジャー3と同期するトリオ・ザ・マイナーは、実は同じくアイドルユニットだったのかもしれないな…。
オッサンのアイドル…こ、これは新しい…けど売れない…うぐぐ。

メフィスト、アフロディテ、アコといった「家族」のお話が描かれますが、「スイート」では響と奏、ハミィとセイレーンのように、「友情」も大きな柱としてそびえている様に思います。
で、この映画におけるそのポジションがスズという少女かなーと思う。
響と奏、ハミィとセイレーンの友情が回復したように、幼馴染のアコとスズの関係も破壊と再生が描かれると…。
これはテレビシリーズにおける北条さんが、親友の奏さんを取り戻し、家族の絆を回復させたコトに同期しているのでしょうね。

思い返せば、シリーズが始まった当初の響さんといえば、親友がいない、家族はすれ違い、音楽も嫌い、という無い無い尽くしで欠損だらけの人でした。もう少しシリアスな作風だったら泣きたくなる状況だぞ、これ…。
それがお話を重ねる中で、友情、家族、音楽を次々に取り戻すことに成功、その実績を手に入れたのです。

その北条さんの功績を繰り返すように、映画ではアコが父親と大好きな歌を歌う事で、失っていた音楽を取り戻す。
家族・友情・音楽、失っていたモノを全て取り戻す少女のお話…。
その辺がテレビと同様に映画でも描かれていますね。

改めて考えると、北条さんって物凄く不幸少女だったんだなぁ…。
うわぁ…なんだろう…萌える(え)。


■ Music does not die.

今回の敵さんはハウリングという名の哲章ボイス。
テレビシリーズのラスボスであるノイズさんと映画ボスのハウリングさん、どちらも耳障りな不快音を指す名前です。つまりは音楽の音色を邪魔する音。

この物語における“音・音楽”は、人々の絆や暮らし、あるいは命・魂といった意味合いがあるので、独善や死といったものがノイズさんでありハウリングさんなのかな…。

ハウリングさんはメイジャーランドから全ての音楽を消し去りましたが、クレッシェンドさんが言うには「心の中の音楽は消えていない」のだそうです。

この言葉を聞いた瞬間、当然のように雪城さんが脳内にカットインして来ます(え)。
「MaxHeart」の最終回で仰っていた「私達の心の中の宇宙は誰からも自由だわ!」というお言葉。どんな苦境にあっても、心だけは誰の支配も受ける事は無いという先輩のありがたいお言葉です。
同様、どんなに物理的に音楽を消し去ったとしても、人々の心の中から音楽を消し去る事は出来ない。つまり音楽を世界から奪う事は絶対に不可能。
この勝負、ゴングが鳴る前から勝敗は決まっていた…。

ハウリングさんはリズムを人質に取ってキュアメロディを叩きのめそうとしていましたが、メロディさんはやられない。
もうやめたげてーというぐらいボコボコにされても尚、メロディさんは再び立ち上がる。
だって、音楽は死んだりしないから。

この、心の中の音楽=キュアメロディという符号が合致して、メロディさんが立ち向かうくだりが最高に熱いです。
全般的にアコさんが持っていってるようなお話にはなっているけれど、やっぱり主人公はメロディさんなんだなーと感じられて血がたぎる。

色んな人の想いが合わさってパワーアップというお馴染みの流れも、一つ一つの音が集合して音楽になるというテーマに合致していて、とても分かり易い。テレビの方でもこんな感じで決着付けるのかなーと見えてきますなぁ。
あ、映画タイトルにある「奇跡のメロディ」はダブルミーニングでもあるのね。

不思議なモンで、大野さんも池田さんもこれまでのシリーズには参加していない方のはずなのに、出来上がったものは直球でお馴染みのプリキュア映画に出来上がっているんだよなー…。不思議なモンでね。

メロディさんのパワーアップ形態であるクレッシェンドキュアメロディさんが一人で止めを刺すのかなーとも思いましたが、これまで通りふたり、さらに四人の技で決めていたのは素直に嬉しかった。
プリキュアのテーマからして、一人チートで動かれるのはあまり好きでないのでね…まぁ、その分パワーアップした意味は薄くなってしまったが。

どうせやるなら全員でパワーアップしろと思うけど… ただでさえフリルが多い作画なのに…そんな…ことしたら…死人が…げふっ。
だからそんな無茶は言わない(え)。


■劇場が明るくなっても気が抜けない…

といったわけで、しっかり綺麗にまとまった楽しい映画でした。
偽チェストのギャグシーンも父娘のじーんとするくだりも、響と奏のキマシタワーもあって娯楽映画として堪能できます。
あいつら映画でもやっぱりイチャイチャしてたよ、まったく…。

ただし、本編は文句無く楽しんだわけですが、何故かそれ以外の部分でツッコミたい衝動に駆られたりはする(えー)。

いや…EDで、スタッフロールとは別にダンスパートを作ってまで映画館で踊らせなくても…と思ったりね。
そしてあの、次回の映画予告…。本当に…そういうところ、大人は嘘つきだよねぇ…最後って言ったじゃん!んもう!

まぁ、進化すると言っていたので何かしらパターンを変えて来るのだとは思いますけど。素直にVSシリーズでいいと思うんだー…、うん。

あぁ、「ゴーカイVSギャバン」みたいに別シリーズと絡むって手もあるんですよね…(と倫敦の空模様を心配しながら)。

スイートプリキュア 各話レビュー
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コメント

 北条さんが不幸?
 口笛で呼び出せる手下友達がいるじゃないですか。あと何回出てくるのか知りませんが。
 スイーツ姫はどうしているのでしょうねぇ。

 バランスよかったと思います。
 アコの話であり、メロディの話であり、ヒビカナ夫婦の話であり。
 あれ、誰か欠けてるような。

奇跡の調べ

友情、愛情、そして音楽…失われた物を取り戻すべく、伝説の戦士・プリキュア達が奮闘する今回の話。去年同様、アクションで魅せつつもドラマをしっかりとやっていて素晴らしい作品だったと思います。友情や親子愛の描写も良かったのですが、個人的にはメフィスト様とアフロディテ様の夫婦愛が良かったと思います。アコ救出からハウリング復活までの流れがなんかもう…はい(え)。

ドリーム、ピーチに続くメロディの単独パワーアップ形態・クレッシェンドキュアメロディ。先の二人同様一人で事件をズバッと解決…ではなくリズムとの合体攻撃だったのは嬉しかったです。個人の独立性が高かった5やフレッシュと違い、今作は確固たるパートナーがいますし。しかしCメロディは色が白に淡いピンクといった感じだったのでパッと見リズムとペアルックに見えました。なんかもう、どんだけ仲いいんだあんたたちは…みたいな。

◆コメントありがとうございます!◆

>makirayさん
和音さんがマグマ大使扱いだなんて…。スイーツ姫を呼び出すには三回ぐらい吹けばいいのかもしれない…。
映画は主要人物がみんな活躍していてしっかりしたお話でしたね。
町娘の格好でボケた以外のことがあまり思い出せないなんて人がいるはずないじゃないですか、んもう。


>銀河水晶さん
メフィストとアフロディテが空から落ちて、プリキュアがキャッチするかと思ったらそのまま落ち、でもピンピンしてたのには笑わせてもらいました。一国の王、女王ともなるとあれほどの身体能力を持っていないと務まらないのですね…。
映画でもしっかり響と奏のラインが固かった、さすがスイプリという感じ。こんなにキマシタワー感が強いのはスプラッシュスター以来かもしれぬ…ホントにもう、誰向けなのよ。

子持ちのメフィストとエロイムエッサイムと

今思えばメフィストさんを浄化どころかオーバーキルの危険性があるクレッシェンドトーンを響さん達にあっさり渡したアフロディテさんは実に恐ろしい…。もしかしたら二人の出会いは政略結婚(しかも婿養子)みたいなものだったのかも。娘に愛情はあっても夫に対しては最初から義務感しか抱いていない、だから簡単に敵として認識することができたし、娘の目の前で介錯するように頼んだ…うん、ガチでナージャ版貴族社会な空気だ(チョ)。それが今回の映画でようやく義務としてのパートナーから本当の意味で夫婦になれたのですね。まったく、努力と根性を信条にしていた元体操部兼野球部マネージャーは苦労性だ(マテコラ)

綺麗には終わったんだけどアコ・奏太・スズの和解のシーンが無かったのがモヤッとした。詳しい経緯はDC版ということですか(オイ

VSシリーズ…もし魔王と概念と化した方々と戦うことになったら事前に高価な菓子折りを持って挨拶に行くことを推奨します…。

◆コメントありがとうございます◆

>ミスターグラブシさん
まぁ上位の王位継承者であれば、もう恋愛結婚は無いと思いますけどね。きっと近隣国の王族の次男三男だったんじゃないでしょうか。
奏太のくだりは本編で描かれずに終わったので「え?」と思いましたが、一応EDでやっていたのでホッとしました。こういう細かい部分は70分だと短すぎますね…。一応、子ども向け映画は90分がベストってディズニーも言ってるのに…。

ハウリングは処刑対象

今回の映画はキャラデザに高橋氏・脚本に大野氏を携えて、いかにこの作品が本気に伝えたかったかを教えられました。

ストーリーはメフィストが完全に改心を果たして、アコが正式に仲間に成り始めたばかりの36話と37話の中間です。

間近に迫ったノイズとの前哨戦でした。

前半こそはアコを中心にメイジャー勢の関係を焦点に充てていましたが、アコは周りに喧嘩を吹っかけていただけでしたね。

心配している奏太に対してバッサリ切り捨て、アフロディテが悪い悪くないだのでスズと言い争い…挙句の果てが、親父であるメフィストにも反抗するという正に一匹狼的な描かれ方をしてしまいましたね。

さて、改めて本編を見返した後で見てみると、

TV本編がラスボスであるノイズとさえ和解する終わり方だったのに対し、劇場版の方はむしろ清々しい位に敵をぶっ殺してましたね。

オールスターズを除いて明確に最後の最後まで和解も改心もする事無く悪のままプリキュアによって殺された敵と言うのも数年ぶりだった気がします。(魔境の森のモアイはノイズ自身の分身端末と解釈出来る描写もあるので含めるべきか否か随分と迷いますが)彼等も一応はノイズ配下であった以上、もしかしたら悪のノイズに操られていた元善人でかつ被害者だったかもしれないのですけど。

まぁハウリングは、リズムを傷付けてしまいメロディの怒りを買ってしまったので、処刑されるのは致し方ないです。

問題はその配下のメイジャー3です。

彼らの描かれ方は、残念なイケメンって感じです。

エレンに出し抜かれまくっていたのですから。

◆コメントありがとうございます◆

>横浜学園都市部さん
劇場版はテレビシリーズの濃縮展開というのは例年のお約束なので、ハウリングを倒したということはテレビシリーズの最後でノイズを倒すのだろうな…という、今考えればこれもミスリードの一つだったのだと分かります。
テレビシリーズを濃縮した映画であると同時に、テレビシリーズの時間軸に挟まれた話でもある。だから、この時点でのメロディが敵を倒してしまうことにも矛盾は存在していない。
こうやって視聴者をだまくらかすことにやたら本気なシリーズだったのだなぁ。
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