2019/08/29
ツクヨミを王(ライダー)にすることで消滅するはずだった世界は救われる。
ふむ、つまり「ジオウ」は仮面ライダー放送枠を具現化した世界観なので、ライダーが存在しない未来の世界は存在可能性が消滅するが、ライダーがいれば放送される未来の可能性はゼロではなくなるので生存することが出来る…てな感じでしょうか。
「ディケイド」における世界の消滅は過去の記憶が消えてしまう事だったけど、「ジオウ」では未来の可能性が潰える事で消滅するのかな。現象としては似ているけど、その意味するところは違うような気がします。
スウォルツは自身の世界を生き残らせるため、他のライダー世界をまとめて葬ろうとしていた。つまり、ライダーが登場しない企画を放送させるため、ライダーシリーズを終了させようとしていたのだと。メタルヒーロー過激派かな…? あるいは全く新しい作品か…。
ライダーが登場しないはずの企画だったのにライダー企画になったといえば「響鬼」ですが、「ツクヨミ」という企画にも同様にそんな変遷があったのでしょうね。
おじさんは壊れたライドウォッチをいつの間にか直してくれていた。
これによって失われた、破壊されたライダーの歴史は修復する事が出来るわけです。
これまで執拗に色んなモノを修理してきたおじさんですが、全てはライダーの歴史を修復する為の前振りであり、その説得力を得るために色々と直していたんだなと腑に落ちます。
いやもうデンライナー直してるならウォッチぐらいね…。
同じく下山さんメインのニンニンでもそうでしたが、日常を補佐してくれていたおじさんが居なかったら世界は救えなかったというのは熱い展開だなあ。
■RESETオーマジオウの力は時空を破壊することだが、同じく時空を創造する力もある。破壊と創造は表裏一体ゆえに、破壊者は創造者でもある。
オーマジオウになったソウゴは、スウォルツによって融合させられていた世界を再び別の世界へ戻し、更に作り替えた世界で1年前から歴史をやり直す事を決意する。
おや…?
その決断は…いいのだろうか? とココでふと思わせる。
それは自分にとって都合の悪い歴史だからやり直す…みたいな修正主義とも捉えかねられない。これまでの過去も未来も共に進んできたソウゴなのに、それでいいのだろうか…と。
ソウゴが新たに作り出した世界は、ゲイツもツクヨミも、ウールもオーラも平和に暮らす世界。
やり直しているようでありつつ、この新しい世界はこれまでの1年間の出来事が無ければありえなかった世界でもある。
「時計の針はさ…未来にしか進まない。
ぐるっと一周して、元に戻ったように見えても、未来に進んでるんだ」
戻ったように見えるけど、それは未来へ進んだ結果の世界。
つまりこれは何をか言わんや… というと、「仮面ライダーシリーズ」そのモノを表しているのです。
いや、もっと言えば、此処には「スーパー戦隊」や「プリキュア」なんかも含まれています。
ヒーロー達は一年間頑張って頑張って世界を救います。
しかし、次のシリーズに代わった途端、また世界存亡の危機が訪れ、ほぼ同じテーマ、ほぼ同じストーリー、ほぼ同じアイテムが登場する作品が、またぞろ放送され続けているのです。
この世界(ライダー放送枠)は、ループする宿命の世界なのです。
じゃあそれは、同じ事をただ繰り返しているだけなの?
そんなのあまりに虚無的じゃないか…!?
去年も同じ商品を買ったでしょ。我慢しなさい!
……いや、そうじゃないんです、お母さん…。
それらの作品は同じ事を繰り返しているように見えて、毎年少しずつ変わり続けている。
そしてまた、これまでの歴史も積み重なった結果として現行作品があるのです。
「ジオウの世界」がリセットされたコトは、この手のシリーズにおいての宿命として逃れられない性であるとしつつ、決して哀しい事でも無駄な事でもないと語られている。
だってそれは「仮面ライダーシリーズ」が、もっと言えば「戦隊」や「プリキュア」etc... 日本的なマーチャンダイジングのヒーロー番組がずっと歩んできた歴史なのだから。
ソウゴが選んだ破壊と創造による「繰り返し」の決断は、「平成仮面ライダー」が歩んできた歴史を肯定するからこそ、ポジティブな文脈で使用されるのです。
「どんなに歴史が壊されても、仮面ライダーは壊れない」
これからもライダーや戦隊、プリキュアのTVシリーズは毎年リセットされる・歴史が壊される宿命にある。
しかし、シリーズとしてはむしろ強固になっていくし、その思い出も消えたりはしないのです。
実に「ジオウ」らしいメタ的な意味において「ライダーは不滅だ!」というお馴染みの台詞を言い換えてくれている。
■HEISEI始まった当初は「ディケイドと違ってジオウはメタじゃないから」などとアナウンスされておりましたが、終わってみればテレビも映画も全部メタメタじゃないですか。ありがてえ。
これだから白倉さんの言う事は素直に聞いてはいけない。
制作者サイドが事前に白状するぐらいには、最終回の尺が足りてない様子で、ソウゴの未来具現化能力だとか、後半オリジナルとアナザーが同居できる原理だとか、ギンガ…はまぁ初めから期待してませんが、細々と説明されていない事は結構あるかな。
しかしま、大体のテーマは夏映画で充足し得るし、TVシリーズとしてのメタ的な語りも今回おおいにしてくれて、大団円という満足感に浸っているかなと感じます。
何より、ディケイドの出番が多いだけで全てが許されると言って良いでしょう(恣意的な判断)。
ま、あくまでジオウのお話なので“ディケイドの物語”に進展があるでもないですが、生きて動いてる姿や、新グッズが出るだけで嬉しいモノです。
ディケイドは現行! ディケイドは現行!!
オーマジオウこと常盤ソウゴの創造により、世界は再び分離し、新たな世界も誕生する。
ジオウが終わり、ゼロワンが生まれる夢を見たんだ…。
てなわけで、1年間ありがとうございました。
そして、ありがとう平成ライダー。