2007/08/10
本日放送は「ぞうとおじさん」。
今回は神がかってる… とまでは言わないけども、さすがに気合の入った出来だったと胸を張れると思いますよ。
アバンも無かったしな! 今後も無くていいぞ!
象と戦争にまつわる話というと「かわいそうなぞう」が有名です。先日もドラマ化されていましたし、たとえ実際に読んだ事はなくても大体の筋は日本人の多くが知るところです。
ただ、ボク的にはその本家よりも「ぞうとおじさん」の方を先に知ってしまったが為に、「何その話、ドラえもんのパクr」と心無い思いを抱いたものです、子どもの頃とはいえね。ふー。
時に「んあー!?」と、デッドボールを受けた後にピッチャーにくれてやる形相の様な顔に成らざるを得ない話もあったりしますが、今回はクオリティの高さを見せてくれました。やはり物語の強さに引っ張られて気合が違うんでしょうね。
この良質エピソードで下手なモノ作られたりしたら、毎年作ってる戦争童話の信用度だって下がっちゃうよ、うん。
原作ではストーリーテラーとなるおじさんはのび太の伯父さんにあたる人ですが、さすがに戦後60年以上経った現在、小学生の伯父さんが戦争体験者という設定は厳しいです。
そこでおじさんは動物園で知り合っただけのお爺さんに変更です。まぁ、妥当な線だと思います。別にここがが変わったからといって話の肝が変わるわけでは無いので何ら問題ないですね。子どもにこそ聞いてもらいたいと言うお爺さんの言葉にも重みがあって好いと思います。
また、現代の動物園でお爺さんが語るという出だしのおかげで、現代と当時の動物園の情勢の違いを非常にハッキリと描いています。
今はただただ楽しく笑いあいながら見学出来る動物園ですが、戦時中の動物園にはその影がありません。本来楽しくあるべき動物園だのに…。
爆弾が落ちて来るという事にしても、戦時中なら当たり前ぐらいに思っているけど、これだけハッキリと対比させられて描かれると、やっぱり異常という他に無いわけで…そんな想像を絶する様なことが実際に日本で起きていたし、今も違う国では当たり前に行われているのですね…。
構図にしても、いつもより凝った画が多かったように見受けられました。
園長と軍人の話す部屋のちょい俯瞰の画では、自然に黒布の被さった灯りが描かれていて、戦時中の厳しさを感じさせてくれます。
他にも光と影のキレイな画が多かった気がしました。…ていうと、いつも何も考えられていない画ばかりみたいなのかと思われますが…まぁ、「ドラえもん」って作品は作家性を極力排除した演出が成されているようなので、あまり新鮮な構図って無いような気がするんですよ。ボク的には、「ドラえもん」だからこそある程度作家性が出た方が面白いとは思うんだけどねー…。
物語も基本的には原作に則しているんですが、二回ほど泣きそうになりましたわ。
飼育員のおじさんが「ボク達は動物を殺す為に飼育員をしているんじゃない!」という件。原作には無い件ですが、率直な感情の爆発にグッと来ました。
も一つはインドの奥地で遭難したお爺さんが「ハナ夫」と呼ぶと、象が足を上げる仕草をする件。
うあー! この為の伏線だったのかー! と、まんまとヤラれました。60年以上の時を経て再会しても尚、繋がっていたお爺さんとハナオの絆よ!
鉄扉から守ってくれたりだとか、足の仕草の件が無かったりしたら、別にそのまま「原作どおりだね」ぐらいの気持ちで見ていたと思いますが、この加わった要素のおかげで、より深くハナ夫との絆が描かれていて、もうなんかウルウルですよ、ええ。
チクショー、そんな上手い真似を仕込むだなんてー、ドラえもんのクセにー(え?)。
いやはや、今回はフツーにオススメ出来る良質エピソードに仕上がっていたぁ…。
原作はてんコミ5巻…「ドラえもんだらけ」と同じ巻か… 初期の物語の広さは凄いね。
「戦争なら大丈夫。もうすぐ終わります」
「日本が負けるの」
↑ここ、大好き☆
このフランクさが溜まりません。現代っ子なんだからぁ~。