■地球は最近のファッション遂にダークプリキュアを倒すに至ったキュアムーンライト。
タクトをかざした「ハァ――トキャッチ!」の声が凛々しいです。
ダークさんの心は何一つキャッチしていなかったような気もするけれど、勝ったのだから良しとするのです、ええ。
デューンさんに仮面で操られていたという月影父。
みんなを幸せに出来るかもしれないと心の大樹についての研究に邁進し、フランスの地でデューンさんの甘い誘いに自ら乗ってしまったのだと言います。しかもその交渉をしたのが男爵だったのか…無駄にフランス設定が繋がってると思っていた劇場版ですが、ちゃんと繋げて来ましたか…。
月影さんとはそんな因縁もあったわけね…。
しかし、幸せというのはみんなが少しずつ頑張る事によってキャッチするものであって、心の大樹やら何やら、たった一つのモノで全てが解決する代物ではない。
これは「ハートキャッチ」で描かれていたコトだけではなくて、「フレッシュ」を活用しての論理展開という感じがする。
勿論両作品は別作品ではあるのだけれど、劇中で描かれているように「ハトプリ」は前世代のプリキュアから想いを引き継いでいるというプリキュアなので、メタ的に過去作品からテーマを引用する事も許容されていると解釈できる。
その辺はある種“他人の褌”的な卑怯さもあるのだけれど、とても便利な技であるというのも事実。さすが疑似ディケイドさん。
ムーンライトを倒すために作られたダークプリキュア。
ダークさんはゆりさんの体の一部を利用して作られた妹であり…心の無い人形。
ダークさんがムーンライトを目の仇としていたのは、もう一人の娘である月影ゆりを消す事によって父親であるサバーク博士の愛情を得ようとしていた為。
それほどまでに愛されたいと願っていたという事は、自分は愛されていないと感じていた…てコトになるのだろうか。
確かにダークさんはゆりさんと同じ父親を持つ姉妹であるけれど、ダークプリキュアという名称だけで、名前すら無い、偽者の子ども。
「子どもを愛していない親なんていません」という花咲さんの言葉があったけれど、ダークさんは愛されていない子どもの化身だったのではなかろうか…。
そうなるとダークさんとは、父親が消えて自分が愛されていないと感じてしまった、そのゆりさんの中にあったドロドロした想いが分裂した存在だったのだと理解できる。
最期、父親に娘だと認められて成仏する…。花咲さんのあの言葉が真実である事を証明している…。
ダークさんは心が無いから、心を求めてムーンライトの心の片割をずっと持っていた…。
てことは、デューンさん他が必死に人間の心の花を回収していたのも、自分たちに心が無いから、その空っぽを埋める為に他人の心を集めていたのだと考えられないコトも無い。靖子にゃんぽいけど…(え)。
ムーンライトさんとダークさんは姉妹。
結局今期のプリキュアさんは姉妹間の問題をみんな持っていたというコトになるのか…あ、花咲さんは違うけど。
しかも総じて、妹の方が姉(若しくは姉っぽい兄)に対して憧れ、コンプレックスを抱き、姉(兄)のようになりたいと願っていたコトになる。
所謂アイデンティティ発見の話を、家族の話によって全て包んでいる。
登場人物のコンプレックスやサバーク博士の正体、劇場版含め、「ハートキャッチ」は“家族”を重要なテーマとしている事がよく分かります。
ただ、“チェンジ”や“花”といったテーマに対して、どうして“家族”がそこに入って来ているのかボクはちょっと掴みきれない所がある。てか、「フレッシュ」でも“家族”やったじゃんって気がしてしまうんだろうなぁ…。うむぅ…。
それとも梅澤プリキュアは全て“家族”がテーマに入ってくるかも…ぐらいに思えばいいのかしら。「スイート」のキャラ紹介を読むとそんな気もしてくる…。
そういや「ダブル」もそうだったし…。
“地球”と“家族”は最近のトレンドなのかもしれない…。
■「ムーンライトプリキュア!」仮面が取れて洗脳から解かれた月影父。
今までのお返しにとデューン様に殴りかかる!
おい無茶するな! …と思ったけれど、意外と動けるオッサン。
しかし、デューンの放った攻撃を制するために身を投じ、散華…。
え、月影博士死んでしまったの…?
プリキュアで人死に描写とかあるのか…え?
後で適当な理由で復活せんでも無さそうなのですが、展開重いです。
憎しみに支配されそうになる月影さんを制止する花咲さん。
しかし、憎しみや怒りを晴らす為に戦ってはいけない。
憎しみや哀しみは誰かが歯を喰いしばって断ち切らなければならない。
以前、ゆりさんが自分で言っていた言葉。
あなたが何をしたいのか、何をするべきなのか、何の為に戦うのか。
それは自分で考えて、自分で決めてください。
これまで幾多の人々が抱える悩みや問題に触れながら、実際の問題解決にプリキュアさんが関わらないのが「ハートキャッチ」でした。
だってそれはプリキュアが解決する事じゃないから。それは当事者のアナタが自分自身の手によって解決しなければ意味が無いから。
だからプリキュアさんは手を貸したりしなかった。
自分で考えて、自分で決めろ。
「ハートキャッチ」のプリキュアさんは、自分のプリキュア名称を自分で考えて、自分で決める事が出来ました。それは変身した自分、変わりたい自分を自分で考え、自分で決めろという事。
悩みに向き合って新しい自分に変わる、その変身した姿は、自分で思い描かなければならない。
一人一人が自分で決断して自分の望む形にチェンジするコトが大切であって、月影博士の言うような「心の大樹によって皆が幸せになる」という、何か一つのモノによって全員が幸せになるなんてコトは無い。
自分で考えて自分で決める。
憎しみではなく愛で戦うと決めたムーンライトさんは、遂に欠けた心の種を取り戻すコトが出来ました。
「ハートキャッチプリキュア!」は、月影ゆりが失った心を取り戻すまでのお話… 一年かけて描かれた月影ゆりのゲストエピソードなんだな…。
勿論、花咲さんの成長物語でもあるのだけれど、ゲストに関しては最後まで、通りすがって背中を押すだけ…というスタンスでしか無かったのなぁ。
通りすがりの堪忍袋か…。
■デューン様がビービ虫で巨大化の流れか…(え)一年かけて癒してきた月影さんの心の回復も完了し、次回最終回。
オーケストラさんのメリケンを受けてデューン様に勝てる余地なぞ無いって気もしますが…どうなる事か。
今回でデューン様は倒されていて、最終回は花咲さんのキューバロケって可能性も充分ありえます(え)。
最終回のサブタイは分かり易い成長の帰結点でグッと来るのぅ。
余談ですが、序盤のサブタイトルは「~ですか??」「~ます!?」といった自身の無さの表れである「?」が多用されていたのに対し、10話以降は全て「!!」で絞められていて、そんなトコにも成長の変化を表していたのだなぁと思ったり…。
最終回予告。
ブロ子「このパンチであなたのハートをキャッチします!」
いや、その理屈はおかしい…。
⇒
ハートキャッチプリキュア 各話レビュー
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コメント
プリキュア史上初めてですよね。プリキュア戦士の親族が敵の手で命を落とすのは。
2011/01/26 18:24 by オゴポゴ URL 編集
だって強さは愛だもの
次回はいよいよ最終回、どんな展開が待っているか非常にドキドキします。とりあえずデューン様はラスボスなんだからもうちょっと反撃していただきたい(おい)。
>>いや、その理屈はおかしい…。
体当たりでも「パンチ」と言い切りますしね、あの人…。今思えばオーケストラが鉄拳制裁なのは何でもかんでもパンチパンチ言ってたせいなのでは(え)。
2011/01/26 20:30 by 銀河水晶 URL 編集
サバーク…その愛と死
いろんな意味で去年を上回るSFになったと思います。
ダークプリキュアが散り、月影博士も死にました。今回のタイトルの元ネタにしたスーパー戦隊のサブタイトルもこれと似たような内容です。
しかし身内亡くす役なら失うものを持っていないつぼみでも良い気もします(最も今週出番のない薫子博士が作中にて死なないとも限りませんが)。
2011/01/26 22:28 by Voiceters URL 編集
◆コメントありがとうございます◆
ちなみにゴセイジャーで一般の人死に描写があったのも結構ビックリでした。人が死ぬって概念があったんだ…(え)。
せっかく三年間もお父さんを想って戦ってきたのに死んでしまうとか、なんなんでしょうねこの展開。妖精が死んでお父さんが死んで自分も一回打ち切り最終回を食らって…「ムーンライトプリキュア!」という番組の救われなさ加減が尋常じゃねえっす。
やはりプリキュア界のネクサス的存在なんだ…。
>銀河水晶さん
極端な話、この番組は花咲さんと月影さんだけいればそれでいいってのがよく分かりましたね。
マリンとかサンシャインとか居なくても何ら支障なかった…まぁ仕方ないね。
もうドラマ的にやり残した事はほぼ無いと想われるので、あとはテーマのまとめを最終回でやって素直に終わりって感じでしょうか。
最後が一話の夢にループするなんてディケイド的なコトにはならないと思います。
2011/01/26 22:32 by TJ-type1@管理人 URL 編集
◆コメントありがとうございます◆
SF…? あぁ、「少し不思議」の方ですね。サイエンスの方じゃないですよね、うん。
「ハートキャッチ」で本当にやりたかったのは「ムーンライトプリキュア!」というひどく救われないヒロインの話で、しかしそのままやるとそれは余りに残酷なので、その物語を内包する「ハートキャッチプリキュア!」として企画が出来上がったのではないか…と思えてきます。
月影さんを主役として見ると、展開がえげつないッたら無いです。ホント。
2011/01/26 22:37 by TJ-type1@管理人 URL 編集
痛みを乗り越えて
時にフローラルパワーですが、ここに来て随分と汎用性の高い描写がなされていますな。
『1人で2人分の力を出す』か『単に2人ならどの組み合わせでも良し』とな。
2発分放った矢先に鉄拳制裁に繋げるコンボは、絶対に憎しみが上乗せされているとしか思えないのが困ります。
2011/01/27 15:36 by ゼノドレイク URL 編集
ダークさん完全消滅!!
こうなったら・・・、デューン様撃破の数年後に月影さんにダークさんそっくりの子が誕生・・とか。
デューン様が鉄拳制裁ごときで死ぬはずありません。幽魔デザトリアンを食って幽魔王デューン様になるんです。
もしくは、肩のアレがデューン様食べて巨大化とか。
果たして、最終回に何かサプライズ演出を求めていいんでしょうか。
黄色い子が切り札を隠し持っていると信じたいです。
2011/01/27 20:06 by ymokkuk URL 編集
色々と懐かしんでみたりしています…
序盤を見ていた頃を思い出すといえば、つぼみがゆりを説得する場面にも「自分の大ジャンプでボロ泣きしたかと思えば地面に大激突して失神していたへっぽこ娘が、よくぞここまで…」と妙に感慨無量になりましたね。
でも、最終回のサブタイトルは態度デカすぎでは…?(汗)
2011/01/27 21:06 by おおふ URL 編集
◆コメントありがとうございます◆
薄幸どころか鬱アニメの主人公レベルです。花咲さんが主役というカタチで見せてくれているからまだ和らいでいますが、怖ろしいコトです…。
相手を殴り倒してもそれが愛だといえば愛になるわけで、愛と憎しみの違いなんて紙一重でしかありません。
憎しみはダメだけれど、愛といえば正当化され手段は問われない…怖ろしい事です。
>ymokkukさん
ダークさんはキャラ的にもテーマ的にも生き残る余地ほぼ無かったですからね…。
結局、邪気眼や片翼など中二設定の理由は明かされず…何の意味が…。
デューン様の肩のアレは実はとんでもない重さでして、あれを外したデューン様は瞬発力が凄まじいレベルで跳ね上がります。気をつけて!
>おおふさん
フレッシュでもハートキャッチでも始まる前は「これがプリキュアだと?笑わせるぜ」と思っていたのに、いざ始まると「なんだいつも通りの殴る蹴るか」と思わせてくれますからね。怖い怖い。
次回は最弱のプリキュアから最強のプリキュアへと変化を遂げた花咲さんという構成が美しそうですが、何をもって最強と謳うのかがいまいち分かりませんね。自分がそう思ったらそうだって話かしら。
2011/01/28 00:30 by TJ-type1@管理人 URL 編集
妹殺しの女
映画と同様、妹役にあの死にポーズを取らせたのはスゴイです。
普通に後ろに倒れて、その脚の曲がり方はおかしいだろう…。
ところで、なみなみと番長のフラグは最終回へ向けての伏線ですか?
2011/01/28 22:02 by オニギリ URL 編集
◆コメントありがとうございます◆
来期は「在庫アリ」という映画で死んだはずのバトン娘が蘇るお話だそうですし、なんともホラーなコトばかり起こりますなぁ。
なみなみと番君はフラグ…なのかしら。単に人気のあるサブキャラで場を濁しただけで…あれ、でもそれならもも姉やさつき兄さんを出せばいいのか。
ということは、やはりフラグ…。最終回は結婚式…(え)。
2011/01/29 22:42 by TJ-type1@管理人 URL 編集