
総資産数百億と目される大資産家、水無月かれんの邸宅で開かれた誕生パーティー。
水無月氏の巨額な資産を目当てに群がる列席者たち。
しかし、その欲望渦巻く誕生会は一転して惨劇に変わる。
ピシャ! ゴロゴロ…
雷鳴轟く闇夜の晩。
水無月氏の孫、超売れっ子国民的人気ナンバー1美少女アイドル春日野うらら(黄色)が、エビに刺されて殺されているのが発見されたのだ。
密室で起きた奇妙な殺人事件。
偶然居合わせた名探偵、秋元こまちがその謎に挑む!
カブトガニの名にかけて!

「断崖絶壁に四方を囲まれたこの邸宅。今しがた外を確認してきましたが、誰も外に出た形跡はありませんでした…」

「え、それはつまり…」

「そうです。超売れっ子国民的人気ナンバー1美少女アイドル春日野うらら氏を殺害した人物は、まだこの中にいるんですよ!」

「な、なんやてー!」

「そ、そんな!」

「とりあえず順を追って事件のあらましを確認しましょうか。ムフン」
○秋元こまち…名探偵

「パーティーもお開きになった8時30分ごろ、私は事件現場である春日野うらら氏の部屋の前を通りかかった。ふとその時、部屋の中からシーフードカレーの匂いが嗅ぐわって来たのに気付いたのです」
○夢原のぞみ…水無月家お手伝い

「私もちょうどそこに通りかかりました。探偵さんがうららさんの部屋から美味しそうな匂いがすると言っていました。お部屋をノックしても返事はなく、鍵もかかっていました。気になってドアの下の隙間から様子を覗くと、誰か倒れているのが見えました」

「すぐにドアを蹴破ると、真っ暗な部屋の中にうららさんが血だらけで倒れていた…」
○美翔舞…猫背

「私が来たのは、探偵さんがうららさんが亡くなっているコトを確認していた時でした。死体に近付かないようにと言って…」
○日向咲…パン屋

「私は舞の顔面蒼白な姿を見かけて、何があったのかとやって来たナリ。そうしたら、これは殺人事件だと聞いたナリよ」

「しかも密室殺人」

「死体を調べると、被害者は鍵を持っていました…」

キラーン…
「すぐにその鍵を部屋の鍵と合わせてみましたが、案の定ピタリと合いました。間違いなくこの部屋の鍵でした。しかし、先ほどこの部屋の鍵はしっかりとかかっていたワケで…。被害者を殺害した後、どうやって部屋の鍵をかけて立ち去ったのか…不可解ですね」
○美墨なぎさ…春日野うらら担当マネージャー

「私はうららを探していたら部屋の前にみんなが集まっていて、どうしたのかと思ってそこへ行って事情を聞いたわ…」
○九条ひかり…水無月家お手伝い

「私はなぎささんが慌てて行くのを見かけて、その後を追って来ました」

「ひかりと一緒に話を聞いていたら、部屋のテーブルの下に何かある事に気付いて。そうしたら、それがうららを殺した凶器のエビだったわ…」


「血だらけのオマールエビ。その鋭利なハサミでブスリと…」

「なんて残酷な…」
○雪城ほのか…芸能事務所社長

「私はパーティーが終わった後、家の中を見学していたんだけど、あまりに広すぎて迷子になってしまって。そしたら偶然夏木さんに会ったので、案内してもらっていたの」
○夏木りん…春日野氏従姉妹

「そして雪城さんと歩いていたら、うららの部屋の前で妙な騒ぎが起きていた…てトコロかしら」

「なるほど…結局、水無月氏と美々野氏は現場にはいらっしゃいませんでしたが、その時お二人はどちらに?」
○水無月かれん…資産家

「私はパーティーが終わった後、自分の部屋に戻って休んでいたわ。もうあまり若く無いのでね…」
○美々野くるみ…水無月家お世話役

「ミルクはキッチンで料理の片づけをしていたミル。探偵さんから教えて頂くまで、事件の事も何も気付かなかったミル」

「ふぅむ…そうですか…」

「秋元探偵、本当にそれは密室殺人だったのかしら?」

「ええ。何かかんやで合鍵の作れない世界でたった一つしかない部屋の鍵は、亡くなった被害者自身が持っていましたし、窓の鍵は閉まっていなかったとはいえ、外は断崖絶壁。壁沿いに歩いて逃げるような足場も無い。まさしく、密室であったとイイでしょう」

「でも、どうやってそんなコトを…」

「分かったナリ。犯人は鍵をかけた後、ドアの下の隙間から鍵を戻したナリよ」

「どうやって?」

「こう…ピュッと投げて…」

「それじゃあ部屋の中には入れられても、手に握らせるなんて不可能ですよ」

「あぁ、確かにナリ…」

「もう、咲ッたら…」

「せめて何か糸のようなモノを使うとかしないと無理じゃないかなぁ」

「そもそも何で密室なんて作る必要があったのよ」

「そうよね。自殺に見せかけるのならまだしも、一見して他殺と分かるこの状況で密室を作る必要性なんてあるのかしら?」

「何か密室を作らないといけない理由があったんですかね?」

「あるいは…」

「そうだ、思い出したミル…」

「何です?」

「さっき用事があってうららさんの部屋の前を通りかかった時、誰かと話していたような声が聞こえたミル」

「時間は?」

「たしか今から30分ほど前…8時20分ぐらいじゃないかと思うミル」

「時間的に見て、その時話していた相手が犯人であると考えるのが妥当でしょう。誰の声だったか分かりませんでしたか?」

「いえ、特に気にかけていなかったからミル…。うららさんの声しか聞こえなかったし…でも、カメダが何とかって聞こえたようなミル…」

「カメダ…? 誰かの名前…? 場所…?」

「にしても、エビに刺されて死ぬだなんてあの娘らしいフザケタ死に方ね」

「確かに」

「……。失礼ですが、お知り合いの方が亡くなったというのに、皆さん随分とさっぱりしていらっしゃるんですね」

「ああ、それはだって…」

「あの娘、裏では結構ひどかったからね」

「このカレーは甘みが強すぎるとか、あのカレーはスパイスの角が立ちすぎてご飯に合ってないだとか、いつもわがままばかり…」

「それは単にカレー大好き人間だっただけでは?」

「私もよくバカとかアホとか罵られていたもの。この家のメイドさん達だって、よくクソバカメイド芸人なんて言われてたでしょう?」

「えとー、それは何ていうか…」

「まぁ…」

「あれじゃ、友達出来なくて当然ね」

「まさか、あの超売れっ子アイドルのうららさんがですか?」

「売れっ子と言っても、実際にCDの大規模宣伝やランキングに載っていたコト自体、この水無月家の資産あってのコトよ」

「うららを売れさせる為に、山を一個売ったなんて話もありましたね。もしかしたらそれが重荷になってうららの事を…」

「わ、私が殺したって言うの? 馬鹿馬鹿しい。うららの態度の悪さに辟易としていたのは貴方達じゃなくって?」

「それを言うなら、うららさんが亡くなって水無月氏の遺産が独り占めできるのは誰かしら?」

「ちょ、何ですって!?」

「まぁまぁ」

「ケンカはよすナリよ」

「ふん、知っているのよ。貴方達この前言っていたでしょう、レモンのくせに二年目があるだなんて生意気だってね!」

「そ、それは今カンケー無いナリ! そもそも我輩たちは周りで言われるほどそんなに気にしていないナリ!」

「そうよ、二年目がグダグダになるよりマシだから、あえて一年で終わらせただけなんだから!」

「し、失礼ね! これでもどっかの二年目よりは改善してるんだもん!」

「ちょ、誰の事言ってんのよ!」

「まぁまぁ。落ち着いて下さい、皆さん」

「うっさい、このデコッパチ!」

「ヒィ!」

「なんか収集が着かなくなって来たような…」

「………」

「秋元探偵?」

「……なるほど。繋がりましたよ」

「ということは…?」

「春日野うらら氏を殺害し、その事件現場を密室に仕立てた犯人。それはやはり、この中にいたんです!」
≪解決編へ続くダメだ。妙な方向にチカラを割き過ぎている…
自分でも分からなくなってる…何だこの記事は…。
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プリキュア5 各話レビュー
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