2009年 12月 30日
あの話題騒然の最終回から三ヶ月。
そこには本当の最終回、本当の物語があるはずです。
だって、終わらない物語は無いのですから。

しかし…

始めから物語がなければ、それは終わる事など無いのかもしれない…。

とりあえず、率直な感想としては。
分かったの半分、分からなかったの半分、騙されたの半分ってトコでしょうか。
おや、足して余るぞ。まぁ、いいや。


■仮面ライダーディケイド オールライダー対ディケイド

ライダー大戦に陥って、昭和平成問わず全てのライダーを倒してカードにしていくディケイド。最後のライダーであるクウガをも手中に収め、ディケイドは完全なる破壊者と化す。
しかし仮面ライダーキバーラとなった夏海によってディケイドが倒されると、各ライダー世界は再び復活していく。

ディケイドは破壊者。
それはライダーを破壊するコトによって再び世界を構築し、そのライダー世界の崩壊を救うコトが出来るから。破壊する事こそが世界の崩壊を救うたった一つの手段だった…ということか。

紅渡に言わせると、ディケイドが世界を破壊したおかげで各ライダーは人々の「記憶」に留まり、崩壊を免れる事が出来たのだと。
つまり「世界の崩壊」とは「記憶から消える」コト?

既に放送終了し、過去のモノでしか無くなったそれぞれの「仮面ライダー」の物語は、時と共に視聴者の脳裏から薄れて行く。忘れられていく。
それこそが作品の死であり、世界の崩壊。

しかし、「ディケイド」という全てのライダーを一つに繋げる事の出来る作品が登場したコトによって、過去のライダー物語は再び脚光を浴びる事が出来る。
が、それはオリジナルと全く同じではないし、既に完結したはずの物語を冒涜して「破壊」するというコトでもある。それでも、「ディケイド」に登場して破壊される事で過去の物語が息吹きを取り戻すコトが出来るというのも、また事実。

破壊による過去コンテンツの再生。
それがディケイドの使命。

それに平成ライダーそのモノが、どの作品をとっても全て「破壊」の歴史でもある。
これまでの仮面ライダーを、ヒーロー像を破壊してやろうという意欲なき作品は一つも無い。
それぞれのライダー自身が破壊者だからこそ、ライダー世界は破壊によって再生されなければならなかった…のかもしれない。

しかし、他のライダー世界が復活しているというのに、ディケイドだけは復活していない。
それは「ディケイドに物語は無いから」だと紅渡は言う。

物語というのは世界。
世界というのは作品。

ディケイドはこれまで数々の世界を巡ってきたけれど、それはどれもリイマジネーションではありつつ、基本的に他の作品の物語を間借りしているだけで、ディケイドはそこを通りすがって来ただけ。
ディケイドはいつも他所の世界、他所の物語に介入して来たけれど、ディケイド自身の世界には行きあたっていない。

だから、ディケイドの物語なんて存在しない。

…いや、そんなコトは無いだろう。
「クウガの世界」や「キバの世界」、その他多くのライダー世界を巡ってきたディケイド。その世界や物語は確かに間借りした他所様のモノかもしれないけれど、その「旅」自体は間違いなく「ディケイド」の物語であったはずだ…!

…と観客が思うのに呼応するように、夏海やユウスケ、海東が士のコトを覚えている、その記憶がある限り存在しないなんてコトはないのだと士を復活させてくれました。
まさに観客とのシンクロニシティ。この瞬間、スクリーンの内側と外側という境界は消えて視聴者も映画の構成要素の一つとなる。視聴者自身も士たちと一緒に旅をしてきた仲間だった、というワケですね。

それにしても終始メタ過ぎて考えを追うのが大変なお話です。
思考作業としてはとても楽しいけれど、果たしてチビッコは着いて来ているのだろうかといささか疑問。まぁ、ボクもちゃんと着いて行けてはいなかったけれども…。

「ディケイドに物語はありません」ってのはとても核心的で、こんなきっぱりとメタチックな説明をしてくれるとは思っていなかっただけに、うほうほしちゃいました(え)。

「ディケイド」の存在、ライダー大戦の意味などについてきっぱりさっぱり説明をくれたというのは、なかなかにありがたく、我慢して映画観て好かったなぁと思わせてくれました、ええ。


しかし――

「もう一人のオレ…だと?」
「ディケイド、正体を表す時が来たようだな」
凶悪化するユウスケ。
ネガ世界っぽい夏海。
海から上がってくる士。

――といった、テレビ31話の最後にくっ付いていた、あの予告編的な映像は結局なんだったんだろうかと…しばし考える羽目に。

あの映像から、パラレルライダーとオリジナルライダーの決着と説明が幾らかされるモノだと三ヶ月前にニヤリとしていたというのに、結局今回の映画でもその点についてはスルーですもんね…。映画も中盤を過ぎた頃、「あれ?そういえばあの映像群が一切出ていない」と気付かされた時の気持ちといったら…ねえ。
いや、そこはボクが「ディケイド」という物語で一番興味を持っていたポイントだっただけに、もう変な溜息しか出て来なかったなぁ…。チクショーまた騙されたよー(ちょ)。

なんか聞いた話によりますと、あの映像は元々テレビの最終回用のモノだったとか?
でも、今回の映画に際してはあまりそこに捕らわれず、もう一度別個に構築し直して作り上げたんだとか。

だからタックルとか急に出てくるわけね。

「私のコトなんて誰も覚えていない…」と、微妙な立ち位置であるタックルさんを上手い事テーマに絡めてきたなぁとは思いつつ、別にいないならいないで成立していたって気もしますよね(うお)。
てゆか、タックルが中学生だという事実を聞いて驚愕です。
最近の子はホントに発育がもう…。


■仮面ライダーW ビギンズナイト

風都では死者が甦るという都市伝説が誠しやかに蔓延っていた。
捜査に乗り出した翔太郎達はその中で、ビギンズナイトで死んだはずの鳴海荘吉と出会う。
そして明らかになるビギンズナイトの出来事――

Death、Dummy、Double、そしてDecade。
そんな「D」の劇場版ってトコロですか。

テレビシリーズ同様、普通に面白かったです。
なんかもう、いつものテレビシリーズを観てるのと何ら変わらない安定感。
だから、キャーおやっさんカッコイイー!ぐらいしか書くことない(え)。

翔太郎の憧れる師、ハードボイルド探偵のお手本、テレビシリーズでは明確に登場しない鳴海荘吉を描き、翔太郎やフィリップが何に向かっているのかを描く物語。
まさにビギンズナイト、翔太郎とフィリップが走りだす始まりを描いたお話ですね。

荘吉の言いつけを守らなかった所為で、荘吉を死に追いやってしまった翔太郎。
善悪の意識も無く、自らの能力をガイアメモリ製造に利用させていたフィリップ。

誤った決断をしてしまった罪。今まで何も決断しなかった罪。
いつも「お前の罪を数えろ」と犯人に対し悔い改めの言葉を発しているダブルですが、実は翔太郎やフィリップ自身の罪を償うためのダブルでもある。
ビギンズナイトにはダブルの根源が詰まっている、というワケですね。

罪を負った犯人を追い詰めながら、自身も罪を背負っている。
事件モノの定番設定でありつつ、同族対決という仮面ライダーらしさもそこにはあるような気がする。確かに自らが罪を背負っていなければ、ああいう決め台詞は言ってはいけないですよね…。

翔太郎達は事件を起こしていた犯人の下に辿り着き、そこで再び蘇った荘吉、スカルと対決する。

探偵は依頼人を守らなければならない。そう教えてくれたのは荘吉で、その教えを守る為ならば、たとえ相手が荘吉であっても戦わなければならない。そう決意する翔太郎がやたら熱くて燃える。ベタっちゃベタなんだけど、どうにも気持ちイイ興奮でした、あれは。

今回は翔太郎フィーチャーのお話だっただけに、父親が死んでいたという事実に向き合わされる事となった亜樹子の描写がちょっと少なめだったのがちょい勿体無いとは思いつつも、一つの映画として、お話として十分に楽しめるモノであったと思います。
ダブルさん、マジ安定感パねえっす。

本当のおやっさんは翔太郎の中にいる。
それは翔太郎の記憶の中のオヤッさん。

…ん、記憶?


■MOVIE大戦2010

ディケイドに続いてダブルでも「記憶」というキーワードが出てきたので、「おや?」と思ったのですが、ダブル編が終わって次のMOVIE大戦編でその同一キーワードを起点に二つの物語が重なり合う、という展開には素直に驚きを感じさせて頂きました。

今回の映画はディケイド編とダブル編と最後に二つが重なったMOVIE大戦編の三部構造だよーてのは伝え聞いていたので、ディケイド編が途中で終わった時も「なるほど、これで次に続くのね」ぐらいに思いました。

しかし、単純に二つのキャラクターをお祭り感覚だけで一緒にしてしまうのではなく、まさか「記憶」という同じお題を元にそれぞれのお話が作られていて、最後にそれが一緒になる布石となるとは思いもよらない構成でした。
いや、これはよく出来ている。

ただの同時上映では無いという面白さと同時に、やっぱり美しいじゃーないですか。バラバラのモノが一つになる瞬間ってのはね。
だからダブル編で「記憶」というキーワードが出て来た時には「まさか…」と思いつつ、それを要に二つが重なるのだと分かった瞬間にはぞぞっとする興奮が湧いてもーたのです。

ディケイドとダブルが互いに同じキーワードの台詞を言い合う構成もカッコ好い。
ディケイドは同時上映なんて概念すらも破壊してしまったのだなぁ…今までにないカタルシスを味わえる構成でした、あれは。

まぁ、MOVIE大戦編自体はただただバトルの印象なので特に書くこと無いんですけども(え)。
でも夏の映画は無かったコトになってるハズなのに、何でダブルはディケイドのコトを知ってるんだろう…。鳴滝さんはダブルの世界でも噂を吹聴してたんやろうか。

といった感じで。

「また騙されたー!おのれ、ディケイド…!!」みたいな気持ちも若干残りましたが、全体的にはとても楽しんだ幸福な一時でした。
テレビシリーズで鳴滝さんが言っていた「私の実験の邪魔はさせん!」とかの意味は見る影も無くスルーされていましたが、気にしたら負けというゲームはテレビ第二部から始まっていたので詮無いことか。

とりあえず、これで「ディケイド」は本当に終わり…なんですよね?
いきなり「超・ディケイド」とか始まりそうな気がしないでもありませんが、テレビ最終回で保留していた言葉をここに書き連ねると致しましょうか。

「仮面ライダーディケイド」制作その他諸々関わっていた皆々様、また、番組を通じて当ブログに足を運んでくれた皆々様に、心より感謝の念を抱かせて頂きます。

どうもありがとうございましたー。

お疲れした!

これが本当の「ディケイド」という物語の終わり…と信じて。

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