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2010年 03月 22日

映画30周年30作。
ひとえに凄い数字だ…と思わざるを得ません。

そりゃね。
長期シリーズというだけなら「ゴジラ」や「007」の方が断然歴史は深いです。
作数でいえば「男はつらいよ」にはまだまだ及びも寄りません。

でも。

毎年毎年欠かさず欠かさず公開し続けての「30年」の重さは計り知れない。
まるで当たり前のように続けているコトがとんでもなく当たり前ではないコトです。
テレビ以上にシビアな映画というステージにおいて、30年間ずっとそこにあり続けている…。
もうコンテンツパワーがどうのこうのじゃない気がするんだ、こんなものは。

「ドラえもん」はもはや「日常」なのだ。

うむ、オレはどうやら名言を生み出してしまったようだ(バカ)。


■入場者プレゼント、三十色全部揃えるコレクターさんは大変そう…モリタクさんとか。

今年のテーマは「人魚」です。
半分人間で半分魚、歌で船乗りを惑わし、ぴちぴちピッチとお馴染みのあの人魚さん。
てか、半魚人と人魚の区分が微妙によく分からないんですが、生理的嫌悪感の問題ですか? ラゴンは人魚じゃダメなの? あ、そ。

スキューバーダイビングをやりたくなったのび太はドラえもんさんに頼んで、架空水面シュミレーター・ポンプなる道具を使い、町中でダイビングをすることにしました。
そのダイビング写真をスネ夫に見せても、背景がいつもの町中だと「合成写真だ」と笑われるだけな気がするんですが…そんなこんなの翌日、のび太の家の庭先に少女が一人降って来ます。

空から少女が降ってくる…なるほど、いわゆる「オチモノ」という現代の若者文化を果敢に取り込んだ挑戦的な内容ですね。ドラえもんさんは30年経とうがチャレンジャーの気持ちを忘れていない。さすが! カッコイイ!

空から降ってきた少女・ソフィアさんは海底からやって来た人魚!
…かと思いきや、下半身のヒレは水中移動に適して作られたスーツなんだそうです。
なんだ人魚じゃないのかよー。ぬか喜びさせやがってー。え、本当はアクア星からやってきた宇宙人? はいはい、宇宙人ね。珍しくもないね(まて)。

半分人間で半分魚の「人魚」。
世界各国、日本もご多分に漏れず、色んな所にその伝説は残っています。
ファンタジーとしての体裁が濃いこの「人魚」という存在を、実は地球にやって来た異星人だったんだよーというSF的解釈をこじつけてくれるのが何ともFチックさを醸し出してくれてニンマリです。
それなら情報流通が無かった昔に同じビジュアルの人魚伝説が世界中に残っているコトにも納得が行く。そうか、そうだったのか…。

アクア星には元々人魚族と怪魚族という二つの民族が住んでいましたが、アクア星の環境汚染が進んで住む場所が狭くなってくると、好戦的で乱暴な怪魚族は人魚族を追い立て、人魚族は地球に逃げてくるしかなかった…というのです。

まぁ5000年以上も前の話だし、人魚族側に伝わっている話を聞いただけでは実際に何が起こったのかは分かりませんけどね。やたら人魚族に都合のイイ話に出来あがってる感も強いぞ、その話。
たぶん怪魚族側にはまた別の歴史が残ってるんでしょうね。人魚族は怪魚族を滅ぼそうとしてた、だからやられる前にやってやった…みたいな。
まったく宇宙レベルでもよくある話ってコトか…ふぅ。

怪魚族は人魚族が持っているという、伝説の剣を求めて地球までやって来ます。
怪魚族が既に持っている伝説の鎧とその剣が揃えば、全宇宙を支配するコトも可能だったり可能じゃなかったりするらしいです。
怪魚族の夢が途方も無さ過ぎる大きさでもう逆にカッコイイ(え)。

ドラえもんに人魚伝説を盛り込んで、さらに聖剣伝説を刻んで散らしたって感じが全体の物語ですか。
さすが30周年記念作。やろうとしているコトが盛り沢山です。

この後、しずかちゃんがさらわれたり何やかんやありつつ(ちょ)、遂に伝説のその剣がお目見えします。
「鎧と剣が揃ったら最強」とか怪魚族のボス・ブイキンさんは言うていましたが、なんか見た感じだと鎧とソフィアのティアラが合体して剣になった、みたいな感じでしたよね…。
じゃあ絶対鎧と剣は同時に存在しないだろうと思うのですが…まぁ5000年前の伝説なんてそんなもんなんじゃろうて、うむ。

剣を手に入れたブイキンさんは水を自在に操って人魚族、ドラさん達を追い詰めます。
ここで水除けロープの伏線は膝を叩きました。
うわーまさかそれが役に立つかチキショウめ。

伝説の剣、ブイキンさんが手にした時は水を自在に操って敵を蹴散らす武器となっていましたが、ソフィアさんが手にすると汚れた海をキレイにする浄化装置であるコトが分かりました。
剣の本当の力は、この水を浄化する力の方だったというのです…ほぅ。

要するにイイもワルイもリモコン次第。
それを扱う人によって剣の力は武器にも浄化機にもなる、というコトでしょうか。
てことはだ…かつてアクア星で人魚族を率いた先祖ソフィア様はその力を使いこなせなかった、使いこなすだけの心が無かったってコトになりますよね。アクア星の海は結局汚染されているままなわけだし。
人魚族を救う武器としてはそれなりに貢献したようですが、真の力である浄化能力を導き出すまでにかつてのソフィアさんは人間が出来ていなかった…てコトか。伝説の英雄にしちゃー大したことなかったのね、残念(おい)。

そんな伝説の英雄さんが使いこなすコトの出来なかった力をも使うコトが出来た現・ソフィアさんは、かつての英雄をも超える存在になれたのです。伝説は塗り替えるものなのだ…。

にしても、そんな伝説の剣を簡単に弾いてしまう名刀・電光丸はイイのかな…。

ソフィアさんのおかげで怪魚族との戦争に勝利した人魚族。
その剣を持っていつか故郷であるアクア星に帰り、ふるさとの海をキレイに戻すと決意するソフィアさんなのでした…。

捕虜となった怪魚族の人達はあの後どうなるんでしょうね…。
あぁ、戦争はどっちが勝っても苦々しいな…。

最後、戦に勝って民衆から歓声を受けているシーンがスターウォーズぽい…中盤のヤマ場が囚われのお姫様を助けるコトとかも含めて感じるコトかしら。
いや、それはこの映画がスターウォーズと同じく、聖剣伝説や世界中の伝記・伝説をベースに構築された映画だというコトなのでしょう。
30周年記念としてのスケールと普遍性を持たせるが為、物語のベースにそれらが置かれている。そういう事や。うん。

つまり空から女の子が降ってくるシチュエーションは古来より、人間が根源的に求めている物語ということじゃないか!
なんてこった、激しくどうでもイイことに気が付いちまった!


■ブッキーが王家の人間という意味ではないよ、念の為。

王家の祈りが捧げられる時、五つの光集まりて、願いは叶えられん…

「五つの光」ってのは…ドラえもん達五人を意味していて、ドラえもん達がいたおかげで剣は目覚め、人魚族も救われる、そういう意味ですね。
あ、そういえば「ぎょしゃ座」が五つの星で出来た星座で、もしかしたらアクア星はその近くじゃないかなんて話が出てきたな。
ふむ、つまり物語の最後で“ぎょしゃ座”を見つけ、イコールそれはソフィアさんが自分自身を見つけるコト、自分のなすべきコトを見つけるという意味が含まれている。
つまり「ぎょしゃ座」はソフィアさんのアイデンティティの発見を意味したモチーフになるってワケだ、なるほどな。

…とか色々思っていたんですけど、最後まで“ぎょしゃ座”を見つけるというくだりはありませんでした。ちょ、えー…。

“ぎょしゃ座”=アクア星=自分の故郷=自分の祖=アイデンティティ。
筋が通っている、上手いモチーフだ、とか思っていたのに“ぎょしゃ座”がこんなにもスルーされるだなんて…。
じゃあ何で前半あんなこれみよがしのくだりが!(机を叩きながら)

う~む…ぎょしゃ座は発見出来なかったけれど、もう一つの五つの光、伝説の剣は手に入れられましたってコトなのかなぁ…。その五つの光にしてもドラさんたちがあんまり関与しないで剣が現れたのがちょっと残念に思ふんだけれども。

てか、ソフィアさんが主役過ぎてドラさん達があんまり活躍出来てなかった、てのが今回の映画におけるカタルシスの惜しさに繋がっているとボクはちょっと思っています。

クライマックス、ブイキンに向かっていったのはソフィアさんなんですよねー。
本来の主役であるはずののび太さんが出張っていないので、「やった、勝った!」というよりも「お、なんか勝手にアイツらだけで片が付いた」みたいな印象が残ってしまふ。
そこがなんかこう…溜まったカタルシスが浄化されずにふわっと残ってしまう感じで、何とも残念なのです、ええ。
電光丸で突撃してソフィアさんを助けるぐらいの役割は欲しかったです、のび太さん。

「お友達でいてね」と宮殿でソフィアと握手したシーン。
「新魔界」「新宇宙開拓史」にもあった友情の契約。これは後で「約束したんだ!絶対ソフィアさんを助けるんだ!」みたいな燃え展開になるんだ、さすが真保さん!と期待したんですが、助けるという物理的なトコロにまで行かなかったのが…うん、これもちょっと残念。
海流トルネードの中でソフィアさんを励ますという行動こそありましたが、それ以上のアクションが無かったのが主役としてはちょっと…弱かったかなぁ、と思わざるをえない。勿体無い…勿体無いのなぁ。

序盤で「小学五年生にもなって」と何度も言われていたのび太でしたので、今回の映画はのび太の成長があるお話なのか…と思わせぶりだったのも結実していない気がするのなぁ…。

うん…なんか色々と種は蒔かれて芽も出てるンですが、それが花にまでは至っていないというか…そんな「惜しい」が散見しているお話だったかなぁっと。
全体的には普通に楽しめるんだけど、なんかこう…最後の最後でカタルシスが爆発できない。
ソフィアさんだけで片を付けすぎてのび太が出張らないのがやっぱり…なぁ、うん。

あまりにのび太が出張らずにコトが進んでしまうから、ソフィアさんがブイキンを倒しても「…あ、今のクライマックスだったの?」と思ったりする始末。
オリジナルストーリーだからってのもあるけれど、全体の中で今が何合目なのかがよく分からなかったりしたのですね。今は八合目ぐらいだろうと思っていたら実はもう頂上だったという…そんな感じ。

ま、要するにこれはソフィアさんの映画だったってコトか。

確かに思い返せば、真保さんが書いた「新魔界」も「新・宇宙開拓史」も、ゲストヒロインが成長してアイデンティティを奪還するまでの物語だった気がする。

「新魔界」では、母親を亡くして女の子らしさを失っていた美夜子さんが、母親と再会して子どもの頃のように髪を伸ばそうと決意する、自分らしさを取り戻すお話。
「新・宇宙」では、父親を亡くして大人を信じるコトが出来なくなったモリーナさんが、父親と再会して自分を取り戻s ちょ待て、2行前と同じセンテンスじゃねーか。

さすがに「人魚大海戦」では「三度目かよ!」みたいな展開こそありませんでしたが(でも両親はいないっぽいソフィアさん)、自分のアイデンティティを取り戻す、発見するというドラマは今回もまた存在していたワケですねー。

なるほど…来年も真保さんが書くのかどうか知らないけれど、これについては一つ覚えておくとしよう。うん。


■今年のレビューは書くこと無いや、と思って5000文字超…。

とまあ、そんな感じで。
のび太が主役然としていなかったコトが何とも惜しいと感じてしまった次第でございます。
でも普通に物語としては成立してるワケだし、モチーフの扱い方だってF先生チックで楽しいし、相変わらず映像クオリティは尋常じゃないレベル。
ドラミも「緑の巨人伝」「新・宇宙開拓史」に比べるとだいぶ有機的に活躍している。
最後だけチラッと出てきて終わりとかじゃなかった。よかった。

だからスイッチを軽く切り替えてから観れば、もっと楽しめるんじゃないかなーとも思います。二回目はソフィアさん目線で観てみようと思うんだよ、うん。

あ、そういえばゲスト声優さんについて触れていなかった。
ベテラン俳優の真矢さんにぬっくん、ケンコバ、普段の存在がアニメ的なさかな君。
今年はちょっと安パイ過ぎてドキドキ感は無かったかなー。
この人、案外と上手いじゃん!みたいな驚きは無いですよ、そりゃ。上手くこなして当然みたいな雰囲気だもんなー。
置きに行きやがってぇ(え)。

あと武田鉄矢の曲はなんかもう卑怯過ぎる(うわ)。

そして来年は…あれなのか、そうなのか。
まぁ、映画のタイトル以上に、監督が(たぶん)寺本幸代さんだってコトが狂喜乱舞ですけどね。それだけで八割方映画のクオリティは保障されたようなものだ。

あぁ、寺本さんに寄せるこの絶対の安心感は何だろう。恋…?
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COMMENTS

Commented by 流鏑馬 URL at 2010-03-31 20:03 #- Edit
Title :
はじめまして。ドラえもんを始め、いつも記事を楽しく読んでいます。

私もさっき見に行きました。
今年もおもしろかったのですが、後半はシーン毎にぶった切った感じがしました。偽物の剣を掴まされた怪魚族が攻めてきた時も、「あ、ソフィアとオンディーヌが話してる間に何か来ちゃったよ」ってかんじです。「ここが人魚族の世界か」とドラえもん達がフラリと通りすがったという印象です。いや、ディケイドじゃないですよ(笑)。のび太の成長と、ソフィアの成長・ストーリー、が例年ほど深く関わらなかったからかもしれませんね。

ボスキャラのブイキン攻略はかっこよかったです。
「伝説の人魚の剣と言っても、陸に上がればただの剣だぜっ」というコンセプト(え)の下、架空水中での陸上にブイキンを上がらせて、最後にポンプで閉じ込めるというのは映画シリーズ中でも五本指に入るかなぁと。彼らも三十回の冒険を通して学んでいるですね。ってか、今年のドラミちゃんGJ.

最後に、今年の「のび太の人魚大海戦」でこれからの映画ドラえもんの方向性が決まったなあと思います。

①ゲストヒロインの話を入れる。

②本編と絡まなくとも(おい)、マスコットキャラを登場。

来年は、この2つにバッチリ当てはまるでしょう。まあ、ヤツはハリ坊より活躍するのは間違いないですね。

ではでは。
Commented by TJ-type1@管理人 URL at 2010-04-01 00:35 #- Edit
Title : ◆コメントありがとうございます◆
>流鏑馬さん
ボクも二回目を鑑賞して思いましたが、おそらくオリジナルのシナリオから結構カットされた部分が多いんじゃないかなーという感じですね。大海戦も急に始まった感ありますし、伝説の剣もいきなり現れたって感じだし。予告の「伝説の剣を渡せば、みんなは助かるの!」みたいなくだりもありませんでしたしねぇ。
普通に映画化したら二時間超のシナリオだったのかも…。

マスコットキャラは今後も宣伝対策として便利そうでしたよね。ハリ坊なんてテレビの方が出張っていたじゃないか…。
来年のヤツてのは…スネ夫の持ってるアイツのことですよね? なぜか青いボーリング玉の方を浮かべてしまった(え)。
Commented by なつぐんそう URL at 2011-02-12 02:29 #- Edit
Title :
今日再放送みた。あ、ヒロインがかわいいwwwとか思ってたら、あら?敵倒して?あ、お別れ?ちょいあっさりしてる・・・別におもしろくないわけではないけど劇場いくほどではないなー     
Commented by TJ-type1@管理人 URL at 2011-02-12 17:01 #- Edit
Title : ◆コメントありがとうございます!◆
>なつぐんそうさん
初見だと、もう一山あるのかな?というところで終わってしまう印象じゃないでしょうか。
主人公はのび太であるという視点なので、のび太が何もしないまま終わってしまったことに「あれれ?」となりますね。
やっぱり電光丸ぐらいはのび太に持たせて欲しかったです。

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